始まりの章9 『さようなら、僕の恩人』
『フフフッ! ハハハハハハッ! 素晴らしいっ!!!僕の夢がっ! 僕の夢が完成したっ! 今、この時をもって僕は強くなるっ! そう、夢が叶うのだっ! ハハハハハハッ! 最高だっ! 最高すぎるっ! この時をどれだけ待ったかっ! 僕の人生っ! 宿命っ! 願いっ! 欲望っ! 思いっ! 使命っ! 願望、貪欲、望み、希望、愛、夢、夢、夢、夢、夢、夢、夢、夢、夢、夢、夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢ぇーーーーーーッ!! 全部全部全部全部全部全部全部っ! 叶ったのだっーー! これで僕はっ! ついにっ! ついにっ! 世界を破壊できるっ! そして、この日っ! 我々の夢が達成されるのだっ! 破壊っ! これこそが正義っ! 破壊っ! これこそが愛っ! 破壊っ! これこそが僕っ! 破壊っ! この世界をっ! 破壊ッ!! フフフッ! この腐っている世界をっ! 腐りきった世界をっ! 神という名のクズたちが支配するこの世界をっ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊っ! 破壊ッし尽くしてやるっ!! フフフッ! ハハハハハハッ! 奴らは空の天の高く上から人間の姿を見ているだけッ! "本当の死"を知らないっ! 地獄を味わえっ! 僕のように苦しめっ! 悲しめっ! 憎めっ! 死ねぇ!! 僕は奴らが嫌いだっ! 大嫌いだっ! だから、あんな奴らには世界を任せられないっ! でも、あの方ならばっ! 魔王様ならばっ! 世界をっ! 時代を作り替えてくださるっ! そして、僕を必要としてくれたっ! 認めてくれたっ! ハデスとは違うっ! 他の神や管理者とも違うっ! 僕の力を必要としてくれた方にっ! 僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕はっーーー!!! やっと役に立てるっ! 僕は力をっ! この最凶の力をっ! ハハハハハハッ! フフフッ! ハハハハハハッ! 壊してやるっ! 全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部っーー!! 破壊するっ! 作り替えるっ! 僕は強くなったっ! 世界をこの手にっ! 人間共と神共は僕の夢の前に苦しみ悲しみ狼狽え妬み恨み疑い泣き叫び喚き助けを求めながら死んでいくっ! なんと素晴らしいっ!!! これこそ、"死"ッ! これこそ、破壊っ! フフフッ! この世に"魔王軍"の名をっ! この僕の名をっ! 世界を恐怖にっ!!! 僕の名は"魔王軍第4幹部ヘェル"ッ!!!』
殺風景な冥界に場違いなヘェルの声が響き渡る。そして、ヘェルはゆっくりと歩き始めた。この夢を叶えてくれたフィアの元へと行くために......。
「ヘェルッ!!! やめるんじゃっ!!」
大きく老いた声が冥界を響き渡る。そうハデスは、生きていたのだ。フィアの解き放った『光』を辛うじて発動した結界で身を守るに成功したのだ。しかし、その結界を張るのには時間が足りなかった。自分の命を守ることは出来たが、ハデスの身体中はもうボロボロだ。しかし、フィアに向かって歩き出すヘェル。その様子にハデスはボロボロの体を奮い立たせ、立ち上がり、ヘェルに向かって叫んだ。
だが、ヘェルはそんなハデスのことは無視だ。止まらないヘェル。ハデスは地面を蹴ってヘェルに向かって跳んだ。体中が痛むのを我慢しながらハデスはヘェルに向かった。
だが、
『あぁーーッ!! うっとおしいなっ!! 巨人死霊ッ! ハデスを叩き潰せっ!!』
その言葉と共に巨人は動き出す。そして、ハデスに向かって赤色の棍棒を振り上げる。次の瞬間、棍棒は勢いよく振り下ろされた。ギリギリでハデスは横に回避し、棍棒避ける。ハデスはそのまま、その場で踏み込み、巨人の股下へと飛び込んだ。その先にはヘェルがいる。そして、このスピード。ハデスは間違いなくヘェルを斬れる。
しかし、巨人の股下くぐり抜けようとした瞬間、
「ウグッ!! なんじゃっと!?」
ハデスは地面に叩きつけられた。もちろん、巨人の攻撃は回避した。しかし、ハデスは地面から立ち上がれない。そして、気づく。これは魔法だと。ヘェルが仕掛けていたのだと。そのトラップにハデスは気付けなかった。ヘェルの実力は相当なものになっているのだった。そのことを予測していたかのようにヘェルは振り返り、満面の笑みを浮かべながらハデスを見つめる。そして、
『これは、"重力魔法"ッ! 君が昔、僕に教えてくれた魔法さっ!』
「ーーーーーーッ!」
笑いながら、無力なハデスにヘェルはそう言う。
『重力魔法』は、その一定の範囲の重力を何倍も高める『闇属性』の高位魔法だ。ハデスもよく使う魔法の一つ。そして、ハデスが昔、ヘェルに教えた魔法である。その魔法にハデスはやられたのだ。
悔しさにハデスは自分の唇を噛み締める。そして、今までハデスを探していた巨人は自分の下にいるハデスを見つける。見つけた途端、振り上げられる棍棒。
だが、下ろされる前に、
『待てっ! もういいっ!』
ヘェルが巨人の攻撃を止める。そして、
『このカスには僕の夢をっ! 僕が叶えた夢をっ! 見てもらうっ! 散々否定し僕を認めなかった奴を殺すのは、その後だっ! このカスは僕が殺るっ!』
ヘェルはそう言って再びフィアの元へと歩き出す。無力になったハデスは、動くことが出来ない。そして、ただただ目の前の光景を見ることしか出来ないのであった。
そして、ヘェルはフィアの元へ辿り着く。フィアは下を向いたまま、その目の前で起きてしまった"死"を悔やんでいた。そのフィアに向かってヘェルは喋り出す。
『フフフッ! 貴方のお陰ですっ! 僕の人生っ! 僕の願いは叶えられたっ! 見てみるんだっ!』
そう言って、ヘェルは片手でフィアの頬を掴み、そのフィアの顔を天の魔法陣に向ける。そして、
『あの巨大な魔法陣っ!! 貴方の魔力のお陰で創り出すことが出来ましたっ! 綺麗でしょう? 実に綺麗な魔法陣だっ!! 僕の夢っ! 貴方に見せてあげましょう!!!』
そして、ヘェルはもう片方の手を天に向けて上げる。ヘェルの手に魔力が溜まっていく。そして、
『死霊門ッ!!!!!』
そう言った途端、ヘェルの手から『闇』が放たれる。その放たれた『闇』はみるみるうちに天に昇っていく。そして、魔法陣に届いた瞬間、魔法陣は輝きを放つ。その中からは巨大な門が出てくる。その閉じた門を、
『解放っ!!!!!!!』
そのヘェルの合図と共に門は開かれる。次の瞬間、周りを漂っていた霊たちが門に吸い込まれていく。
『死霊門』とはヘェルの創り出した"闇属性"最高位魔法の一つである。欠点は膨大な魔力を消費するということだが、この魔法は開かれると共にこの空間にいる霊を吸い込んでいく。そして、術者の中に閉じ込めるのだ。もっと詳しく言うとこういう事だ。術者は魔法によってこの空間と術者自身の中の空間を繋げる。そして、門が開かれるとその門はこの空間にいる霊たちを吸い込んでいく。すなわち、術者の中に入れていくのだ。そして、霊たちをその中に閉じ込めることが出来るのだ。
だが、普通はこの魔法は何にも使えない。まず、入れたところで自分の中に霊が住み着いただけである。しかも、この魔法は"永久継続魔法"でもある。これは一度使えば死ぬまでずっと効果が続くのだ。ならば、出すことは普通ならば不可能である。しかし、ヘェルの場合は例外だ。何故なら、ヘェルにはもう一つヘェルにしか使えない魔法がある。そう、『死霊の魔法』だ。この『死霊の魔法』と『死霊門』を二つ同時に使うことでヘェルには強力な武器になる。要するに、閉じ込めた霊たちを死霊として蘇らせ、取り出すことが出来るのだ。しかも、『死霊門』は"永久継続魔法"なので死霊の出し入れは自由。好きな時に好きなだけ蓄え、蘇らすことがヘェルには出来るのだ。しかも、今、この冥界にはかなりの強者の霊たちしか漂っていない。多くの死霊たちはフィアの『光』によって多くは消滅した。でも、その『光』によって"ヘルタワー"の下層部の霊たちの封印は解かれた。そして、その強力な霊たちは今、門によって強制的に閉じ込められていく。そして、閉じ込められたらもうヘェルの言いなりの人形の完成なのだ。そう、ヘェルは最凶の力を手に入れてしまったのだった。
そして、門は閉じた。そして、冥界の空から魔法陣は消えた。ヘェルの『死霊門』は終わったのだった。それを見て、ヘェルは天に向かって上げていた手を下げる。そして、フィアの頬を押さえていたまま、フィアの顔を自分に近寄せた。
『どうだい? 最高のパフォーマンスだったろ? 僕の中に霊たちたちが入り込んでくるっ! 素晴らしいっ!!! 君もそう思わないかね?』
ヘェルはフィアを見ながらそう言った。しかし、フィアの脳は悔しさでいっぱいだ。
ーー私のせいだっ! 私のせいでっ!ーー
フィアは自分を責めるしか出来なかった。ルミウスを救えず、さらには自分の力でとんでもない魔法を発動させてしまった。フィアは悔やんでいた。
それを見て、ヘェルの顔から笑みが消える。
そして、
『君も喜ばないのかいっ! 僕の夢をっ! 偉大なる僕の夢っ! 君は、君も否定するのかいっ!』
ヘェルはフィアの頬から手を離し、足でフィアを突き飛ばす。無力に突き飛ばされるフィア。その態度とヘェルの中にある怒りは爆発する。
だから、
『武装解除ッ!!!!!』
次の瞬間、ヘェルの手にはあの"ヘェルサイズ"が現れる。そして、ヘェルは突き飛ばしたフィアに近づき、
『見損なったよっ! やはり、僕には魔王様しかいないようだ、君は死霊で殺すのも惜しい、僕の夢を叶えてくれた人でもあるからね、ならばっ! 僕の手によって君は死んでもらうっ!!!』
怒り狂うヘェルは、フィアの顔面すれすれに鎌を突き出し宣言した。それに対して、フィアは、
「い、いやっ!! し、死にたくない......」
フィアはそうヘェルに向かって言った。その言葉はヘェルの逆鱗に触れる。振り上げられる"ヘェルサイズ"。
「や、やめるんじゃっ!!!!!!」
ハデスは遠くからその様子を見ていて、フィアの死を前に前身の力を振り絞って叫ぶ。しかし、そんなのではヘェルの鎌は止められない。そして、ハデスの重力は強まる。
「なっ!! ぅううっ!ぅ!う!!」
苦しむハデス。ハデスはその場から動けない。フィアを助けられるものはいないのだ。
ついに、ヘェルの鎌に魔力が溜まる。
そして、
『さようなら、僕の恩人』
次の瞬間、ヘェルは"ヘェルサイズ"は振り下ろすのだった。
絶体絶命のフィアっ!?果たしてどうなるかは?! 次の話をお楽しみに〜♪




