8 独占的な話を
一通りやって負けたのが咲夜だけでした。で、今は今で大変大変。廊下に出て涼んでいると魔理沙や早苗、レミリアにも興味を持たれ、質問攻めを。
那奈海とは紫に引きずり込まれて最初の友人………のはずが喧嘩して今はこんな感じ。
「どうしたんです?アリス?」
何かを言おうとして止めたようなもどかしい表情をしていた。
「私も何をしようとしたか忘れました…あの。」
「うん?」
「あなたに……」
アリスは一息してから続けを声に出した。
「好きな人はここに居ますか?」
「はい?」
「こ、恋してる人…。」
天翔は考えていた。
「どうかな?」
しかし、笑って答えることを選んだ。
「告白かな?好きです!」
アリスは一気に言った。
「あ、気付かれたのかな?逃げまーす。」
アリスは走っていった。今はまた一人。そう思って振り替えったら魔理沙がいた。 あれ?ハーレムとかいうのかこれ?逆?
「いや、痺れるね。」
「ありがと。」
「何?その言い方。」
「魔理沙って面白いね。だからハマるんだよね。」
「な、何よ?」
やけくそに言葉を挟む魔理沙は天翔の手に自分の手を重ねる。
「愛してる…」
はて、何回するんだ?これ。
「え?」
「い、いや。何もない。」
そう言うと「霊夢?」と言いながら帰っていった。そうかと思って景色を眺めてもう一度振り返ったら誰も居なかった。なんだ、夢なのか。と思ったが視線がリアルで貫かれてる気がして違うと判断した。その時、何かが走ってくるのが見えた。誰だ?と思っても分からず…近付いてきたらミスティアだった。慌てて走って廊下を曲がったら誰かの足に引っ掛かり、慌てて受身を取った。
「撒いたか?」
焦ったが取り敢えず…。大広間に帰ることを先決にした。
「あ、すぐに行くなんて…」
文は少し落ち込んだ。
「記者としてのプライドも落ちますよ……。」
「な、なんでですか?」
皆が顔を揃えるなか、巫女二人に吸血鬼にも睨まれて「好きな人は??」と訊いてくるなんてふざけんなよ!
「き、祈李魔?」
「私は私。」
無視か。
「聞きたいのなら個人として来てくださいよ。言いづらいです。」
でも、まだかな。言うには『恋』なんだろうね。でも、僕は…………。
「だったら啼かせてやろう。」
「あっそう?」
「艶かしい話して♪」
紫まで現れる。ふざけるなよ!マジでよ!!
てか、艶かしいか?
「秘密で通しますよ。そのままじゃ。?!」
手を掴んでるのは紫だった。
「何を思ってるんです?」
無言だった。腹立つ。
「そろそろ離してください。」
怒気を放ちながら言った。
「そうね。」
ゆっくりと離された。何を思ったんだ?
「覚めた?」
神奈子は心配そうに声をかけた。 天翔は皆に背を向けて座り込んだ。
「紫……だから僕は苦手なんだ…飄々とするの、嫌いだから。」
「でも、私が最終判断よ?無駄よ。」
「だから、それが、一言が苦手なんだ。」
性格からすると逆に近い。
「ピリピリ感が好きなの。」
「…………。」
「そ、天翔?」
今度は霊夢が心配そうに声をかけた。鏡に写る天翔と紫の距離はかなり近い。怒りが治まらない天翔は隙間を作り、妖夢の刀を手に握った。
「なぁ、紫?見えてる?」
「いいえ。」
その声が聞こえた瞬間に居合い斬りの要領で振り返り間際に刀を振るった。しかし、隙間に逃げ込まれた。
「逃げ足構えてたか。」
妖夢に至っては冷や汗までかいていた。
「ごめん、勝手に使ったからな。すまん。」
それを妖夢に手渡すふりをして後ろに振り返る。
「危ないわ。」
「あんたがでしょ?」
「遊ぶのも…」「終わりにしようか。」
そのまま妖夢に返して紫が完全に消えたのを確認して深い溜め息を吐いた。
「本気同士でやりたい……。」
「天翔?これ。」
魔理沙が天翔の好物の料理を勧めた。
ここでね。独り占めにしたがってる皆でございます。