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「新次郎! 下がってるです!」

「おい、ロリ子!」

放たれた五本の光を見て、ロリ子は新次郎をかばう形で前に立った。

そんなロリ子に向かって、新次郎はすぐさま言う。

「お前、ロリポップサイスが砕けたってのにどうやって戦うんだよ!」

新次郎の指摘は正しかった。さっきの光を受けて、ロリ子の一番の武器であるロリポップサイスは原形を留めることなく破壊されている。当然、今のロリ子は素手の丸腰に見える。

しかし、ロリ子の表情はいつもと変わっていない。ロリポップサイスが砕けて使えていないとわかっていても、余裕を感じている表情だ。

「心配するなです! 私の武器はあれだけではないのです!」

そういうと、ロリ子はドレスの中に手を突っ込み、小さな棒つき飴玉を取り出した。

ロリ子はその小さな棒つき飴玉を構えると、そのまま向かってくる五本の光に向かって跳躍した。

「これが私の第二の武器です! キャンディハンマー!」

ロリ子の言葉と共に、手に持っていた棒つき飴玉が急に光を放ち始める。その光が止んだ時、持っていた棒つき飴は巨大化し、ロリポップサイスと同じ大きさのハンマーちなった。そのまま巨大なハンマーを構えると、向かってくる五本の光に向かって思いっきりキャンディハンマーを振るった。

「やぁあああ!」

叫び声と共に振るわれたキャンディハンマーは、向かってきた五本の光を弾き飛ばした。光は弾き飛ばされたことで軌道が変わり、まったく見当違いのほうに飛んでいき、壁にぶつかって拡散した。

「ふっ……さすがは我が娘だ」

ロリ子の父親はあくまで冷静に言う。しかし、殺すつもりで放った五本の光をいとも簡単に弾かれてしまったことに、動揺を隠し切れないでいるようだ。その証拠に、ロリ子の父親は右手をすでに構えている。次の攻撃にいつでも入れる体制を作っているのは、それほど目の前のロリ子が油断ならない相手だということだ。

それを感じているのか、ロリ子はキャンディハンマーを構えたまま、得意げな顔になっている。

「どんなもんです! 邪魔するなら誰だって容赦はしないです!」

ロリ子はそう言うと、再び高く跳躍し、そのままキャンディハンマーを構えてロリ子の父親に向かっていった。今度は攻撃を弾くためだけではなく。、ロリ子の父親の頭に攻撃を加える構えだ。

しかし、それゆえにロリ子の動きは単純で読みやすくなる。心理戦や頭脳戦に疎いロリ子にとって、攻撃は相手に向かって真っ直ぐ飛んでいく以外に考えがない。

ロリ子の父親の口元が、僅かに緩んだ。勝機が見えた、そんな感じに見える。

「馬鹿め!」

ロリ子の父親は、構えていた右手で拳をつくり、向かってくるロリ子に放った。

ロリ子はすぐさまかわそうとするが、僅かにロリ子の父親の拳の方が早かった。拳はロリ子に直撃し、後ろに吹っ飛ばされる。吹っ飛ばされた勢いのまま、ロリ子は壁に激突し、派手に埃を舞い上げた。

「ロリ子!」

すぐさまロリ子に駆け寄る新次郎。

見ると、派手に激突したことで壁がえぐられていて、激突のエネルギーがすさまじいものだということを物語っている。その中心には、えぐれた壁の破片に埋もれているロリ子がいる。派手に吹っ飛ばされたようだが、体に外傷は無い。どうやら、智野先生が縫い付けてくれた防御素材がダメージが軽減してくれたようだ。

しかし、それでもダメージが無いわけではないようだ。うめきながらゆっくりと崩れた壁から出てこようとするロリ子の表情は、僅かな痛みに歪んでいる。

新次郎は、すぐさま散らばっている瓦礫をどけて、埋まっているロリ子を引っ張り出す。

「おい、大丈夫か!」

「うぅ……何とか大丈夫なのです」

壁から出てきたロリ子は、ドレスについた埃を軽く払うと、再びロリ子の父親に向かって構えた。

「やはりまだ未熟者だな。我が娘よ」

勝ちを確信しているロリ子の父親は、見下すようにロリ子に言い放つ。

それに対して、ロリ子は反発せずに苦い顔を浮かべた。

「うぅ……啖呵切ったのはいいですけど、やっぱり力の差は歴然なのです……」

ロリ子は呟いた。

やはり、ミッション達成率100%は伊達ではないようだ。学校で戦った鳥獣神一族の戦士とは大違いだ。それは、実際に戦っているロリ子はもちろん、新次郎も肌で感じ取っていた。このまま続けても、ロリ子に勝ち目など無い。

「おいロリ子、どうにかならないのか?」

心配になった新次郎が聞く。

「どうにかって……私はお父さんの力の秘密も知らないのです……」

いつもなら減らず口をたたくロリ子だが、今回ばかりはそうも言っていられない様子だ。言葉の中に、弱気な感情が含まれている。

それを理解した新次郎は、何とか今まで見たロリ子の父親の動きを思い出し、何か突破口がないかを考える。

「何かあるはずだ……あいつを止める、突破口が何か……」

色々と思案してみるが、やはり何も出てこない。指先から放った真っ直ぐな光も、五本の指から放った光も、右手から放たれた拳も、どれも強力なものばかりであり、付け入る隙が無い。

次第に表情を歪ませる二人。

「落ち着け……何かあるはずだ……!」

新次郎の頭の中で、同じシーンが何度も再生され続ける。ロリ子の父親の動きを何度も頭の中で思い出し、針の穴の先しか通らない隙でも探そうと必死に思案する。隙じゃなくても、何かのヒントの糸口でも見つけられないかと、必死に頭を悩ます。

その時、


「……!」


新次郎が、何かを閃いたようにハッとなった。


今までロリ子の父親が繰り出してきた攻撃を何度も思い返し、何かないかと考えていた新次郎の頭に、一つの仮定が生まれた。

ヒントを見つけた。新次郎の頭に一筋の光がさす。

「……ロリ子」

新次郎はロリ子の肩を叩いた。

「なんですか?」

「ロリ子……あいつの左側に向かって攻撃してみてくれ」

「ひ……左側ですか?」

ロリ子は首をかしげる。

対して、新次郎の表情は真剣そのものだった。

「あぁ、もしかしたら、何か掴めるかもしれない」

新次郎は強く言い放った。

これは大きな賭けだった。もしこれで何も掴めなかったら、ロリ子の限界も近くなる。そして何より、弱点が見つからないと勝ち目が無い。しかし、何もやらないよりかは、この仮定が正しいのかを突き止めるほうがいいだろう。

その気持ちを感じ取ったロリ子は、新次郎の方を向いて大きく頷いた。ロリ子も新次郎と同じ、何もやらないでやられるよりかは行動に出たいという気持ちの持ち主だった。

「何とかやってみるです!」

 ロリ子はそういうと、すぐさまロリ子の父親の左側に回りこむように走っていった。

 「よくわからないですが、やってやるです!」

 新次郎の言葉を信じ、ロリ子は父親の左側に向かって跳躍し、キャンディハンマーを構えた。

 「無駄だ! その程度の特攻で私に挑むなど!」

 ロリ子の父親は、向かってくるロリ子に向かって右手の拳を振り上げた。

 「食らえ!」

 「っ!」

 目の前に迫ってきた父親の拳。避けようのない程に近く、このままでは直撃を受けてしまう。そうなれば吹っ飛ばされるどころでは済まないかもしれない。

ロリ子はすぐさま、構えていたキャンディハンマーで拳を受け止めた。

 二つの力がぶつかり合い、両者に強い衝撃が走る。

 「くっ!」

 衝撃に押しつぶされそうになるロリ子は、何とかその衝撃に耐えようと全身に力を込める。力を込めていなければ、衝撃に負けてそのまま吹っ飛ばされてしまう。

 そして、ロリ子はありったけの力でキャンディハンマーを振るった。

 「えぇい!」

 「うぬっ!」

 キャンディハンマーを振るったことによって、父親の拳をうまく受け流すことに成功した。拮抗していた力が逸れて、お互いが違う方向に体が流される。

 ロリ子の父親がよれている横で、ロリ子は強力な父親の拳を受け流したことでふらふらになっていた。ありったけの力でキャンディハンマーを振るったのが応えたのだろう、地面に着地した瞬間によろよろとよろめく。

 「ロリ子!」

 すぐさま駆け寄る新次郎。

 その新次郎に向かって、ロリ子は怒ったような表情で詰め寄る。

 「新次郎! 結局何もなかったじゃないですか!」

 詰め寄ってくるロリ子だったが、対して新次郎の口元は少し緩んでいた。

 「……どうしたですか?」

 いつもとは違う新次郎の表情に気づいたロリ子は、詰め寄ったまま首をかしげる。

 そんなロリ子に向かって新次郎はハッキリと言った。


 「わかったぞ。あいつの力の秘密が!」



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