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 「ふん、やはり未熟者だな。我が娘よ」

 ロリ子の父親が笑う。

 わかっていたことではあったが、ロリ子とロリ子の父親の戦闘能力の差は圧倒的だ。ロリ子の身一つはロリ子の父親の手のひら以下ということになる、まさしく天と地の差だ。

 その差を目の前にして苦い顔をする新次郎。このままでは麻穂を救うどころか、この狩猟島から無事に脱出することすら叶わなくなってしまう。

 「おい、ロリ子の父親さんよ」

 勇気を振り絞り、巨大なロリ子の父親に向かって声を放つ。しかし、その圧倒的な存在感の前に完全に押されているのか、体と声がかすかに震えている。

 「あんた、任務達成率が100パーセントらしいな。そんな凄腕のあんたが何で人質なんてせこい真似をするんだ?」

 挑発とも取れる新次郎の言葉に、ロリ子の父親は鼻で笑った。

 「せこい真似か……」

 「あぁ、せこいぜ。ロリ子以外の狩猟神一族は汚い手が得意なのか?」

 その時、ロリ子の父親の手が動いた。

 「狩猟神一族というブランドは、お前達が思っている以上に高いものなのだ。それ故、私たちに失敗は許されない。あらゆる手を使い、確実に任務を遂行し、狩猟神一族のブランドを守る必要があるのだ」

 「だからって、こんなせこい真似をするって言うのかよ」

 ロリ子の父親の言葉に毒づく新次郎。しかし、それでもロリ子の父親は動かない。

それは、狩猟神一族の族長として、その名を守ろうとする強い意志の表れでもあるのだが、今の新次郎にそれを理解するほどの冷静さはない。

「それに、あんたは何で俺達をこんな所に来させたんだ? まさか娘の依頼を取ろうなんて言うんじゃないだろうな」

ロリ子の父親に対する怒りなのか、さっきまでの体と声の震えは無くなっている新次郎。

その新次郎の言葉に対して、ロリ子の父親はその大きな手で新次郎に指を差して答えた。

「その通りだ。いつまでも任務を遂行できない娘に代わり、一之瀬 新次郎、貴様を抹殺する」

はっきりと言うロリ子の父親。

それに対して新次郎は、怒りながらも疑問を顔に浮かべている。

「おいおい、そもそもなんで俺はお前達狩猟神一族に狙われないといけないんだ? それに、前に会った鳥獣神一族とやらも俺のことを狙っていた」

新次郎はロリ子の父親に向かって言う。

それは、ロリ子が新次郎の前に現れてから今まで、ずっとわからなかった疑問だった。未来に害を及ぼすと思われる存在の排除が狩猟神一族の仕事と言っていたが、新次郎はまったく身に覚えが無い。未来のことは誰にもわからない、と言われればそうなのだが、それでも新次郎は一向に腑に落ちないままだった。

「教えろ、お前は俺の……何を知ってやがるんだ」

一拍置いてから新次郎が問いかけると、ロリ子の父親はゆっくりと語りだした。

「教会から提示されたミッションの中で、貴様の抹殺はSS級ミッション。どのミッションよりも難易度が高く、失敗は許されないものだった」

「俺を殺すことが……?」

「貴様の写真を見た時、こんな男がSS級ミッションのターゲットなのかと正直驚いた。それ故、私は貴様の身辺を調査させてもらった」

男の言葉に驚く新次郎。まさか自分が狩猟神一族に調査されていたとは思わなかったからだ。

そんな新次郎に、ロリ子の父親はさらに続ける。

「そして貴様を調べた結果、SS級ミッションとなった最大の理由が見つかった」

「一体それは……何なんだ!」

新次郎は鬼気迫る表情でロリ子の父親に向かって叫ぶ。自分でも皆目検討もつかなかった真実を前に、新次郎は焦っていた。

そして、ロリ子の父親は焦る新次郎を指差したまま、ゆっくりと口を開いた。


「貴様は……人間ではない」



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