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「ふふふふふふ……」
爽やかな春の朝に似つかわしくない不気味な笑い声は、新次郎の部屋の中から聞こえてきた。そこには、ロリポップサイスを構えて笑っている、端から見ると不気味なロリ子がいた。
「我ながら天晴れな考えなのです……、人間は寝込みが一番油断している、ならば寝込みを襲えば確実に殺せるのです」
何故それが一番最初に出てこなかったのか、いささかロリ子の思考回路を疑うが、非常に理にかなっている作戦であることは間違いない。
ロリ子はこの作戦をワシと戦った日の夜に思いつき、作戦のために休日であるにも関わらず早起きをし、新次郎の部屋に抜き足差し足忍び足でやってきたのだ。手にはもちろん、ロリポップサイスが握られている。
そして、ロリ子は新次郎が寝ているベッドの前にたどり着いた。
「さぁ、今度こそ私の手で殺されるです!」
心の中で気合を入れ、ロリ子は持っていたロリポップサイスを思いっきり振り上げ、勢いよく振り下ろした。
振り下ろされたロリポップサイスは、全く動かないベッドの上の掛け布団のふくらみを完全に捕らえ、振り下ろされた勢いそのままにふくらみを切り裂いた。
「手応えありです!」
思わず大声で叫び、ガッツポーズをするロリ子。
任務を達成できた喜びに浸りながら、ロリ子は新次郎の死に様を見ようと勢いよく切り裂かれた掛け布団もろとも引き剥がした。
しかし、そこには新次郎の姿は無かった。
「………………ふぇ?」
そこにあったのは、白い布で作られた人形だった。ロリ子に切り裂かれたことによって、中に入っている綿が多少人形からはみ出ている。ご丁寧に顔のほうには「馬鹿」と書いてある。
それを見た瞬間、ロリ子は沸き立ってきた怒りに身を任せて地団駄を踏む。
「……キー! 絶対許さないのです! 狩猟神一族をここまでコケにした報いは必ず!」
ここまで言ったところで、ロリ子は異変に気づいた。
真っ白な人形の中に、何かがある。その何かをよく見てみると、それはロリ子が武器として愛用している丸い飴玉だった。
もちろんこれはただの飴玉ではない。この飴玉は、学校で新次郎を襲う時に使った(結果は失敗に終わったが)、ロリ子特製の【飴玉爆弾】である。
何でこれがここにあるのかわからなかったが、とりあえず目の前に爆弾がある。そう認識した瞬間、目の前の爆弾が強い光を放った。
「フギャアアアアア!」
巨大な爆発音に紛れて、ロリ子の断末魔が響き渡る。
「やれやれ……」
その様子を隣の部屋で見ていた新次郎は、ロリ子の哀れな姿を一瞥して軽いため息をついた。
まさかこうも簡単に引っかかるとは、さすがの新次郎も思っても見なかっただろう。しかし、ロリ子は完全に新次郎の手のひらで踊らされているだけだった。
「こんな調子で本当に俺を殺すことなんか出来るのかよ……」
ターゲットながら、自分を殺そうとしているロリ子を心配する新次郎は、そのまま頭を掻きながら一階のリビングに降りていった。




