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 その後は特に何も無く、二人は帰路についていた。

 ワシが破壊した校舎は、結界の中にある学校なので、現実世界にある校舎には影響は出ないらしい。確かにあった抉れた校舎の跡が、全く残ってなかったのが何よりの証拠だ。

 結果、学校の生徒に被害も無く、ロリ子と新次郎にも目立った怪我もなく校舎も無事、新次郎を狙う鳥獣神一族もいなくなった。

理想的な展開となったが、二人の間では「何事も無く事件は解決!」とはいかなかった。

 「それにしても、一体何なんだ? 俺が狙われる理由って」

 新次郎がふと呟く。

 ワシはあの時、「新次郎を狙うのは鳥獣神一族だけではない」と言っていた。それはつまり、狩猟神一族以外の一族も新次郎を狙っていることになる。

 しかし、その理由を聞き出そうにもそのワシはもういなければ、ロリ子もその理由がわからない。

結果、「新次郎が狙われる理由」のみが謎のままになっているのだ。

 「ターゲットの始末は基本、全て狩猟神一族に一任されるのです。それを度外視してるってことは、それだけ新次郎が危険ということになるのですが……」

 ここまで言ったところで、ロリ子も口を閉ざした。

 まだ二日ではあるが、ターゲットである新次郎と一緒に行動してみても、ロリ子にはそれほど新次郎が危険視される理由が全く見つからなかった。

 力が強いわけでもなければ、何か巨大な野心を持っているわけでもない。

 それ以前に、「狩猟神一族のターゲットとなる」理由が全く見当たらないのだ。狩猟神一族のターゲットは、大半が未来に影響を及ぼす人だと言うことを知っているロリ子にとっては、新次郎がターゲットになる理由がわからない。

 「ま! それでも私が新次郎を殺すことに変わりはないです! 理由は二の次なのです!」

 ロリ子が屈託のない笑顔で言う。その笑顔から、「殺す」なんて単語が出るなんて誰も思わないだろう。

 「ったく……、能天気な奴だな」

 新次郎がボソッと呟きながら、制服のポケットに手を突っ込む。

 「?」

 その時、ポケットの中に何か入っているのに気づいた。取り出してみると、それはあのワシが書いたとされる屋上への呼び出し文だった。

 新次郎は封を開けて、中の手紙を広げて見てみた。

 「ほんとだ……、人間には見えないようになってるんだな」

 ロリ子の話では、この手紙は神の世界に住む一族しか読めないという話だったが、確かに手紙は白紙に見える。

 「しかし、何で人間の俺にこんなもん書いたんだ?」

 ふとよぎった理由を考えてみるが、普通の人間にそんなことがわかるはずが無い。

 新次郎はすぐさま、持っていた手紙をびりびりに破き、その破片を空に向かって放り投げた。

 紙の破片はひらひらと空に向かって舞いながら、風に乗ってどこかへ行ってしまった。

 「……ん?」

 刹那、新次郎の足が止まる。

新次郎はひらひらと舞う紙に何かが見えた。それは文字のようにも見えるし、記号のようにも見える。はっきりとしたことはわからないが、紙に何かが書いている、ということだけが見えた。

 「新次郎? どうしたですか?」

 違和感を覚える新次郎の横でロリ子が話しかけてきた。

 「……偶然か、見間違いだろうな……」

 そう呟いて、新次郎はそこで思案を止めた。

 そうだ、今見えたのはきっと偶然だろう。新次郎はそう、自分の中で解決させた。

 人間にはこの手紙は見えないのだから……。


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