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沈黙する二人。
その二人を嘲笑うかのように、ワシは飛んできた水飴ボールを空中でうまくキャッチし、咀嚼してそのままゴックンと飲んでしまった。
「ふはははは! いいおやつだ!」
高笑いするワシ。喉を鳴らして、本当においしそうに飴を食べている。
「………………てへ! ギョム!」
失敗を笑ってごまかそうとしたロリ子だったが、新次郎にその手は通用しない。すぐさま頬をガッチリ掴まれてギリギリと痛めつけられる。
「誰が餌付けしろって言った!」
「べぶべびばぼぼべばばびべぶ!」
ちなみにこれは「餌付けした覚えは無いです!」と言っている。
何となくだが、新次郎にはこうなることが予測できていた。頭の隅で、こんな展開を期待していた自分を殴りたくなる。
「ちっ、ロリ子、水飴ボールを貸せ!」
ロリ子の頬から手を離し、すぐさま手を向けて水飴ボールを要求する新次郎。
「で、出来るですか?」
「お前がやるよりはマシだろうよ」
その言葉にカチンと来たロリ子だったが、今の状況を考えてそっと怒りを心にしまう。今ここで言い争っていても始まらないのは、ロリ子じゃなくてもわかることだ。
すぐさま水飴ボールを作り新次郎に渡すと、新次郎は思いっきり振りかぶって飛んでいるワシに狙いを定めた。
「よく狙うですよ!」
「わぁってるよ!」
ロリ子の言葉に答え、新次郎はありったけの力で水飴ボールをワシに向かって放った。
「ふはははは! おかわりとはありがたいな!」
飛んでくる水飴ボールを見て、再び口を開けて食べようとするワシ。
しかし、水飴ボールはワシの口を通り抜け、勢いよくワシの眼に当たった。
「ぬぁ!」
粘着性のある水飴が目に付着したワシ。何とか取ろうと羽で目を擦るが、一向に水飴は取れる気配が無い。それどころか、擦っている羽が水飴にくっついて離れなくなり、バタバタと暴れながらまっさかさまに落ちてきた。
「しめた! 奴が落ちてきたぞ!」
新次郎の言葉と共に、そのまま屋上に墜落してきたワシ。まだ水飴が取れないのか、せわしなく羽をバタつかせている。鳥なのに、その様子は何故か魚に見える。
「ふん! 飛べない鳥など私にとってはただの標的なのです!」
そう言うと、ロリ子はロリポップサイスを構えながら勢いよく跳び上がり、ワシに向かって真っ直ぐ落下してきた。落下の勢いが加わり、その勢いはどんどんと増していく。
「私の標的を奪おうとした罪は重いのです! 容赦は無しです!」
どんどんと加速していくロリ子の表情に、容赦や手加減のような情は一切感じられない。
その落下の勢いを殺さないまま、ロリ子はワシに向かって思いっきりロリポップサイスを振り下ろした。その瞬間、ワシの体をロリポップサイスが見事に切り裂き、千切れた羽が空へひらひらと舞い上がる。
「ギャアアアアア!」
乱れ飛ぶ羽をバックに響くワシの叫び声。
それと共に、切り裂かれたワシの体が光り輝き始めた。
「くそぉぉぉぉ! 貴様らの顔は覚えた! この恨みは絶対に忘れぬぞぉ!」
ワシの苦し紛れの言葉と共に、光り輝いていたワシの体は舞い上がっている羽を潜り抜け、光の柱となって空に向かって飛んでいった。
そしてその光が完全に空に消えた瞬間、茶色だった空がゆっくりと爽やかな青空に変わっていった。さっきまでの不気味な雰囲気は微塵も感じられない平和な青空は、さっきまでの様子が嘘のように感じる普通の情景を彩っている。
「ふぅ、これで一件落着なのです!」
さっきまでワシがいた場所で、ロリ子が満面の笑みでロリポップサイスと共にVサインを高らかに上げた。




