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 「私の目的は、そこの男を抹殺することだ」

 「な! 何言ってるですか!?」

 ワシの言葉に驚き慌てるロリ子。迎撃体制を解き、新次郎を守るようにロリポップサイスを構えてワシの前に立つ。それによって、ワシが放っている強い風が全てロリ子に襲い掛かり、本当に飛んでいってしまうのではないかと心配するほどに、彼女の服を暴れている。

 ワシはそんなロリ子に向かって容赦なく風を浴びさせ続けながら、さらに言葉を続けた。

 「その男、どうやら狩猟神一族によってターゲットとなったようだな」

 「その通りです! だから他種族が干渉することは許されないのです!」

 風を受けながらも、ロリ子は怯まずに叫ぶ。しかし、それでもワシはロリ子に風を浴びせ続ける。

 「だが、その男を狙っているのは貴様達だけではないのだ!」

 「ど、どういうことですか!?」

 そこまで言ったワシは、ロリ子に強風を浴びせ続けることを止めて、空高く舞い上がりロリ子と新次郎の周りを旋回し始めた。

 「これ以上死に行く貴様らに話す事は無い! ここで私の手によって果てるがよい!」

 そして、ワシは新次郎に狙いを定め、旋回している状態から真っ直ぐに新次郎に向かって急降下してきた。

 「うわぁ!」

 「させないです!」

 驚き動けない新次郎の前に立ち、ロリ子は向かってくるワシに向かってロリポップサイスの側面、銃弾をも弾く盾を構える。

 急降下してきたワシは、そのままロリ子が構えた盾にぶつかって、甲高い音を周りに響かせた。

 「ぐぅ!」

 声を上げて後ろに下がるワシ。対してロリ子の盾には傷の一つもついていない。

 「なんと強固な盾だ……」

 「えっへんです!」

 ワシの感心の言葉に、ロリ子は体を反らさんばかりに威張ったような態度を取る。

 「ふん、しかし所詮は前からの攻撃しか防げぬ盾。上からの攻撃には対応できまい。」

 そう言うと、ワシはさっきよりも高く飛び上がり、再び二人の間を旋回し始めた。

 「おいおい、何をする気だ……?」

 新次郎が上を向いたまま呟く。ロリ子も上を向いたまま真剣な表情でロリポップサイスを構えている。

 しばらく旋回した後、ワシは新次郎の頭上に狙いを定め、翼を折りたたんで真っ直ぐ急降下してきた。

 「新次郎! 避けるです!」

 ロリ子の言葉に、新次郎はすぐさまその場を離れる。

 そして、ワシはそのまま誰もいない所に勢いよく落下した。

 その瞬間、とてつもない音が周りに響いた。見てみると、校舎が抉りぬかれ、埃が舞い上がって急降下してきたワシの姿を隠していた。

 「ふん、外したか」

 煙の中から声が聞こえる。

 見てみると、校舎は円形に抉りぬかれていて、その中心にはワシが新次郎たちを見上げていた。

 その抉れ方は、まるで小型隕石でも落ちてきたかのような抉れ方だった。それだけ威力のあるワシの攻撃を避けれなかったら、と想像して寒気を感じる新次郎。

 「おいおい……、冗談だろ……?」

 あまりにも非現実的な目の前の光景に、思わず言葉が漏れる新次郎。

 しかし、この砂埃が肌にちくちくと当たる感覚や、ワシが放った風の感覚がこれは夢ではないことを表している。

 「ならばもう一度行くぞ。今度はかわせまい」

 そう言って、煙を吹き飛ばさん勢いで翼を羽ばたかせ、ワシは再び勢いよく新次郎とロリ子の頭上へと舞い上がった。

 「おいおい、まずいんじゃないのか?」

 旋回しているワシを見上げながら新次郎が言う。

 「ロリ子、お前空飛ぶアイテムとか無いのか?」

 「あるわけないじゃないですか! 猫型ロボットじゃあるまいし!」

 ロリ子が叫ぶ。

 しかし、実際に飛んでいるワシを相手にするには、空飛ぶアイテムでも使わない限り無理だろう。特にロリ子はロリポップサイスを使った近接戦専門だ。そう考えると、ロリ子のいつも通りの戦い方ではワシには敵わない。それどころか攻撃すら届かない。

 「くそ……どうにか奴が落ちてきてくれれば……」

 新次郎が呟く。

 その呟きを聞いたロリ子は、しばらく考えた後にひらめいたように手を叩いた。

 「そうだ! いい方法があるのです!」

 そう言って、ロリ子は制服のポケットの中からドロっとした何かが入ったビンを取り出した。

 「これは……水飴トラップか?」

 ロリ子が出したのは、銀行強盗の足止めに使った粘着性の高いロリ子の武器の一つ、水飴トラップだった。

 ロリ子はビンを開け、中の水飴を器用に丸く形作った。やがて水飴トラップは野球ボールぐらいの大きさの丸いボールになった。

 「名づけて【水飴ボール】です!こうやって形作れば、水飴はトラップから立派な飛び道具になるのです! これをあいつにぶつけてやれば奴は落ちてくるはずです!」

 そう言って、ロリ子は飛んでいるワシに狙いを定め、野球選手のように大きく振りかぶった。しかし、見た目が幼い少女であるロリ子のフォームを見た瞬間、新次郎は言い様のない不安感に襲われた。

 「おいおい、本当に大丈夫なのか?」

 ついに不安感が口から漏れる。

 そんな新次郎の心配をよそに、ロリ子は水飴ボールを構えたまま自信満々に言う。

 「心配するなです! これでも私は、狩猟神一族の中では野球は上手い方なのです!」

 自信たっぷりの前置きの後、ロリ子は振りかぶっていた水飴ボールを思いっきりワシに向かって投げつけた。

 水飴ボールは一直線にワシに向かっていった。

「狙いは眼なのです!」

ロリ子が叫ぶと、水飴ボールは本当にワシの眼に向かって一直線に伸びていった。

そして、

 パクッ!

 「………………」

 「………………」


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