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 キーンコーンカーンコーン!

 時間は経って二時間後。

 「新次郎! ゲーセン行こうぜ! 新しいアーケードの稼働日なんだよ!」

 帰りのホームルームが終わったと同時に、聖也は新次郎に向かっていった。

 いつもは暇だからという理由でついていっていた新次郎だったが、今日はいつもと様子が違う。

 「わりぃ、今日は用事があるんだ、じゃあな」

 そう言って、新次郎はすぐさま鞄を背負って教室から出て行った。

 そしてその後を追って、ロリ子が聖也の隣を通って教室を出て行く。

 「あいつら……まさか学校で……!」

 くだらない妄想なのでこれ以上は触れないでおく。


 放課後、授業という学生にとっての拷問とも言える時間が終わり、最高の開放感に包まれている学生達を横目に、新次郎は屋上に向かって走っていた。その後ろには、しっかりとロリ子がくっついている。

 「何でお前まで来るんだよ」

 当然の疑問をぶつける新次郎に、ロリ子は当然のように口を開く。

 「そんなの当たり前です! 万が一、新次郎の身に何かあったら私の任務が果たせないじゃないですか!」

 当然だ、と言わんばかりの顔で新次郎に向かって言い放つロリ子。

 対して新次郎も、当然の事を聞いて軽くため息をついた。

 「……おっと、ここだ」

 そうこうしている内に、新次郎とロリ子は屋上の扉の前に来ていた。放課後だということもあって、扉の周辺には人の気配は無い。

 「さて、一体何が待ち受けているのやら……」

 「油断するなですよ」

 一言だけ言葉を交わし、新次郎は屋上の扉を勢いよく開け、二人同時に屋上に飛び込んだ。

 「………………」

 「………………」

 そこには何も無い屋上の風景が広がっていた。目を引くようなオブジェクトがあるわけでも、奇抜なスタイルの人が立っているわけでもない。澄み切った空、そして向こうに広がる住宅街の景色を遮るものは何一つ無かった。

 「…………?」

 あまりの何も無さに思わず新次郎は首をかしげる。何か不思議なことが起こるのだろうと覚悟していた新次郎にとって、この日常的過ぎる光景は拍子抜けなことこの上ない。

 「何だ、何も無いじゃないか」

 「……違うです!」

 のんきに呟いた新次郎の横で、ロリ子が鬼気迫ったような声、そして真剣な表情で新次郎に注意を促す。

 「あ?」

 突如のロリ子の声に間の抜けた声を出す新次郎。そんな新次郎に向かって、ロリ子は自分の手で思いっきり上を指差した。

 「上です!」

 二人が同時に上を向いた瞬間、新次郎の目の前で信じられないことが起こった。

 何の変哲も無い青空が、まるで水の色が変わっていくかのように渦を巻きながら紫色に染まっていき、やがて空は綺麗な青空から不気味な雰囲気を映し出す茶色に変貌した。

 「な!」

 突然の出来事に驚き固まる新次郎。

 その横では、ロリ子が鬼気迫る表情で空を見上げていた。

 「これは……結界です!」

 茶色の空を見て緊急事態だということを悟ったロリ子は、隠していたロリピップサイスを取り出して構え、いつでも戦える状態を作り出す。

 二人が同時に空を見上げて構えていると、茶色の空に何かが浮いているのが見えた。それはまるで風に舞う木の葉のようにくるくると空を旋回しながら、ゆっくりと新次郎達との距離を詰めてくる。

 「何だあれは……」

 思わず声を上げる新次郎。

 やがて、旋回しながら落ちてくるものが肉眼ではっきりわかるまでに近づいてきた。

 その正体は、大きなワシだった。どれぐらい大きいかと言えば、普通のワシの軽く十倍以上はあろうかという程で、まるで特撮映画のような怪獣のようなワシだった。

 巨大なワシを前にして全身が固まる新次郎の目の前で、ワシはゆっくりと屋上に着陸した。そのサイズはさっきの大きさの認識のさらに倍以上であり、目の前というだけあってその迫力はとてつもないものだ。

 「おいおい……、一体何なんだよ……」

 降り立った巨大ワシの迫力に思わず圧倒される新次郎。

 その横では、ロリ子がロリポップサイスを構えたまま真剣な表情で巨大ワシを睨んでいた。

 「お前……、鳥獣神一族ですね!」

 真剣な表情のままでロリポップサイスをワシに向けるロリ子。

 「如何にも、ワシは鳥獣神一族のエリート戦士だ」

 ロリポップサイスを向けられたワシが喋ると、空気が一瞬で変化した。まだ現実を受け入れきれないでいた新次郎は、波紋のように広がるこのただならぬ雰囲気をいち早く察知していた。

 もちろん、ロリ子もこの空気を感じ取っているようだ。いつでも迎撃体制に入れるようにロリポップサイスを構えたまま、ロリ子はさらに言葉をぶつける。

 「何故、鳥獣神一族が人間界にやってきたのですか!?」

 それを聞いたワシは、突然翼を羽ばたかせ、空へと舞い上がった。舞い上がったワシが放つ風によって、新次郎とロリ子は思わず自分の体を腕で守り、飛ばされないように足に力を込める。

 ワシは、羽ばたいた状態のままでグイっと足を上げ、足の爪で新次郎を指した。


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