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 キーンコーンカーンコーン!

 時は流れて約四時間後。

 「キュウゥゥゥ……」

 ここは校庭のあまり人が訪れない場所。そこには新次郎と、疲れ果てて校庭に備え付けてある木のテーブルに突っ伏しているロリ子の姿があった。

 「殺さないのか?」

「そんな元気があればとっくにやってるですよ……」

皮肉めいた新次郎の言葉に、ロリ子は突っ伏しながら答えた。

 一時間目が始まる前から周りに注目されていたロリ子は、一時間目が終わるとすぐさま取り囲まれ質問攻めに合った。それが二時間目、三時間目、と続き、ロリ子は精神的に疲労しきっていた。

 ちなみにロリ子の髪や服装が乱れているのは、新ロリ子政権の樹立を謳う実働部隊達によって連れ去られそうになったり、神輿として担がれそうになったりしたところから逃げてきたためである。ある意味、こっちの疲労のほうがロリ子にとっては大きい。

 ターゲットが目の前にいるのに、ロリ子がいつものように殺そうとしないのは、この二つの疲労が原因である。

 「こんなのがいつまでも続いたら……任務どころの話じゃないです……」

 「俺は大歓迎だがな」

 新次郎は木の机に突っ伏すロリ子を見下したように見つめる。

 ロリ子もその表情に気づいているのか、伏せている顔は非常に悔しそうだ。

 「さて……じゃあその平和をじっくり味わわせてもらいますかな……」

 そう言って、新次郎は背負っていた鞄のチャックを開けて、中から白い包みを取り出した。これはもちろん、新次郎が朝早くに起きて作ったお弁当だ。

 「ん……くんくん……」

 新次郎がお弁当の包みを取り出した瞬間、ロリ子は突っ伏していた顔を勢いよく上げてくんくんと鼻を動かし、新次郎の方の匂いを嗅ぎ出した。

 「ん? 言っておくがやらないぞ?」

 餌を見つけた犬のようなロリ子を見て、新次郎は弁当箱をロリ子から遠ざける。

 「くんくん……匂うです……」

 ロリ子が呟いた。

 「え? まさか……弁当腐っちまったか……!」

 白い包みを急いで開けて弁当箱を取り出し、中身を注意深く確認する新次郎。何度もおかずを見て、匂いを嗅いで、しばらくして安全であることを確認した。

 「何だよ、大丈夫じゃねぇかよ」

 「くんくん……違うです!」

 そう言うと、ロリ子は机から飛び降りて新次郎の鞄をひったくり、中に入っている持ち物を漁り始めた。

 「おいおい! 何やってるんだよ!」

 新次郎の言葉を無視して漁り続けるロリ子。しばらく漁っていると、ロリ子は勢いよく鞄から手を引っこ抜いて叫んだ。

 「これです! 匂いの元は!」

 「……は?」

 ロリ子の手に握られているのは、四時間前に新次郎の机に入っていた白紙の紙が入った封筒だった。

 「これが何だって言うんだよ?」

 新次郎がそう聞くと、ロリ子は封筒を開けて中の紙を開いた。

 紙を真剣な表情で見続けているロリ子に、新次郎は首をかしげる。

 「何も書いてないのに何を見てるっていうんだ?」

 そう聞くと、ロリ子は紙を再び四つ折りにしてポケットにしまうと、新次郎の方に向き直った。その表情は、さっきまでのロリ子とは違う、真剣な表情だった。

 「これは……神の世界に住む一族しか読めない手紙です。新次郎が読めないのは当然なのです。人間にはただの白紙の紙切れにしか見えないようになっているです」

 「……何でそんなものが俺に? てかその手紙の内容ってのは」

 新次郎は聞いてみると、ロリ子は真剣な表情を崩さずに言った。

 「これは……他の一族からの呼び出し状なのです。新次郎は今日の放課後、この学校の屋上に呼び出されているのです。」

 それを聞いて、新次郎はさらに増えた疑問にさらに首をかしげた。

 「一体誰なんだ? 俺を呼び出している奴ってのは」

 その質問に、今度はロリ子が難しい顔で首をかしげる。

 「わからないのです。手紙には何も書いてなかったのです。でも他の紙の世界の一族であることは確かです。」

 二人の間に流れる沈黙。

 二人はしばらく考えてみるが、納得のいく仮説が立たないままずっと頭を悩ましていた。というか、ロリ子がわからないことを新次郎がわかるはずがない。

 キーンコーンカーンコーン!

 「!」

 「!」

 二人の沈黙を破るチャイムの音。時計を見てみると、昼休みが終わって五時間目の準備に入る時間だった。

 「やべ! 次は鬼塚の数学だった! 遅れたらヤバイ!」

 「あ! ちょっと待つです!」

 新次郎は急いで手をつけてないお弁当を包みに入れて鞄に突っ込むと、鞄を振り回してその遠心力を利用して学校の入り口に体を向けて、その勢いを殺さずに鞄を背負って入り口に向かって走っていた。

 ロリ子も急いで教室に向かっていく新次郎についていく。


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