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オオエドの雪にも似たり男たち  作者: 笹吉 栄一
8/18

幕の四 ~屋敷の兄弟?~

「〽灯りを点けましょ♪ぼんぼりにぃ~♬っと。」

屋敷の紅梅はその花をほとんど散らし、地面に落ちた花びらを箒で掃く男の口からは、可愛らしい歌がこぼれている。

うららかな昼前の風はほのかに温かさを含み、近く訪れる春を予感させながら庭を通り抜けた。

男「兄貴。今日の昼餉は?」屋敷の廊下を歩く同心姿の男が、庭を掃く男に声をかける。

だが、聞かれた方の男は絶好調にノリよく歌っている…ひな祭りの歌のハズなのだが…

男「兄キ…大介君。今日の昼餉はどうする?」

タイミングを見計らって、庭掃除の青年 ―大介― に再度問うてみる。

大「あ、目黒さん。お帰りなさいっす。お仕事は?」

ようやく大介は、同心 ―目黒― に気づき、返事をした。

目「うん。今日は早上がり。」そう答えて、大介に目を向ける。

目「…まだ歌ってんの?」

大「え?あぁ、これ?」大介は人差し指をフリフリ、また鼻歌を続ける。

大「だってさぁ、もうすぐひな祭りジャ~ン?」理由は分からぬが、大変ドヤ顔である。

目「そうだね。」―この兄は春が良く似合うー そんな事を思いながらも、目黒の返事はそっけない。

大「だからさ♬何かこう、ワクワクするっていうかさ、ジッとしてらんないっていうか?」

目「…大介君がジッとできないのは、年がら年中じゃない?」

無慈悲な一言に大介は胸を押さえてしゃがみこんだ。

その大げさなリアクションに、目黒は小さく口角を上げる。

目「で?昼はどうするよ?」

大「オレ、蕎麦食べたい!」バッ!と両手を挙げた、大変元気のよいお返事が返ってきた。

これではどちらが年下なのやら。

そんな大介の両手の風圧に負けたか、梅の花がまたひとひら落ちた。

その光景を見て目黒はふと、先日覚えた唄を思い出し、何とはなしに口ずさむ。

目「〽梅は~咲いたか~ 桜は~まだかいな…」

何故か大介の目がまん丸に開かれ、マジマジと弟の顔を見る。

大「蓮…おまぇさん、その唄、誰に教わった?」

目「え………お亮さん。」

答えを聞いた途端、大介はカァーッ!と言って、片手を額にペチンと当てた。

大「あの藪ぅ~。蓮になんつう事教えてやがる。」

目「??今、流行ってるんだって。大介君、知ってた?」

大介は、綺麗な瞳で無邪気に問うてくる弟を、複雑な思いで見ていた。

大「あ…あぁ。春が待ち遠しいなぁ。っていう、唄だよな?」少々白々しいが、仕方ない。

堅物可愛い弟を、世俗の垢から守るのも「兄貴」の役割ってもんだからな。

そう本人には聞こえない様に呟いて、大介は独り胸を叩いた。

大「それよりさ!桜だよ桜!そろそろ花見の計画たてようぜ!!」

そのためにも、こんな端唄から早く話題を変えなくては。

そんな兄貴の思惑などつゆ知らず、目黒は花見の計画と聞いて顔を輝かせた。

「皆も呼んで盛大にやろう!」 

「もちのろんよっっ!!」


日一日、刻一刻と季節は柔らかく移ろっていく。梅が散れば次は桜。

彼らもまた春の風に誘われーー集いゆく。

これは、そんな人々の物語。


今を生きてる作者の方が、現代口調に直せないとかそれってドーヨw やっぱり日本語難しいw

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