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第一話「メガネっ子隣人と異世界転移」

第一話

 ピンポーン。

「お届け物でーす」

 配達員の間延びした声が聞こえる。

「はいはい。出まーす!」

 俺は、大学のレポートを書いていた。明日提出である。実にやばい。

 しかし、今日はあれが届く!

「ではサインを」

「あ、はい。えっと……」

 そして、サインをして、俺は荷物を受け取った!!

「うっしゃ! ゲームだ!」

 そう。新作のゲームが発売されたのだ。それが今日届いた。

「レポート? そんなの知らねえよ!!」

 ピッ。ガコガコ……。

 ディスクが動く。

「よしよし。このオンラインゲーだけやれれば何でもいいや!!」

 ピコン。

 そういった時に、またインターフォンが鳴った。

「あ? マジかよ? 誰だよ……」

「すみません!」

 それは、隣の相田さんだった。彼女も大学生で、俺と同じくらいの身分だ。

「どうかしました?」

「間違って、こっちに届いてしまったみたいで、私のほうにあなたのが……」

「え? じゃあ、君のゲームなの?」

「そ、そういうことです……」

 あ、あー。つまり、ゲームは同じだが、入れ替わってたと。

「じゃあ、俺ので遊んでくれていいので」

「え? あ、はい」

 その時、大きな地震が起きた。

 ぐらぐらと揺れる。

「うおおっ! ついに、首都直下型か!!」

 ゲームを落とさないように彼女を守ると、俺たちは奈落の底へ落ちていった……。


「う……。どうした? どうなったんだ?」

「あ、起きました?」

「う、うん。どうなったんだ? ここは?」

「よくわかりません。気づいたら変な草原にいました」

 まわりは、草原である。牛やら羊やらが闊歩している。

「え? ここ、日本なの?」

「私もそう思いました。でも、私たちアパートにいた気がするのですが……」

 と、メガネを直しながら彼女はまわりをキョロキョロと見回した。

「持ち物は?」

「何も……」

 何もない……? 何もないだと?

「じゃあ、俺たち、やばくね?」

「や、やばいかもしれませんね」

 彼女は、怯えた素振りも見せず、ぺたんと座りこんでいた。

「よし。とりあえず、近くに村がないか探そう。それが定石だと思うから」

 つまりこれは、異世界へ来ちゃった?


 しばらく歩いたものの、特に目新しいものはなかった。堂々巡りみたいな感じを覚えた。

「はあ……。何もねえ。マジで何にもねえ!」

 叫ぶものの、現代らしきものも、村さえもなかった。

「すみません。私がゲームを頼むから……」

「いやいや! まったく関係ないから!」

 ゲームは俺も頼んでたし……。

「ここがどこかわかる?」

「わかりません。もしかしたら……というのは、少しわかるのですが……」

 もしかしたら、というのは何となくわかるが……。

「俺も一個心当たりがあるんだよね」

「ありますよね! 私もそうなんです!」

「じゃあ、一緒に言おうぜ。せーの!」

「「ゲーム!!」」

 やっぱりか。それが答えなんだろうな。

 ここはゲームの中。そういうことだと俺たちは理解した。

「チュートリアルのデモで、こういうところがあったかなと思いまして」

「あった気がする。草原だよね」

 ゲームの中に来たとは? どういうことだ?

「何で、来たと思う?」

「異世界転生というか……」

「異世界転移というか?」

 だよね……。

「となると、早く村を探さないといけないよね……」

「そうですね。私は何もできないので、頑張りましょう!」

 いや、どう、答えたらいいのか……。笑

「腹減ったね」

「は、はい。あの羊とか食べれたらいいのになーと」

 そう言うと、めえ……と言いながら、羊は走って逃げていった。

「あ。気づかれたんでしょうか?」

「うん。たぶん。殺気みたいな?」

 笑い事じゃないというか……。マジで腹減ってきた。

「ピザ食べたいね」

「え、ええ。できればハンバーガーも」

 そんな希望を言い合いながら、俺たちは、お互いのお腹をさすった。

「はあ……。マジでどうする? 一文なしだよね。つまり」

「そうですね。一文なしですね」

 ははは……。終わった。異世界に連れてこられて、即人生終了……。

「ははは!! もう終わりだ!! 俺たちここでのたれじ――」

「そんなわけねえです!!」

 ぶっ。彼女が思いっきり殴ってきた。

「何すんだよ!」

「諦めないでくださいよ! 私だって、フライドポテトを食べないで死にたくないです! 昨日、給料が入ったばっかりなのに!」

「お、俺だってゲームしたかったけど、こういうことじゃないって思ってるよ!!」

 はあ……。どうする?

「あれ? あそこに誰かいません?」

「ん? 馬に乗っているな……。なあ、馬、うまそうだね」

「だめですよ!  せっかくの移動手段じゃないですか!!」

「ちょっと話しかけてみようぜ」

「はい」

 そして、俺たちはその人に話しかけた。

「あの……」

「おう。どうした? お前ら何? 迷ったのか?」

「はい!! すごく迷ってしまって!!」

「じゃあ、うしろに乗りなよ」

 そして俺たちは、街に到着した。その人とこれから一緒に動こうということになった。

 はたして、生きていくことができるのだろうか……?

 ここはどこなのか?

 それと、ハンバーガー。

 そして、ピザ。

 俺たちの冒険は続く!!

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