第6話: 探索サポートの活用
冒険者ギルドからのクエスト「薬草採取」を受けた健は、地図を確認しながら森へ向かっていた。隣には相棒のレオンが静かに歩いている。
「薬草採取か…正直、簡単そうだけど、初めてのクエストだし慎重にいこう。」
健は腕のウォッチを操作し、メニューから「探索サポート」を起動した。目の前にホログラムの地図が浮かび上がり、周辺の情報が表示される。
探索サポート
現在地:森の入口
クエスト目標:薬草10本(指定エリア内)
周辺:薬草のアイコン、モンスターの反応あり
「お、薬草の場所がアイコンで表示されてるな。これなら迷わず探せそうだ。」
健は地図を見ながら、薬草のアイコンがある場所へと歩を進めた。しばらく歩くと、地面に緑色の小さな葉が生えているのが見える。
「これが薬草か…ウォッチで確認してみよう。」
ウォッチのスキャン機能を使い、目の前の植物を調べると詳細が表示される。
薬草:体力回復ポーションの材料。簡単な調合で使用可能。
「よし、間違いない。これを集めればいいんだな。」
健は薬草を丁寧に摘み取り、ポーチにしまいながら周囲を警戒する。
「探索サポートがあるおかげで楽だけど…モンスターの反応もあったんだよな。」
地図には、少し離れた場所に赤い点が表示されている。それがモンスターのいる場所を示しているようだ。
「赤い点がモンスターか…。こっちには近づいてないみたいだけど、念のため気をつけよう。」
さらに進むと、近くの茂みから音が聞こえた。レオンが低く唸り声を上げ、茂みを睨む。
「レオン、どうした?…まさか、モンスターか?」
健が慎重にウォッチを確認すると、モンスターの赤い点がこちらに近づいてきていた。
「やっぱりか!距離は…あと10メートルくらい。」
茂みから姿を現したのは、一匹のウルフだった。レオンより一回り小さいが、その鋭い牙は明らかに威嚇の意志を持っている。
「ウルフか…。1対1ならいけるか?」
ウォッチが冷静な音声で指示を出す。
「ウルフ:スピードが速く、牙での攻撃が強力。ただし、防御は低めです。」
「スピード勝負ってことか…。よし、レオン、行こう!」
健が声をかけると、レオンは吠えながらウルフに突進していった。二匹は激しく噛みつき合いながら、攻防を繰り広げる。
「こっちも援護するぞ!」
健はウォッチで魔法を起動し、手を前に突き出した。
「ファイアボール!」
火の玉がウルフの脇腹に命中し、ウルフは苦しそうに声を上げる。その隙に、レオンがウルフの首元を噛みつき、仕留めた。
「やった…倒したか!」
健は大きく息をつき、レオンに駆け寄った。
「大丈夫か、レオン?怪我してないか?」
レオンは小さく吠え、健に「大丈夫だ」と伝えるように顔を寄せた。その姿に、健は安心して微笑む。
「ありがとうな、レオン。お前がいなかったら無理だったよ。」
ウォッチが戦闘の結果を報告する。
クエストクリア:ウルフ討伐
報酬:ゴールド×10、経験値×25、素材:ウルフの牙、ウルフの毛皮
「また素材が手に入ったな。牙と毛皮…何に使えるんだろう?」
健は「回収モード」を起動し、ウルフの素材を収納する。そして再び探索サポートの地図を確認した。
「よし、薬草のアイコンはあと少しだ。引き続き集めよう。」
薬草を集めながら、健はレオンと共に森を進む。次に見つけたのは、大きな赤い花を咲かせた植物だった。
「これは…薬草じゃないな。なんだ?」
ウォッチのスキャンで調べると、詳細が表示された。
赤花草:毒消しのポーションの材料。調合次第で解毒薬が作れる。
「毒消しか!これも集めておこう。」
健は赤花草を慎重に摘み取り、ポーチにしまった。
「ウォッチがなかったら、絶対にこれが解毒薬になるなんて分からないよな…本当に便利だな。」
レオンも鼻を使って周囲を探り、新たな草を発見している。
「お前も頼りになるな、レオン。おかげでスムーズに進めてるよ。」
ついに薬草10本を集め終えた健は、ウォッチのクエスト画面を確認した。
クエスト進行状況:薬草10/10 完了
「よし、これでクエスト達成だ!町に戻ろう。」
健は地図を確認しながら来た道を引き返す。レオンが横を歩きながら、時折健を見上げて嬉しそうに吠える。
「次はどんなクエストがあるかな…でも、まずは報酬をもらわないとな。」
森を抜けると、町の門が見えてきた。健は満足げに深呼吸をし、レオンに微笑んだ。
「ありがとう、レオン。次も頼むな。」
レオンは誇らしげに吠え、健と共に町へと戻っていく。