第5話: 異世界の町と新たなクエスト
ついに町の門にたどり着いた健とレオン。大きな木製の門がそびえ立ち、町の中からは人々の話し声や馬車の音が聞こえてくる。
「ここが町か…想像以上に賑やかだな。」
健が感慨深げに呟くと、門の近くにいた兵士が声をかけてきた。
「そこの若者、どこから来たんだ?それに、その狼は…?」
突然の問いかけに、健は少し戸惑いながら答える。
「あ、いや、その…森の方から来たんです。こいつは…レオンっていいます。俺の相棒で、害はないので安心してください!」
兵士は少し疑わしげにレオンを見たが、レオンが大人しく座るのを見て、安心したように頷いた。
「分かった。だが、この町では規則がある。相棒が暴れたりしないように気をつけるんだな。」
「わかりました。ありがとうございます。」
健は軽く頭を下げ、門をくぐった。町の中は石畳の道が広がり、商人たちの屋台や露店が並んでいる。行き交う人々は活気に満ち、異世界特有の雰囲気に健は圧倒された。
「すげぇ…これが異世界の町か。まるでファンタジーの世界だな。」
レオンも健の隣を歩きながら、キョロキョロと周囲を見回している。
「まずは、情報を集めよう。どこに行けばいいんだ?」
その時、目の前を通りかかった女性が、健をじっと見つめた。
「あなた、旅人ですか?」
「あ、はい。そうです。」
健が答えると、女性は微笑みながら指を指した。
「それなら、まずは冒険者ギルドに行くといいですよ。この町の冒険者たちが集まる場所です。仕事や情報が手に入るはずです。」
「冒険者ギルド…そんな場所があるんですね。ありがとうございます!」
女性にお礼を言い、教えられた方向に向かう健。やがて、大きな建物の前にたどり着いた。木造の堂々とした建物で、入り口には「冒険者ギルド」と書かれた看板が掲げられている。
「ここか…よし、行ってみよう。」
健が扉を開けると、中には鎧を着た戦士やローブをまとった魔法使いらしき人々が集まっていた。テーブルに座り、酒を飲みながら楽しそうに話す者もいれば、掲示板を真剣な表情で見つめる者もいる。
「なんか…本当にゲームの世界みたいだな。」
健が呟いていると、カウンターの奥にいる女性がこちらに気づいて声をかけてきた。
「いらっしゃいませ。冒険者ギルドへようこそ。ご用件は?」
「あ、えっと…情報が欲しくて来たんですけど、初心者でも大丈夫ですか?」
女性は優しく微笑みながら頷いた。
「もちろんです。まずは冒険者登録をしていただければ、簡単なクエストから挑戦できますよ。」
「冒険者登録…わかりました。お願いします!」
健は登録用の書類を受け取り、名前や簡単な情報を記入した。レオンのことも説明すると、女性は興味深そうに彼を見つめた。
「相棒の狼までいるなんて、心強いですね。それでは、こちらがあなたの冒険者カードです。」
健はカードを受け取り、その質感を確かめながら感動を覚えた。
「これで俺も冒険者ってわけか…なんかワクワクしてきたな。」
女性は健のカードを確認し、掲示板を指さした。
「初心者の方には、掲示板に貼ってある簡単なクエストがおすすめです。報酬もありますし、経験を積むのに最適ですよ。」
「ありがとうございます!早速見てみます!」
健は掲示板に近づき、いくつかのクエストを目にする。その中から目を引いたのは、「森での薬草採取」というクエストだった。
クエスト:薬草採取
目的:指定された薬草を10本採取して納品する
報酬:ゴールド×20、経験値×50
「薬草採取か…戦闘があるわけじゃないし、まずはこれをやってみようかな。」
健がクエストを選んでいると、近くにいた冒険者らしき男が声をかけてきた。
「おい、新人か?薬草採取なんて簡単すぎて退屈じゃないのか?」
「いや、まずは簡単なやつから始めたくて…」
男は笑いながら肩をすくめた。
「まぁそうだな。新人は慎重にやるのが一番だ。頑張れよ。」
「ありがとうございます。やってみます!」
健は改めて気を引き締め、ギルドを後にした。
町を歩きながら、健はレオンに話しかけた。
「薬草採取なんて、ちょっと地味だけど、まずは経験を積まないとな。」
レオンは小さく吠え、健の言葉に応える。こうして、二人の新たな冒険が始まった。