第4話: 町への道とレオンとの冒険
健とレオンは、スマートウォッチの地図に示された町を目指して森の中を進んでいた。レオンは鋭い耳を立て、常に周囲を警戒している。
「お前、本当に頼りになるな…俺なんかより、ずっと戦闘向きだよな。」
レオンは健の言葉に応えるように小さく吠えた。その賢そうな瞳に、健はますます信頼感を抱く。
「でも、俺も役に立たないと。お前ばっかり危険な目に遭わせるわけにはいかないしな。」
そんなことを話しながら歩いていると、前方から何かが近づいてくる音が聞こえた。健は足を止め、ウォッチの画面を確認する。
「近くにモンスターがいるみたいだ…レオン、気をつけろ。」
茂みの奥から姿を現したのは、数匹のゴブリンだった。身長は健の腰ほどだが、手には小さな棍棒を持ち、こちらを威嚇するように奇声を上げている。
「ゴブリンか…バグベアよりは弱そうだけど、数が多いな。」
ウォッチが冷静な音声で指示を出す。
「ゴブリン:集団で行動。個々の攻撃力は低いが、囲まれると危険です。」
「囲まれると危険…そうか、まずは数を減らさないと。」
健は手を前に出し、魔法を使う準備をする。
「ファイアボール!」
火の玉がゴブリンの一匹に命中し、爆発音と共に倒れる。その瞬間、残りのゴブリンたちが一斉に健に向かって走り出した。
「くそっ、来るぞレオン!」
レオンは吠えながらゴブリンの一匹に飛びかかり、素早く噛みついて動きを止めた。その隙に健は周囲を見渡し、次の行動を考える。
「落ち着け…次の魔法で仕留めるんだ!」
健はもう一度ファイアボールを唱え、さらに一匹を撃破。レオンもまた二匹目を倒していた。
「あと一匹…これで終わりだ!」
健は地面に転がっていた石を拾い、全力で投げつけた。それが見事にゴブリンの額に命中し、最後の一匹が地面に倒れ込む。
「ふぅ…なんとか全員倒せたな。」
健は肩で息をしながら、レオンを見下ろした。レオンも少し疲れているようだったが、どこか満足げな表情をしている。
「ありがとう、レオン。お前がいなかったら絶対無理だったよ。」
ウォッチが再び音声で報告をする。
「クエストクリア!報酬:ゴールド×15、経験値×30。素材:ゴブリンの牙、ゴブリンの皮」
「ゴブリンの牙と皮…何に使えるんだろうな。」
健は「回収モード」を起動し、素材を収納する。画面には、それらの用途についての簡単な説明が表示された。
ゴブリンの牙:武器の材料や装飾品に使用可能
ゴブリンの皮:防具やポーション素材に加工可能
「なるほど、これも集めておいて損はなさそうだ。」
健は素材を収納し終えると、再び地図を確認して歩き出した。
その後、健たちは道中で新しい野草を見つけた。ウォッチでスキャンをすると、見たことのない名前が表示される。
シロツメ草:魔力回復アイテムの材料。調合次第でMPを回復するポーションが作れる。
「魔力回復のアイテムか…これ、絶対役立つよな。」
健は夢中でシロツメ草を摘み取り、ポーチにしまい込んだ。すると、レオンが地面を掘り返して何かを探し始める。
「どうした、レオン?」
レオンが掘り出したのは、大きなキノコだった。健はそれを手に取り、ウォッチでスキャンする。
巨大キノコ:調理して食べると体力回復効果あり。ただし生食は危険。
「生では食べちゃダメってか。あとで料理してみよう。」
レオンの嗅覚に感心しながら、健はそのキノコもポーチに入れた。
歩き続けるうちに、森を抜け、視界が開けてきた。遠くには町のような建物が見え始める。
「おっ、あれが町か!やっと着いたな…!」
健は思わず足を速める。しかし、レオンが突然低く唸り声を上げた。
「ん?どうした、レオン?」
その先には小さな魔物、ホーネットが群れをなして飛び回っていた。蜂のような姿をしたそれらは、鋭い針を持ち、威嚇するような動きを見せている。
「蜂…いや、これも魔物かよ!?」
健はレオンを後ろに下がらせながら、魔法を使う準備をした。
「こんな小さい奴ら相手に…でも、油断はできないな。」
健はファイアボールを一発放ち、ホーネットの一匹を撃墜する。しかし、群れはさらにこちらに向かってきた。
「やばい、数が多すぎる…!」
その時、レオンが吠えながらホーネットの群れに突進していった。素早い動きで次々と飛びかかり、ホーネットを地面に叩き落とす。
「すげぇ…レオン、めっちゃ頼りになるな!」
健も続いて石を投げたり、魔法を使って応戦し、ついに全てのホーネットを倒すことに成功した。
「ふぅ…これで全部倒したか。」
ウォッチが報酬を表示する。
「クエストクリア!報酬:ゴールド×10、経験値×20。素材:ホーネットの針」
「ホーネットの針?毒とかに使えそうだな…」
素材を回収し、疲れた体を引きずりながら健は再び歩き出した。ついに、目の前に町の門が現れる。
「やっと着いた…!レオン、ありがとうな。これから町で情報を集めよう。」
レオンは満足そうに吠え、健の隣で寄り添うように歩く。こうして、健の冒険は新たなステージへと進んでいくのだった。