第23話:夜明けの別れ
夜明けの空が、群青から淡い橙へと移り変わる。冷えた空気の中、健とトーマスは静かに町の門をくぐった。
「ふぅ……やっと戻ったな。」
トーマスが大きく伸びをしながら言う。
「ですね……。長い夜でした。」
健も軽く息をついた。
街はまだ静かだったが、パン屋の窓からは焼きたてのパンの香りが漂い、露店の商人たちが店を開く準備を始めていた。
ギルドへ向かう道すがら、健はトーマスに向き直る。
「トーマスさん、ありがとうございました。すごく良い経験ができました。」
「ははっ、礼なんていらねぇよ。お前も結構やるじゃねぇか。」
「でも、本当に勉強になりました。俺にはまだ足りないものが多いと実感しました。」
「ま、そういうのは場数踏めばどうにかなるさ。」
そんな軽い会話を交わしながら、ギルドの扉を押し開く。
中には数人の冒険者が既に集まっており、依頼掲示板を眺めたり、談笑していた。
カウンターの奥で書類を整理していたリリアが二人に気づき、明るい笑顔を向ける。
「お帰りなさい!任務の結果は?」
健が一歩前に出て報告する。
「盗賊団の撃退に成功しました。生き残りは散り散りに逃げたので、しばらくは問題ないと思います。」
「本当ですか!?すごい……ギルド長にも報告しておきますね!」
リリアが素早く記録を取り、数枚の書類を整理する。
「それと、報酬はこちらになります。」
二人分の報酬袋がカウンターに置かれた。
「おっ、思ったより多いじゃねぇか!」
トーマスが袋を手に取り、嬉しそうに口元を緩める。
健も報酬袋を受け取った。
健は、トーマスを見て再度お礼を言った。
「トーマスさんのお陰で少し成長できたと思います。また機会があれば指導宜しくお願いします。」
健は、トーマスに頭を下げた。
トーマスは、照れくさそうに答えた。
「よせやい新人を育てるのも俺たちの仕事だからな。何か困っことがあったら言って来いよ。」
「はい!有難う御座います。」
健は元気いっぱいに答えた。
ギルドでの報告を終えた健は、街の広場でひと息ついていた。
「ふぅ〜、今日もがんばったな!」
レオンが隣に座り、スピアは木の上でくつろいでいる。そして、ホークは健の肩にとまっていた。
「そういえば……ホークだけ名前がないな。」
「キィ?」
ホークが首をかしげる。
「レオンとスピアは名前があるのに、ホークだけ“ホーク”って呼ぶの、ちょっとかわいそうかも……」
「ガゥ?」
「キュー?」
レオンとスピアも興味津々といった様子で健を見ている。
「うーん……かっこいい名前がいいよなぁ。空を飛んでて、鋭くて、強そうな感じ……」
「キィ!」
ホークが誇らしげに翼を広げる。
「よし! 決めた! お前の名前は**“ストーム”**だ!」
「キィィィ!」
ストームは嬉しそうに空へ舞い上がり、勢いよく旋回したあと、健の腕に戻ってきた。
「おぉ、めっちゃ気に入ってくれたな!」
「ガゥッ!」
「キュー!」
レオンとスピアも賛成するように鳴く。
「これからもよろしくな、ストーム!」
「キィ!」
こうして、新たな仲間“ストーム”と共に、健の冒険は続いていくのだった。




