第21話:新たな依頼!初めてのチーム戦
模擬戦の熱気が冷めると、健はギルドの掲示板に再び目を向けた。
「さて、次の依頼を決めないとな。」
レオンとスピアも横でじっと健の顔を見上げている。まるで「どの依頼にする?」と聞いているようだ。
「ゴブリン討伐か大型スライム討伐…どっちにしようかな。」
そこへ、先ほど模擬戦で戦ったトーマスが近づいてきた。
「よう、新入り。いや、もう“新入り”とは呼べねぇか。お前、なかなかやるじゃねぇか。」
「ありがとうございます。まだまだ未熟ですけどね。」
「謙虚だな。ところで、今からクエストを受けるのか?」
「ええ。次の依頼を考えていました。」
トーマスは掲示板に貼られた依頼書を眺め、しばらく考えた後、にやりと笑った。
「よし、なら俺たちのパーティーに一緒に来ないか?」
「え?」
「ちょうどパーティーメンバーが一人欠けててな。俺たちはこの《盗賊団の監視》の依頼を受けるつもりだったんだが、単独行動は危険だからな。」
健は依頼書を見つめる。報酬は15銀貨と高めだが、それだけ危険度も高い。
「盗賊団の監視…大丈夫なんですか?」
「まあ、討伐じゃなくて“監視”だからな。戦闘にならなきゃ問題ない。ただし、奴らがこちらに気づいたら、逃げる準備は必要だな。」
「なるほど…」
確かに、この依頼はソロでは厳しいが、パーティーを組めばやれないことはなさそうだ。
《探索サポート:周辺地図更新――監視地点マーカー追加》
スマートウォッチに地図が表示され、監視地点が示された。
(ふむ…森の中か。地形を活かせば、隠れながらの監視はできそうだな。)
「分かりました。ご一緒させてください!」
「よし、決まりだ!」
トーマスは満足そうに頷き、ギルドの受付へ向かう。
「依頼の受理を頼む。」
受付嬢が頷き、依頼書にサインを求めた。健も自分の名前を書き、正式にパーティーとして参加することになった。
「それじゃあ、出発だ!」
健たちはギルドを出て、森へと向かった。
「おい、新入り、戦闘サポートってのを使ってたよな。」
「え?」
「さっきの模擬戦、お前途中から動きが変わった。あれ、何かのスキルか?」
「えっと…そうですね。サポート機能があるんです。」
「なるほどな…。ま、詳しくは聞かねぇが、それをうまく活かせばこの依頼もうまくやれるかもしれねぇな。」
歩きながら、健は探索サポートを起動し、周囲の情報を確認する。
《探索サポート:周囲の環境スキャン中…》
《発見:薬草 ×3、毒草 ×1、魔物の痕跡》
「魔物の痕跡があるな。」
「どの辺だ?」
健はスマートウォッチの地図を指さした。
「この先の茂みの向こうにスライムの痕跡が。」
「スライムなら問題ねぇな。サクッと倒して進むか?」
「いえ、今回は監視が目的なので、余計な戦闘は避けたほうが…」
「お前、ちゃんと考えて行動するんだな。よし、無駄な戦闘は避けて進むか。」
森の奥へ進むと、大きな岩陰に身を隠せる場所を見つけた。
「ここなら、視界も確保できるし、隠れやすいですね。」
「よし、ここを監視地点にする。」
トーマスが双眼鏡を取り出し、遠くの開けた場所を覗く。
「いたな…あれが盗賊団か。」
健もこっそり覗くと、10人ほどの盗賊が焚き火を囲んでいた。
「数は10人…武器は剣と弓。魔法使いはいなさそうだな。」
「なるほど…でも、人数が多いですね。」
「だから戦わずに監視なんだよ。しばらく動向を見て、報告すれば報酬ゲットだ。」
そうして二人はしばらく盗賊たちの会話に耳を傾けた。
「……それで、次の襲撃は明日か?」
「らしいぜ。ターゲットは商隊だとよ。」
「おいおい、やばい情報を手に入れちまったな。」
トーマスが顔をしかめる。
「このままじゃ、商隊が襲われますね。」
「ギルドに報告すれば、護衛隊を送るはずだ。よし、これで依頼達成だな。」
「ですが…ここで放っておくのも危険じゃないですか?」
「お前、まさか…!」
健は考えた。もし、このまま盗賊団を野放しにすれば、商隊が襲われる。ギルドが対策をするまで時間がかかるかもしれない。
(戦闘サポートとレオンたちの力があれば、何とか時間を稼げるかもしれない。)
「俺たちで、妨害できませんか?」
「はぁ!?お前、正気か!?相手は10人だぞ!」
「奇襲を仕掛ければ、一時的に混乱させることはできます。それに、相手はまともな戦士じゃなくて盗賊です。意外と脆いかもしれません。」
「……チッ、お前、本気で言ってるな。」
トーマスは健の目をじっと見た後、ため息をついた。
「ったく、俺もバカだな。よし、やるぞ。だが、全員を相手にするんじゃねぇぞ。混乱させて時間を稼ぐだけだ。」
「はい!」
健たちは素早く作戦を立て、盗賊たちへと忍び寄る。
「よし、行くぞ――!」
健、レオン、スピア、そしてトーマスの奇襲作戦が幕を開ける――!




