表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/32

第2話 初めての戦闘

「頼むぞ!お前だけが頼りだ!」


 健の声に応えるように、狼は低く吠えると、一直線にバグベアへと駆け出した。その鋭い動きに、健は思わず息を呑む。


「す、すげぇ…本当に戦ってくれるのか…!?」


 狼は飛びかかるようにしてバグベアの足元を狙い、牙をむき出しにして噛みつく。バグベアは怒り狂ったように手を振り回し、狼を振り払おうとするが、その動きは意外と鈍い。


「今のうちに…俺も何かできるはずだ!」


 周囲を見渡すと、地面に転がった石が目に入った。健は咄嗟にそれを拾い上げ、過去の野球経験を思い出しながら、投げる準備をする。


「狙いは…背中だ!」


 健は深呼吸をして腕を振りかぶる。野球部で鍛えたフォームで全力で石を投げつけた。空気を切り裂く音とともに、石はバグベアの背中に命中した。


「よし!当たった!」


 バグベアは苦しそうに一瞬動きを止める。しかし、すぐに狼に向かって大きな爪を振り下ろしてきた。


「危ないっ…!避けろ!」


 狼は鋭い動きでバグベアの爪を避け、再び後ろに回り込むと、その脚を噛みついた。バグベアは大きな体を揺らしながら、バランスを崩してよろける。


「い、今だ…もう一発!」


 健は再び石を拾い上げ、今度はバグベアの頭を狙った。


「うおおおっ!」


 力任せに投げた石は、見事にバグベアのこめかみを直撃。バグベアは低いうめき声を上げ、そのまま地面に倒れ込んだ。


「倒れた…!?やったのか…?」


 健は息を切らしながらも、目の前の光景に信じられない思いで立ち尽くしていた。倒れたバグベアのそばに立つ狼が、こちらを振り返って小さく吠える。


「す、すげぇ…本当に勝てたんだな…!」


 その瞬間、ウォッチが音声を発した。


「クエストクリア!報酬:ゴールド×10、経験値×50」


「ゴールドと経験値…?本当にゲームみたいだな。」


 健は肩で息をしながら、目の前の画面を見つめた。そして、ウォッチの次の指示に気づく。


「回収モードを使用できます。モンスター:バグベアを回収しますか?」


「回収…?モンスターを回収できるのか?」


 健は半信半疑で「回収する」を選択すると、バグベアの体が光に包まれ、そのままウォッチに吸い込まれていった。


「おお…本当に回収できた!」


 驚きと興奮が入り混じる中、健はウォッチを見つめながら呟く。


「これ…思ったより便利すぎるぞ…!」


 その時、健の足元に寄ってきた狼が、じっと彼を見上げた。その瞳には、不思議な知性を感じる。


「お前…ありがとう。本当に助かったよ。」


 狼は嬉しそうに尻尾を振り、小さく吠える。その姿に、健はふと思い立った。


「そうだ、お前に名前をつけてもいいか?なんかこう…相棒みたいな感じだし。」


 狼は健の言葉に応えるように首をかしげる。健は少し考え込んだ後、手を打った。


「よし、お前の名前はレオンだ!これから一緒に頑張ろうな。」


 レオンと名付けられた狼は、しっぽを振りながら健の足元に頭を寄せてきた。その仕草に、健の口元も自然と緩む。


「レオン、頼りにしてるぞ。」


 その時、ウォッチが再び音声を発する。


「召喚したペット:レオンのデータを登録しました。今後、いつでも召喚可能です。」


「なるほど、召喚って形なら、必要なときに呼び出せるってことか。」


 健はウォッチを操作しながら、レオンの存在が心強く感じられるのを実感していた。


「これから、どんな敵が出てくるか分からないけど…レオンがいればきっと乗り越えられるよな。」


 レオンは健の声に応えるように吠え、再び前方を見据えた。その姿に、健は改めて決意を固めた。


「よし、次は地図に表示されてる町に向かうか。冒険の始まりだな!」


 健とレオンは、新たな冒険の一歩を踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ