【05 一回戦後】
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・【05 一回戦後】
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一回戦は大楽屋から順に呼ばれてネタバトルをしていった。
一グループ四組で競い、上位二組が二回戦進出で、僕と枯チューのコンビ『NIPPON笑顔疲れ』は危なげなく快勝した。
スタブリさんとはグループが違ったので、会話することもできず。
まあスタブリさんと同じグループだと、勝利の一枠が削られるも同然なので、一緒じゃないほうがいいんだけども。
スタブリさんの連絡先を僕は知らない。
枯チューとか交友関係広いから知ってそうだけども、そこまでするのも執着しているみたいで何か嫌な感じがする。
あれからライブでも一緒にならないので、なかなか会話ができないでいる。
オールラフトーナメントの結果は他言無用で、要はテレビ放送まで言っちゃいけないので、他の組の結果発表は同じグループだった相手同士しか知らない。
それなのに、まだ放送になっていないはずのオヤヤッサンが、デカい声でライブの楽屋で、
「圧勝だったでぇい! 全員ザコでぇい!」
と叫んでいたのは、さすがにイライラした。
こんなんで本当の笑顔になれるはずないだろ、と思ってしまった。
オールラフトーナメントの大楽屋には普段ライブに出場していない人たちも結構いた。
あの人たちはどこから来ているのだろうとか思ってしまう。
勿論、異世界から遊びに来る人がいるのでその繋がりだろうけども、もう見てるこっちが可哀想になるくらいに震えている子たちもいた。
オールラフトーナメントは出ちゃいけない大会ということを知らないのだろうか。知らないんだろうな、なんとなく大会の存在を知って参加しているだけの層は。
特にあの、何かやけに暖色の虎と三頭身くらいしかない妖精さんみたいな二人組のことを脳内で反芻してしまう。
あの二人組は人間ではなくて、完全に虎と妖精だった。
ねずくんのように顔がぬいぐるみみたいで体は人間とかじゃなくて、完全に虎だ。
こういう人間じゃない形をしていても、この世界の言葉を喋る生物は山ほどいる。
だから存在は珍しくないけども、このあたりでは見ないし、ライブシーンにもいないあの子たちが果たしてどういう結果だったのかということはすごく興味がある。
スベっているところを見て、鼻で笑いたいとかじゃなくて。本当に、純粋にどんなネタをしたのか気になる。
偶然なのかどうか分からないけども、動画審査を通過してしまったばっかりに、お客さんの入ったスタジオで本格的なネタバトルか、僕だったら緊張でおかしくなっちゃうかもしれないな。
オールラフトーナメント放送の日は、枯チューと僕はライブの仕事を入れず、家で一緒に観ることにした。
勿論、他の芸人がどんなネタをしたのか確認したいということが一番で、その次が、結果の話をその出ていた芸人と明日するために、というところかな。
まあどんなネタをしてようが僕は僕たちのネタをするしかないんだけども。でも周りがどんなレベルかはやっぱり知っておきたい。
ライブシーンに出ているメンバーなら、大体こういう実力だと分かるけども、あんまり見ない、例えばさっき脳内で反芻していた虎と妖精のコンビはどんなレベルなのか気になるし。
「ニコはさ、何か気になったコンビとかいた?」
僕は今さっきまで脳内で考えていたこともあり、
「虎と妖精さんのコンビは気になるかな?」
と答えると、枯チューは、
「そんなのいたっけ?」
と言ったので、特徴を述べつつ、僕が気に掛けているということも詳しく話すと、
「あー、あれか? ウシモくんとかドムさんが声掛けてたヤツか?」
「えっ、そうなの?」
と生返事を繰り出してしまうと、枯チューが、
「そうそう、多分そう。あの二人の知り合いということはやるんじゃないの? 知らんけど」
『ウシモくん』とドムさん、この二人は昔からこの世界に出入りしている、異世界の住人だ。
大きな大会になるとエントリーして、大会を荒らしていく存在。勿論良い意味で荒らしていく実力者だ。
そう言われると、あの虎とウシモくんはなんとなくフォルムが似ている。
二頭ともクッションのような質と形で、サイズも同じくらいで、子供用ゴーカートくらいのサイズで、そうか、あそこは知り合いなのか。
ドムさんはミドリムシのクッションを名乗る謎の生命体で、身長は百二十センチくらいで手足が無い、まあそこはミドリムシだからということだろう。今回は新平くんという子供とコンビを組んでいる。
今までドムさんはピンで出場していたのに、今回は人間の子供とコンビ、一体どんなネタをしているのだろうか。
そんなことを考えていると、番組が始まった。
どうやら番組は一回戦を四グループずつ放送していくらしい。一回戦は三十グループあったので、最後の放送は総集編込みだろう。
放送を見終えた感想は、意外とレベルが高いだ。
僕の気になっているコンビは出ていなかったけども、全体的にレベルが高い。
前に『モジラとワン太』のワン太さんから話を聞いたことがある。
「回戦が上がることに仕上げてくるコンビがあるんだよね、それになれるといいんだけどもね。自分たちが……あっ、ワン!」
とキャラモノのように無理やり最後にワンという鳴き声を言い足したワン太さん。
ちなみにワン太さんは二足歩行の犬みたいな存在だ。顔も体も何だか着ぐるみ質だけども、そのままの存在らしい。
この世界はこういう人間とそれ以外が分け隔てなく生活しているので、僕は気にならないんだけども、異世界からやって来た人は驚くことがある。でもまあすぐ馴染んでしまうけども。
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●【二回戦進出者】
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才能、斬NEW街、節芽衣、主力のナマクラさん、ヘビタン、冬出不人、百夜、ドム新平、磯山、オヤヤッサン、突破語、ウォーターブルー、ねずくん、モジラとワン太、ギルバード、ペンオテ、アオイチエ、チャイチ、ノーヘル女教師、カルタ七五、炭酸トルネード、おいにー、堀ドリル、恭子とエムサ、シラマル!、カッパ弘法、ウシモくん、NIPPON笑顔疲れ、キットカッツ、クリップワニくん、おピンクマムシ、MCゴダツ、モニザキ、塔摩、ゆるねこファンタジー、スターマイン鰤子、おさむ&ロハニ、タツ、カメノール、ブリット、モナ、THE アツアツ、ナノノペッタ、ピザ佐助、水仙人、ナップルさん、Wイルカ、バラガンロンパ、フォーヌー、ダテヒール、森人、I9良Q、ワックスダロ、思案時世、タンテイず、ONICULE、大牛宿、師弟関係、一字る、ふらっと、ピーマナイト、ソニュトラ、トザマ、ふくぶくろ。