国際魔法評議会日本支部の万年最下位〜俺を追放した奴らが落ちぶれなくて、俺だけが落ちぶれたんだが〜
この世は理不尽な事の連続だ。どんなに努力しても評価する奴が無能ならそれが反映されないし、気に触れば問答無用で評価を落とされてしまう。だから、みんな気に入られようとして仮面を被りながら生きている。生物的にはそれが賢明な生き方だ。しかし、俺はそうはしなかった。理由は二つ。一つは、俺がそういう生き方が嫌いであるということ。そして、もう一つは俺に最強の力が備わっているということだ。
――
「……ハヤト・ムサシノ。本日を持って貴方を国際魔法評議会日本支部から追放いたします」
目の前に座る国際魔法評議会日本支部長のルリィ・ヤマシタがそう言った。僅か、一二歳で国家魔法試験一級を主席で合格しただけあって威厳溢れる態度だった。「異論はありませんね?」
そう念押ししてくる。
「……ああ、無いね。むしろ、せいせいするよ」
俺がそう言うと周囲にいた評議会のお偉方が、どっと笑った。
「能力なしが何を……」
「雑用の分際で」
笑い声に混じってそう言う声も聞こえてきた。やれやれ、付き合うのが馬鹿らしい。
「じゃ、俺はもう行くわ。……じゃあな、」
俺はそう言うと、部屋を出ていった。
――二〇XX年四月一日。その日、何の前触れもなく全世界の人々が魔法という超自然的な力を使えるようになった。世界各地で暴動や内戦が同時多発的に起き、日本を含む全ての国が消滅。以来、世界は魔術師と呼ばれる上位の魔法使い達で構成された組織、国際魔法評議会が牛耳る事となり、生まれ持った魔法が全てを左右する世界へとなった。魔法に恵まれなかった者は不遇のまま過ごし、恵まれた者は無能であったとしても成功を約束される。そんなクソみたいな世界になった。
そして、俺もこの世界では魔法に恵まれず、能力なしと罵られ、万年最下位として罵られ、雑用ばかりやらされていた。――だが、奴らは知らない。俺が、最強の魔法である《コ・ピーぺ》の使い手であるということに、そして、俺がその能力を使いありとあらゆる雑用をこなしていたということに……。
「……ふふふ、《助けてくださいッ!》って言って頭を下げても許してやんねえからな」
俺は、そう呟きながら評議会を後にした。しかし、いくら待っても頭を下げて来ることはなく、評議会はますます隆盛を極めていった。一方、俺はというと、ホームレスまで落ちてしまい、今は、怪しげな団体に生活保護費を搾取されながら生活している。くそ、こんなはずではッ!