陸軍猫<どうして榴弾が効かないんですか
ニューイヤーネネカおりゅ?
陸軍猫<どうして榴弾が効かないんですか
統一歴1848年 アルメイア王国国境防衛線
「今日も来やがったぞあの馬鹿」
「嫌になりますよ~戦争~」
永久陣地の前線観測所に詰めていた兵士猫達が警報を鳴らし、敵軍の進軍位置と速度を野戦砲部隊へ通達する。
野戦砲陣地では観測情報から諸元を計算し砲弾と炸薬量を調整、射角を合わせると一斉に大隊の200mm砲が火を吹いた。
既に一面耕され尽くした地面を通って埋め尽くさんばかりの大軍が大日ペ帝国軍の前線へと向かって狂気の表情を振りまきながら前進する。
彼らの殆どは狂化の影響を受けており、ちょっとやそっとの被害では怯む事すらしない一団だ。
それを今日まで殲滅できていたのは圧倒的長射程・大火力の野戦砲あってこそである。
そうなれば残ったのは僅かな残敵、機関銃陣地と地雷に鉄条網で絡めとり殲滅出来た。
しかし今日はいつもとは様子が違った。
200mm砲弾が着弾する瞬間、軍勢を覆うかのように展開していた黄金色の膜に砲弾が触れると、なんと砲弾が爆発したのだ。
着弾しようとした12発の砲弾が全て敵軍の上空で炸裂し、威力が大きく減衰。
その異常事態を前線観測所の現場猫達は観測していた。
「なんだありゃ!」
「どうした?」
無線猫が観測猫に問いかけるが、お前も見ろと双眼鏡を渡され、次弾が飛び込んだ姿を確認する。
黄金色の膜が激しく揺らめいているが、榴弾が次々と膜に触れて爆発している姿だ。
「あいつら遂に野戦砲に対する対策を用意しやがったな!」
「取り敢えず報告だ!司令部と砲兵隊に連絡しろ!」
この猫達からの報告を受けた防衛線司令部は対戦車砲による攻撃と近接航空支援での徹底した爆撃を指示した。
これらが功を奏し、普段とは桁違いの兵士の損失を出したモノの(普段がほぼいないせいもあるが)防衛には成功する。
戦場跡の残骸を詳しく浚って普段と違う残余物を見つけると、ネイランド共和国へと送られて詳しい解析が図られた。
結果、非常に高度な魔法により飛来物に対して逆方向の衝撃をぶつけて早爆させる兵器だと判明。
コストは重いが効果範囲も広い新兵器の登場に陸軍参謀本部が下した決断は、機甲部隊による遊撃・対戦車砲の増備と近接信管の開発だった。
当面は対戦車砲と機甲部隊の遊撃で凌ぎつつ、新型の近接信管を特急で開発して既存の着発信管との交代で榴弾の火力を取り戻すという方針である。
陸軍猫<どうして
大日本ペイント帝国 首相官邸
今日も二重苦を続けている首相は、猫達を徹底して使い倒しながら仕事に没頭していた。
属国が増えて担当戦域が増えて、更には東大陸ではドルトムント帝国とクリスティア連邦の泥沼の戦闘は完全に膠着した。
第二戦線を抱えたドルトムント帝国が補給の問題から攻勢現界を迎え、冬将軍の訪れと共に両軍の動きが止まる。
こうなれば完全に持久戦となり、あとは我慢強い方が勝つという非常に不毛な戦争へと切り替わっていく。
イズマシュ連合王国は最後の一押しとして日ペの参戦を望んでおり、ドルトムント帝国は戦後の優遇を空手形で約束しその参戦を止めたがっている。
「いや、まずはお前らなんで戦争してるんだよ。しょうもない国境紛争が原因だろうが、適当に手打ちにすれば良かったじゃねーか」
日ペ国内の世論はそんな感じである。これには首相も同意している。
西大陸で生存をかけた絶滅戦争しているのに呑気に内輪もめしている感覚がまずおかしい。
しかし一度大戦争に発展した場合、それを止めるのは非常に難しい。
大抵どちらか片方が完全にぶっ倒れるまで続いてしまうのがこの手の戦争だ。
実際に今もお互いの植民地で植民地戦争まで発展しており全世界が戦場になってしまっている。
「西大陸を片付けないといけないんだが、例の物はまだ生産中。国内の人的資源はまだ1.5Mは余裕がある。師団を追加徴兵するか・・・」
完全な戦時体制に突入した日ペでは開戦前の二倍の軍需工場と造船所が稼働しており、大量の兵器が生産されては前線と備蓄に回っていた。
その備蓄分を消費して師団を追加徴兵し訓練する事で両大陸に干渉するだけの大兵力を用意するしかないのだろう。
造船所も通商破壊に対しての対応で戦時急造空母を量産すべく大量の護衛艦と同時に建造開始へと動いていた。
その造船量は月間正規空母は無理でも、週刊護衛空母、毎日駆逐艦は可能というだけのパワーはある。
そして戦後は最悪の場合世界の警察へ・・・。
「嫌な想像が今頭をよぎったぞ・・・。やだ、小生やだ。世界の警察やだ」
世界を管理すると言う地獄の苦しみは多くの仲間(列強)と分け合うべきである。
日ペ猫<どうして
天井まで回す来て回したら二十連で来たンゴねぇ