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陸軍猫<どうして無限攻勢を受けるんですか

初投稿です()


統一歴1846年 冬


西大陸の列強連合は糾合した大兵力で旧ロイス王国との国境を全て固めて魔王軍の侵入を防ぐべく要塞線を築こうと決死に国力を注いでいた。

それは山岳や森林地帯などの自然国境をうまく活用しなんとか成功を見せている。今のところは。

竜種が幾ら上空から攻撃しようとも要塞に篭れば定点防御結界と合わせ被害は抑えられるし、迎撃の魔導砲で撃ち落とせもする。

地上からの進攻では地形をうまく使い正面戦闘幅を狭めて長期間の攻勢を最小限の被害で抑えられもした。


一方東大陸では列強二位ドルトムント帝国が準戦時体制に入り、国内の制度改革を推し進めていた。

元々軍事を優先する国柄だったこともあって、魔王の脅威を煽る事で国民皆兵、鉄道による大規模戦力機動実現をいち早く達成。

参謀本部の構築と軍隊の高度化を推し進め一気に他国を突き放しにかかる。

そして何よりも一番の革新が魔導師の技術体系化が成功した事だ。

これにより魔導師は以前までの個人の資質に極端に左右されず、一定以上の魔力量と訓練があれば空を舞い、飛竜を落とし、地上を爆撃出来るようになった。


それをいち早く察知した列強一位イズマシュ連合王国も魔導師の体系化を急ぐが、重工業化を更に推し進める事に予算を取られてしまい開発は遅れてしまう。

なまじ図体が大きすぎるが故に発展が他国より遅れているクリスティア連邦も軍事技術の発展と鉄道の整備を進めるが、国土の広さに足を引かれている。


西大陸では人類対魔王軍の総力戦が起きているというのに東大陸では列強間の戦争の季節が訪れようとしていた。



ロイス猫<どうして



大日ペ帝国保護領アルメイア王国 ロイス王国との国境の街郊外 第四海兵師団 臨時駐屯地


先遣隊として派遣された海兵隊四個師団は、元から西大陸保護領に駐屯していた正規師団24個の予備兵力として展開している。

追加派兵された24個師団は北・東の国境線を固めに配置されており、保護領だけは守り抜くと言う決意で防御に当たっていた。

更に徴兵され3カ月の訓練を終えた72個師団は本土・瑞穂大陸・保護領に三等分されて配置され、戦略予備として置かれている。

保護領と瑞穂大陸も戦時の大規模機動に耐えうる程度には鉄道が敷設され内線防御が機能していた。

だが兵器の備蓄がそれで大体使い切り、大規模な徴兵はそれで一旦ストップしている。

それ以上は日ペ自身が完全な戦時体制に移行してからでないと難しいだろう。工業国の国民国家とはそれぐらいパワーレシオに到達するまで時間が掛かるのだ。


曇りの空模様の中、戦車や自走対戦車砲・自走対空砲が簡易整備を受けていた。

搭乗員達が日々の点検整備を行っている中、一匹の現場猫が金属製の湯気の出たカップを持って自分の車両へと向かっている。

車両から顔を出した現場猫が、レンチを工具箱に収めながらのっそりと這い出るとホットココアが入ったカップを受け取り中身を啜った。


「助かる。冬にこの手の作業は堪えるな」


「そうですね。そういえば今の所最前線までは魔王軍は来てないらしいですよ。給湯室で聞いた雑談からですが」


「連中が来ていたら俺達も機動戦であちこち駆けずり回るんだ。今の内に英気を養わないとな」


彼らの平穏が崩れるのは三日後。

遂に対魔王軍最前線の部隊の砲兵が、下を見ればゴブリンを始めオーク、上を見れば鬼やらゴーレムやら地竜の群れに大量の榴弾砲をぶちかますのが始まりだった。



小鬼猫<どうして



統一歴1847年 大日本ペイント帝国 首相官邸


「ふーむ。こりゃ面倒だわ」


投げやりに顔を顰めた首相の視線の先にはゲーム画面で表示された戦況図が映し出されていた。

そこには毎日毎日無限攻勢を繰り広げる魔王軍の大量の部隊が表示され、それから防衛線が出している戦闘能力が映し出されていた。

師団編成は40幅の重武装師団が防衛で叩き出す最高効率の対人火力と対戦車火力が表示されており、防御能力も破格の四桁で指揮統制ゲージもあまり削れていない。

それらを率いる将軍は支那事変で鍛え上げられたスキルレベル5~6の有能将軍達。

航空優勢だって戦闘機と近接航空支援がバッチリ刺さりものすごい勢いで魔王軍を溶かしている。

その結果が戦況図上に表示されている損害比表だ。


「ガッツリ殺しているのに永久攻勢は引くわ・・・」


日ペ陸軍の被害2kに対して魔王軍の被害は既に対日ペだけで2Mに到達している。反撃の砲爆撃で幾つもの部隊を消滅させた。

だがしかしなお魔王軍は無限攻勢を続けているのだ。普通の国家なら戦力補充の為に攻勢を停止している筈であるのに。

一方列強連合軍はキルレシオは優勢であるのだが、季節を過ぎても続く無限攻勢に部隊の再編成が追い付かず耐えかねて、一部で既に防衛線が瓦解し始めている。

会戦や防衛線での勝利が戦争の勝利に繋がらない現状に苦しんでいるのだろう。


日ペ自身はまだまだ余裕であるが、流石に列強連合が滅んで三方向から攻められては苦しい。

何らかの手を打つ必要がある。


「やっぱり平和を生み出す最終的解決しかないな」


ゲーム画面を建設ラインに移行させると日本各地にあるモノの建設を指示し、生産画面でも戦略爆撃機の生産を入れた。


ちなみに海軍は損害こそ少ないが、海上と海中の魔物狩りをあちこちで行っており大変忙しい模様。

海上優勢と補給路の維持が出来ないとそもそも部隊展開すら出来ないからね、多少はね?


陸軍猫<どうして

ドイツ第四帝国ひで

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― 新着の感想 ―
[一言] 無限攻勢…… 自軍が出来ればロマン、防衛側には悪夢 それを多方面に行うとはウラヤマシイ 魔王猫< どうしてこれだけやって日ペは平然としているのですか? そして遂に戦略爆撃機が登場予定です…
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