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巨乳クエスト

巨乳で完結()

 「ここが悪しき巨乳魔神のアジトか!!覚悟しろよ、巨乳魔神!!今日を貴様の命日にしてくれるわ!!」

 勇者ユータはそう叫んで、七曲りの錆びた剣を携えて、汗をだらだらと垂らしながら、喘ぎながら、家賃4万の欠陥オンボロアパートをじっと見つめた。周囲の通行人たちは半裸でフラフープしながらアパートの前を往来し、ユータを見かけるたびに彼に向かって唾を吐いた。それが癪に障ったユー者勇タは、突如「キエェェェェェェェェェ!!」と雄叫びを上げてぶんぶんと剣を振り回し、「ラブライブは国木田花丸派だァァァ!!」と訳のわからないことを口にしながら、バッサバッサと通行人たちに血の花を咲かせた。その勇姿を目撃したクルセイダー、ビッグスター吉沢は感銘を受け、本能のままに勇者ユータに歩み寄り「君っ!今話題のアイドルグループ、『ザ・クルセイダー』に入らないかい?』と声をかけてみたが、虚しくも勇者ユータの剣の餌食となり、華麗に朽ち果てた。

 「さあ!今こそ決戦の刻!!」

 勇者ユータは成り果てた姿のビッグスター吉沢の亡骸を踏んづけたあと、それを背にして、せっせとアジトと言う名のオンボロアパートの中へずかずかと入り込んだのである。

 ドアノブを握ると、勇者ユータの体温と手汗で溶けた。

 仕方ないのでドアを蹴り破ったが、思った以上に足を痛め、ザブングル加藤宛らの変顔をして、「痛いですっ!!!悔しいですっ!!!」とまた訳のわからないことを口にした。蹴り破った先は、何かの抜け道になっていた。「これが......巨乳魔神の世界に通じる道だとでも言うのか!!一度入ったら、戻れないかもしれない!だが俺っちは行く!!何故なら戻れないかもしれないから!!」と訳のわからない理由を口にして、彼は躊躇なくその抜け道を通っていった。

 そこは異世界「ヌルヌールヌルルルルヌルヌール」。鼻水しか垂らさず、全身が膿んでる美男美女が暮らす夢のような世界である。異世界モノ好きなラノベファンなら垂涎物であろう。

 「ここから!俺っち、勇者ユータの果てしない(いや、果てはあるかも)大冒険が始まるのだー!!!」

 ふははははー!!

 高笑いする勇者ユータの前に一人のいかにも貧弱そうな老人がやってきた。その時、突然、多くの人が耳にしたことがあるであろう、あの人気RPGのエンカウントバトルのBGMが壮大に流れ始めたのだ。

  

 チョーロー Lv.2 


 ユータ   Lv.999


 勝利は目に見えている。レベルの差が歴然だ。


 チョーローは「勇者様、あなたに毒消しをあげましょう」と唱えた!!


 ユータは『パリィ』した!!


 ユータはチョーローに0のダメージを与えた!!


 チョーローはしんでしまった!!


 ユータの勝利!!


 見事チョーローを(たお)した勇者ユータは満面の笑みで進むと、道の途中で、親切そうなおじさんが話しかけてきた。

 

 勇者ユータは構えてこう言った。


 「貴様が巨乳魔神の側近か!」


 「よくぞ見破ったな!俺が側近だ!」


 ユータは「いちいち戦うの面倒だからお前は死ね!!」を唱えた!!


 側近はしんでしまった!!


 ユータの勝利!!


 勝利の喜びも束の間、ユータの背後に箆太(のぶと)いバリトンボイスが迫った。


 「よくぞここまで来たな勇者ユータよ!」


 「なっ貴様は巨乳先生!!」


 「さあかかってこい!」


 「うおおおおおおおお!!!」


 勇者ユータの戦いはまだまだ続く......!!(完)

 

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