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美少女との邂逅

美少女が増えます。

 

「宗教というのはそっちの世界にもあるのかしら?」


「いくつもあります。特に規模が大きいものは三大宗教とか呼ばれたりします。」


「こっちの世界では、ほぼ一つ、この『アンナ教』しかないわ。色々な種族で、多少の違いはあるけども。」


 美の神『アンナ』は3000年前にこの世界に顕現して、この世界を支配していた悪しき精霊七柱を倒しこの世界に平和をもたらしたと言われているらしい。七代精霊が倒された場所にはアンナ教により建てられた教会があり、信仰の対象になっているとか。


「アンナ教の頂点の大司教は、各国の王を凌いで世界の最高権力者とされているわ。これが今の大司教の肖像画。女性よ。」


 これはまた……僕ほどではないけど、前の世界ではかなりブサイクな方の顔じゃないか……?


「ジンノほどではないけど、美しいわよね。」


 こっちだとそうなるのか。

 しかし、この世界はそもそも、前の世界の基準でのブサイクがいないんだよな。みんな、平均以上というか。だからこそ僕がすごく目立つ。


「そしてこれが悪しき七代精霊とアンナの聖戦を描いた絵よ。」


 そこにはぽちゃぽちゃでブサイクなアンナが神々しい光を放ちながら、美しい精霊たちを足蹴にしている構図が。違和感すごいなぁ。


「こうして平和をもたらしたアンナの美しさを褒め称え、アンナがもたらした今の世界に感謝をするのがアンナ教ってわけ。さて、気づけば夜ね。」


「え?あ、ほんとですね。夢中になってました。」


 外はすっかり暗くなっていた。


「細かいことはこれからゆっくりと知っていけばいいわ。じゃあちょっと真面目な話になるけど。」


 真面目な顔でアーリンさんはテーブルに身を乗り出した。胸がのしっと乗って少しローブの襟がはだけた。


「私なんかに発情してくれてありがとう。ここまで、この世界のことを聞いてみて、ジンノはこれからどうしたいと思ったかしら?」


 こ、この人マジで臭いで発情してるかわかるんだな……。

 しかし、難しい質問だ。

 これからどうしたい、か……。


「あなたの世界とは随分考え方も暮らしも違うだろうし、知り合いも、家族もいない。元の世界に戻りたいわよね?」


「いえ、それは思いません。」


 即答した。


「意外ね。だってこの世界には、突然、不本意なまま迷い込んできたのでしょう?」


「前の世界での暮らしは、良いものじゃなかったので、戻りたいとは思いません。その、アーリンさんは褒めてくださるけど、僕はこの顔のせいで、随分生き辛かったんです。友達も恋人いないし、家族ともほとんど縁を切っていました。」


 アーリンさんが僕を必要としてくれたことで、やっと生きる意味を見つけられた気がする。この世界で生きていきたい。


「……あなたも孤独だったのね。」


 ほんの少し、悲しげな顔を見せてくれるアーリンさん。いつも無表情に見えるけど、きっとこの人は優しい。


「だから、厚かましいと思うんですが、僕がこの世界で生きていけるように、力を貸してくれませんか?」


「そのつもりよ。あなたからそう言ってくれて嬉しいわ。正直、元の世界への戻り方もわからないし。」


「わからなくて大丈夫です。頑張って勉強して、この世界で早く働けるように努力します。」


 ここでアーリンさんと生きていくなら、僕も迷惑をかけてばかりもいられない。住むところも食事も何もかも、しばらくは彼女におんぶに抱っこになってしまうけど……。少しでも早く自立できるように頑張ろう。


「働く必要はないわ。あなたはただここにいるだけでいいのよ。」


「え?いやそれは流石に申し訳ないですよ。家にお金を入れられるようになりたいです。」


「お金なんて余ってるもの。」


 そういえば、彼女が世界最高の金持ちだとか奴隷商の男が言っていたような。


「失礼ですが、アーリンさんて、その、どれくらい金持ちなんですか?」


「人生を1000回できるくらいの資産はあるわ。」


 まじか。


「私も今はほとんど働いてないしね。ここルテア王国の魔術顧問という役職に一応はついているけど、それもこの国で暮らすのに色々便利だからという理由だし。正直辞めたっていい。」


 とんでもないセレブだった。


「……なら、あなたを守れるように強くなりたいです。その力を目当てに寄ってくる男がいたって言ってましたもんね?」


「濡れるわ。けどこの世界に私を倒せる人間なんてほとんどいないわよ?」


 ハッキリ濡れるって言った。

 え、そんなに強いの?


「それに、強くなる方法も限られているのよ。魔術と武術。どちらも、学ぶには魔力が必要なの。」


 この世界には魔力があふれていて、人間も魔力を持って生まれてくるらしい。

 それを扱う方法は大きく分けて二つ。

 今言った『魔術』か『武術』。


『魔術』はアーリンさんが使っていたようなものや、奴隷が所有者に逆らえなくする奴隷魔術、病気や怪我の治療を行う医療魔術、挙げ始めるとキリがないくらいの種類がある。

 対して『武術』はその魔力を使って自分の身体を強化し、剣などの武器や徒手空拳で戦う技術だという。


 それぞれの魔力の使い方はまるで違い、人族は人生でどちらかしか学ぶことができない。片方のコツを掴むともう片方のコツが全く掴めなくなるらしい。種族によって差はあるらしいが。


「けど、あなたは魔力そのものを持っていないからね。どちらも学ぶのは無理なんじゃないかしら。」


 まじか……。


「じゃあ家事を……。」


「ガーゴイルがいるわ。」


 そうだった。


「私と一緒に旅でもする?世界中の観光地を回ったり、娯楽を楽しんだり、美味しいもの食べたりして二人で暮らすってのはどうかしら?」


「え、じゃあ僕ほんとに何もしないじゃないですか。」


「いいのよそれで。」


 え、これ、もしかして……勝ち組確定?

 こんな美人と結婚して、死ぬまで旅して人生を満喫していいってこと?


「まぁ、私の元を離れたいというならそれでもいいわ。この国の事務の仕事でも斡旋してあげる。そのために必要な教育もするわ。」


「離れたいとは思いませんが……。」


 昨日まではあんなにつまらない人生だったのに……いいのかこれで?なんか突然すぎて、この幸せを手放しで受け入れられない……。


「今日ここで先のことを全部決める必要もないしね。軽く聞いただけ。明日からまたゆっくりこの世界のことを知っていって、それから考えましょう?」


「そうさせてもらうと助かります……。」


 まさか自分がこんなに役立たずだとは。


 アーリンさんは良いというけど、いきなりヒモになるというのもちょっと情けないなぁ……。


 そう思いながら僕がため息をついたその瞬間





「おーーーーーーーーーーーーーい!!!」





 おそろしい大きさの声が聞こえてきた。





「ヴォルトレットーーーーーーーーー!!!!」



 その声で本棚はカタカタ揺れ、窓がギシギシときしんだ。思わず耳を塞ぐ。


「聞こえるかーーー!!!ヴォルトレットーーー!!!」


 1回目はあまりの大きさに聞き取れなかったが、どうやらアーリンさんの名前を呼んでいるらしい。


「え!?なんですかこの声!?」


 非常事態かと思い慌てたが、アーリンは落ち着いていた。


「嫌だわ。どうしてあの子はこう思慮分別というものがないのかしら。全くこんな夜に。災害だわ。」


「知ってる人ですか!?」


「ええ。ちょっと失礼するわ。」


 アーリンが右腕をふると、青い光が僕の体にふりかかった。


「おーい!来たぞー!」


 先ほどの声が小さく聞こえるようになった。


「遮音魔術よ。あの女と話す時は必須なの。」


「一体誰なんですか?」


 そう言いながら窓を開けて声のする方を見た。しかし誰もいなかった。


「多分まだ姿は見えないわよ。でももう少ししたら彼女の剣が先に見えてくるかもね。持って来ていたらだけど。」


 剣……?


「今からこっちへ来るのはハーティ・ヘッジホッグっていう私の腐れ縁の知り合いなの。あいつが来る時はいつもちょっとした迷惑も漏れなく付いてくるから、憂鬱だわ。」


「怖い人ですか?」


「怖くはないわ。強いけど。タダの剣術馬鹿よ。」


「おーい!返事してよー!ヴォルトレットー!」


「できるわけないでしょうに。世界一声のでかい女っていう自覚がないのだわ。」


 声は近づいて聞こえてくるが、一向に姿は見えない……。いや、目を凝らすと、何か小山のようなものがズンズンこちらに向かって来ている。


 うそだろ……?


 近づいてくるのは……とてつもなく大きな剣だ。


 この二階建ての屋敷の高さほどもある巨大な剣。


 呆然とその剣が近づく様を見ていると、信じられないことにその剣は、一人の人間が担いでいたものだった。

 聞こえてくる声の大きさからは考えられないくらい遠くから、彼女は歩いてやって来た。


 やっと顔が認識できる距離まで近づいてくると、彼女は一際大きな声で言った。


「頼みたいことがあるんだー!」


「憂鬱だわ。」


 ハーティは短い銀髪の美少女だった。


面白かったら、ブクマおよび評価をしてくださると励みになります。


ジンノにはこれからもっともっとハーレムを楽しませてやりたいですねぇ。

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