案外、僕の存在は知られていない!
僕は14歳の時に重い病気で亡くなってしまった...。
元々、身体が弱く病気がちで寝込むことも多かった僕。
だから僕のお母さんは、僕に付きっ切りでお父さんも僕の心配ばかり
していた。
...でも、僕には5歳下の弟がいたんだ!
弟は僕をいつも羨ましそうに見ていた。
それでも、僕と弟は仲が良かった!
弟は毎日、僕の部屋に遊びに来てはたくさん僕とおしゃべりしたんだよ!
そのまま一緒に弟が僕のベットで寝る事もあったんだけどね、、、?
お母さんが夜、僕の部屋に入って来て弟を抱っこして弟の部屋に連れて行く。
こんな事が、毎日のようにあったんだ!
▼
でも僕が亡くなってからは、お父さんもお母さんも亡くなった僕の事ばかり
で弟の事を見ようとしなかった...。
だから弟は15歳の時に家出をしてから、今も家には1度も帰っていない、、、!
弟は、寂しかったんだろうな~
僕が亡くなって、やっとお父さんお母さんが自分に少しでも向いてくれる
と思ったと思う...。
【それなのに、、、。】
結局、ボクじゃなく亡くなったお兄ちゃんの事ばかりだ! って思ったと思う。
だからね、、、?
『この時、僕は決めたんだ! 僕が弟の傍にいようと!!!』
▽
ある時、弟が慕っていた兄貴的な人が弟にこんな事を言ったんだ、、、!
『修也! 実はお前に任せたい仕事があるんだが引き受けてくれないか?』
『...えぇ!? 仕事ですか兄貴、、、?』
『これは! お前にしか出来ない仕事なんだよ! 引き受けてくれるよな!』
『...兄貴、少し考えさせてください!』
『分かった! 明日までに答えを出しておいてくれ!』
『ははい、』
見るからにヤバそうな仕事だけど、、、?
修也は引き受けるのかな、、、?
それに、修也が兄貴と呼んでいるこの男もヤバいぞ!
僕が修也を助けてやらないで、修也を誰が助けるんだ!!!
▼
次の日、、、。
修也はこのヤバそうな仕事を引き受ける事になった、、、!
【まあ、断れないんだろうな、、、。】
頑丈にロックされたカバンを渡される!
『修也! これを持って、あそこの喫茶にいる怪しげなグラサンをかけたおっさん
にこのカバンを渡すだけだ! ほら? 簡単だろう、、、!?』
『......』
『じゃ~修也行ってこい~!』
『はい!』
兄貴は車の中から、修也があの男にカバンを渡すのを見ているだけ、、、!
この兄貴、なんて! ずる賢いやつなんだ!!!
*
いよいよ、修也がカバンを持って喫茶店の中に入った、、、。
そこには、あの男がいる!
ゆっくりと近づいて、あの男にカバンを渡すところで、、、!?
『警察だ! みんな手を挙げろ!!!』
『兄貴もこの男も修也も連れて行かれた、、、!』
取り調べが始まった頃、、、。
僕の出番だ!
修也は今まで罪を犯した事は1度もない、、、!
すべては、あの兄貴のせいでこんな事になっている!
僕は、警察官の思考の中に入り修也はなんも悪くないと植え付けた、、、!
案の定、、、修也は直ぐに出てこれた。
▽
...修也は、警察署を出てこう思う、、、。
『もう、足を洗おう! それと実家に帰ろうと、、、。』
ここでも、僕の出番だ!!!
弟が3年ぶりに、やっと家に帰って来た!
この時も家では、お父さんもお母さんも僕の事を考えている、、、!
だから、修也の事を思い出させるように二人の記憶を呼び起こした!!!
【ピーポーン】
『はーい! どなたですか、、、?』
『......』
『修ちゃん! お帰り。』
『...あぁ、うん、ただいま...。』
『さあさあ~中に入って~!』
『...ううん。』
『修也! ずっと探していたんだぞ! ...でもお前が無事で良かった!』
『...お父さん!』
『本当にずっとずっと探して、、、。』
『...ありがとう。お兄ちゃんの部屋を見てもいいかな、、、?』
『もちろんよ~』
久々の家になんだか、ぎこちなさもあったけどホッともしている、、、!
本当のボクはずっと家に帰りたかったのかもしれない、、、!
そして、亡くなったお兄ちゃんの部屋。
ドアを開けると、、、?
『遅かったな~! 修也!』
『......お.お兄ちゃん、、、?』
『もう、僕の役目は終わりだ! 今度こそ! 修也、ちゃんとやり直せよ!』
『お兄ちゃん、ありがとう。』
『じゃ、ばいばい!』
『あぁ、』
▼
今思うと、、、?
ずっとずっとお兄ちゃんは、ボクを見守ってくれていたんだろう、、、!
おかしな事がたくさんあったのに、すんなりと行っていたから...。
お兄ちゃんは、何時もボクの心配をしてくれていた!
ボクにとっては、優しいお兄ちゃんだったから、、、!
『ありがとう! お兄ちゃん。』
最後までお読みいただきありがとうございます。