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雨の日

外は雨で五月蠅いから

作者: 凡骨竜

台風かぁ。雷よりかはマシかな。

雷嫌いだし。音と光だけど。

雨もスゴイから、今日はソトに出れそうに無いな……飯、どうしよ。


冷蔵庫をあける。

牛乳、たまご。他、調味料。

冷凍室をあける。

鶏肉、豚肉少し、ひき肉。

野菜室をあける。

キャベツ、たまねぎ、じゃがいも。


「おーい、飯、どーする?」

「適当でいいー。」


溜息一つして俺はフライパンを温めて油を入れる。

しばらく待つ間にキャベツを細切りに。

油が跳ねそうになったところにキャベツ投入。

玉ねぎも細切りくらいにして投入。

そこに鶏ガラ粉末と塩コショウして炒める。


玉ねぎが透けてきたら、タマゴの準備。

2?3個用意して、溶き卵に。

その間に火は強火から中火へ。

野菜をよく炒めたら、

フライパンの中央に丸く寄せる。

そこに溶き卵を投入。

中火より少し弱火にして、蓋をする。

そのまま5分ほど待つ。

蓋を開けて、ひっくり返す。


かさ増ししてるだけだから、

別に綺麗に卵焼きにならなくてもいい。

いざとなったら菜箸でかき混ぜて、

タマゴ炒めにしてもうまい。

火は中火に戻して、3分くらい焼く。

あとは皿に盛るだけ。

味が薄いと思ったら、

ケチャップでもマヨネーズでもソースでも。


あとは白飯と共に。


「いただきます。」


もう一品用意するなら……そうだな。

味噌汁とか沢庵とか、冷奴とかでもあれば良いんだけどな。

今日はそんなに手をかける気もないから、これだけ。


「.....うまい。」

「俺が適当に作ると毎回美味いって言うのなんでさ。」

「事実だから。」

「張り切って作ると大概文句言うじゃん。」


「そりゃ、チャレンジ料理作るからでは?」

「そーだけど、なんかむかつく。」


食べ終わって、二人分の食器を片付ける。


「食べるもん食べたし、なにすっかな。」

「ゲームとかする?パソコンで。」

「するする。コンビニは?」

「行きません。」


「台風がもうすぐ来るのに行くわけがない。」

「えー。お菓子ぃー。」


軽くチョップしたら、俺もパソコンに向かう。

少しゲームしてから背伸びする。

俺はそいつの方を向いてみた。

ゲームに熱中してるようだ。


「……なぁ。」

「んー?」


俺は小さくつぶやく。


「好きだぞ。」

「おれもー。」


言うだけ言って画面の方向いてる。

俺は何も言わずにそのまま黙ってる。

暫くしたら、ゲーム止めて隣に来た。


「好きだよ?じゃなきゃ、一緒に居ないでしょ?」


そう言って上目遣いされたので、俺は笑って、そいつの頭を何度も撫でた。


ソトはまだ雨で五月蝿い。さすが台風というか何というか。

たまに雷も光ってて、こわい。少し俯いてたら、顔を覗き込まれる。


「大丈夫?」

「大丈夫だけど、怖いものは怖い。」


そういうと撫でられた。その手の感触で少しだけマシになる。

俺は深呼吸して、頭を預けると、軽く撫でられた後に抱きしめられる。


「大丈夫だからね。」

「……うん。」


優しく抱きしめられ、しばらくそのままじっとしていた。

これじゃあ、いつもと逆じゃないか。

ちょっと悔しい。普段はこんなことないのに。


「家、大丈夫かな……。」

「大丈夫だよ。」


分かっては居るけれど。

分かっているけれど、どうしても不安になる。

停電になったり、窓が割れちゃったりしたら、とか。

風も雨も強いし音を立てているから。


「じゃあ、さっさと寝ちゃう?」

「それもそれで勿体ない気がする……。」


まだ21時を回った頃。大人が寝るには早めの時間。

普段の俺なら、次の日の仕事のためにそろそろ寝る準備をする頃。


「……やっぱり寝ようかな。」

「そう?」

「うん、寝ちゃえば分かんないし。おやすみ。」

「おやすみー。」


寝室でベッドに横になって布団を被る。

今の時期はエアコン使ってるから、暑くはない。

寝てる間に寒くて起きちゃうくらいだ。

布団に入ってると、眠気もやってくる。

しばらくすると、あいつも寝室に来て、ベッドに横になる。

どちらも特に何かをしゃべるわけでもなく。

あいつの方から抱き着いてくる形で添い寝していた。


「おやすみ。」


改めて小さく呟く。

安心と信頼と、ほんのちょっとの感謝を込めて。


「うん、おやすみ。」


その声を聴きながら、眠りに落ちていく。


=完=

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