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ひなたの詩&エッセイ集

狂った歯車

作者: ひなた

 時間は止まることなく動いている だれにも止めることなどできない

 時間は狂うことなく動いている ときには人を狂わせながら動いている



 時計の針 静かな部屋に音が鳴り響く

 その音が一つ鳴るごとに 君の命は刻々と減っていってしまっている

 連続殺人の犯人はきっと時間だ だれよりも多くの命を奪っていることだろう

 時計の針 孤独な部屋に音が鳴り響く

 その音は一つ鳴くごとに 君の命を刻々と削っていってしまっている

 連続殺人の犯人は時間なのだろう ならばそれをこの僕の手で止めてやる


 いくつもの時代を生きて いくつもの別れに立ち会ってきた

 出逢って別れて泣いて笑って 瞳を閉じればその一つ一つが瞼の裏に現れる

 その中でも君は特別 こんなに大切に思ったことは初めてなんだ


 儚い命を燃やす君 時間に翻弄されながら生きなければいけない君

 命を持たず永遠を持つ僕 逃げる勇気もなくて時間と寄り添い生きる僕

 全く違う君と僕だから この手が触れ合えるはずなどないのだろう

 君の中で流れている時間と僕の中で流れている時間 あまりにずれていた

 僕が手を伸ばしたそのときには 君の手はもう伸ばせなくなっていた

 たった数十年 短い時間を必死に生きる君が 僕は好きだったのに



 時計の針 止まってしまった もう動かない

 その音を止めてしまえば 君も僕と同じ時間を生きられると思ったから

 連続殺人の犯人はどうやら時間じゃなかったらしい 時間は淡々と流れるばかりで だれの命にも触れていなかった

 時計の針 止めてしまった もう動けない

 君の時間を止めてしまえば 晴れて君と僕は同じ時間を生きる存在になれると 思っていたのに

 連続殺人の犯人はどうやら僕だったらしい 大切なものを手に入れたかっただけなのに


 いくつもの時代を生きて いくつもの別れを作ってしまっていた

 隣にいたくて泣いて笑って 瞳を閉じれば脳裏に焼き付けたあの光景が繰り返される

 その中でも君は特別 だから特別な方法で時間を奪ってしまったんだろう


 儚い命を焼き尽くした君 時間に翻弄されるその運命はもう終わったはずなのに

 命を持たず永遠を持たぬ僕 時間と触れ合えば狂ってしまうのはわかりきっているのに

 全く違う君と僕だった この手を伸ばしたこと自体が間違いだったのだろう

 君の中で流れている時間と僕の中では流れない時間 重なるはずがなかった

 僕が立ち上がったそのときには もう君はいなくなってしまっていた

 たった数十年 短い時間しかなかった君から 僕は時間を奪ってしまった



 時間は止まることなく動いている だれも止めてはいけないもの

 時間は狂うことなく動いている 絶対に狂わせてはいけないもの

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