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調合師パスカル

パスカルは学園の隣の敷地にある王立研究所にいる。

この王立研究所は魔法や薬学、調合などのあらゆる研究施設といっていい場所。

学園の生徒の中には卒業したらこの研究所で研究をするのが夢と言う人も平民貴族に限らす多くいる。

どちらかと言うと平民の方が多い感じかな。

貴族はよほどの物好きか三男四男などの跡継ぎに関係のない人が目指すのが多い感じ。

パスカルは長男だけど、研究施設で調合研究の日々を送っている珍しいタイプ。

この世界でもゲームでも家の事は弟が快く引き受けてくれたと言っているけど私は気づいてしまった。

アメリアの記憶には笑顔で弟に跡継ぎを押し付けてる目撃現場があるのだ。

当時のアメリアはパスカルに頼まれて快く引き受けた弟と美談の記憶になっているが、あれは違うと思う。

記憶を思い出した私の視点から思い出してみるとあれはどうみても問答無用の押しつとしか思えない。

それでもあの時以外の記憶ではパスカルはゲーム通りなのだ。

記憶持ちではないと言え、心はあるのだから多少はゲームとも異なるのだろうと私は考えることにした。


研究所の目的の部屋の部屋につき、ノックすると返事があったので扉を開ける。

予想通りと言うべきか何種かの匂いが部屋に籠っている。


「ごきげんよう、パル兄様。少しは換気してくださいと何度言えばよろしいのかしら」


「やあ、リア。でもね?換気したらせっかくの匂いが逃げてしまうよ。

 それにどんな匂いの中でもすぐわかる香りを今は目指しているのだから、

 もっと籠った部屋にしたい位なんだ」


相変わらず調合になると周りが見えない従兄に私はあきれた視線を向ける。

匂いに酔う前に早々に用件を済ませて帰ろうと思い、用件を言う前にわたしはあるものに気付いた。


「パル兄様、こちらのしおりの山は何ですの?」


「ああ、それかい?依頼のあった品なんだ。

 なんでも平民でも気軽に香りが楽しめるようにって言われてね。

 おもしろそうだったから挑戦してみたんだよ」


そういうとパスカルはしおりに長期間匂いがつくための説明を熱く語りだした。

こうなると長いのよねと半ば聞き流しながら聞いていると新たにノックが聞こえた。


「あ、その依頼主も今日来るんだった。少しいいかい?」


そう聞いてくるパスカルに頷き、私は部屋の隅の死角となる場所に移動する。


「やあ。頼まれたものは出来てるよ」


部屋に入って来た依頼主に向かってパスカルが声をかけると予想より若い少年の声がきこえてきた。


「無理を言ってすみませんでした、パスカル様。

 これで僕の夢が一歩前進です!!」


「大袈裟だな。まぁ、頑張ってね」


「はい!!ありがとうございます。

 また何かあれば相談に乗ってください」


少年はそういうとパスカルと値段についての交渉を始めた。

私はその声を聞きながら混乱していた。

この位置からは顔を見る事は出来ないけど、この声は間違いなくヒロインの兄であるセシルだ。

ゲームでは私を経由しないと会う事のない2人のはずなのに何故面識があるの!?

そう考えてる間に交渉が成立したようで、セシルが荷物をまとめている音が聞こえる。


「では、僕は失礼します。またマーケットにも来てくださいね」


そう告げると少年が扉を閉める音が聞こえた。


「おまたせリア。何も隠れる事はなかったのに」


「邪魔しない方がいいかと思いましたの。パル兄様、今の方は?」


「ああ。今人気のザーラット商会の主の息子でね。

 マーケットで父親を超えるべくお店を出してる少年だよ。

 たまたま気分転換にマーケットに顔出して意気投合したんだ」


やはり主人公の兄ですね。

それにしても気分転換でマーケット?


「まぁ、パル兄様が気分転換で外に行くなんて珍しいですわね」


そう、出不精、引籠り、良い言い方?でインドア派なパスカルなのだ。

外に出るなんてありえないと思っているとパスカルの苦笑顔が目に入った。


「リア、僕を何だと思ってるんだい?

 私だってたまには気分転換に外出するよ。

 さて、約束していた香水はこれだよ」


パスカルに出された香水に私は考えをやめて香りを楽しんだ。

そして今回の目的でもある匂い袋を作れないか聞いてみると快く引き受けてくれた。

この時点で私はセシルの事はすっかり忘れていたのだ。


だから部屋を出る時のパスカルの意味深な笑顔に気付く事はなかった。

そして1人になった部屋で静かに呟くパスカルの言葉を聞くこともなかった。


「今日のってこの後に起きるイベントの前提イベントだよな。

 イベント補正はないと言いながらもイベント通りに進むのかねぇ。

 まぁ、マーケットに足を運んだ俺も俺だがな。

 さてお2人さん。リアルなイベントを絶のせませてくれよ?」


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