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商人エーリク

5話目は11/26 0:00投稿です

今日は学院が始まってから初の日の曜日。


商人のエーリクに会う日。

ゲームとしてはエーリクが登場する方のゲームではやったことないのでサイト情報でしか知らないのよね。

しかもこの世界では私が隣国の歴史や言葉を勉強する時の先生でもあった。

エーリクの父親と私の父は親友で、エーリクがこちらでの仕事の援助をする条件の1つで依頼したのだ。

その関係もあって、エーリクは今でも珍しい商品があれば我が家に最初に見せに来てくれる。

彼の扱う珍しい異国の品はどれも素晴らしく、彼と過ごすお茶の時間は私の密かな楽しみだった。

過去形なのは記憶を戻してから会うのが初めてだからだ。


それでも私は今日、エーリクに会えるのを楽しみにしている。

彼がもってきてくれるお茶やお菓子は私の癒し。

そう、今日は疲れを癒したいのだ。

今日までの学園生活は入学したばかりの割に怒涛の日々としか言いようがない。


あの入学式の日に起こった事件を私は殿下達に話した。

殿下と兄は顔を見合わせるとこちらでも対応すると言ってくれた。

その一言に私は安心した。

殿下達も動いてくれればそんなに問題は起きないだろう。

それに学園内は身分差に関係なくと言っても受ける授業はほとんど違うからあの2人がドーラに会う事もそんなにないだろう。

そう思ってた私の考えが甘かった事を翌日から知る。


ドーラは授業が終わると待ち伏せしているのだ。

そして誰がいようと構わずにフランクに近づき、ティナを威嚇する。

今ではドーラを見かけると誰もがフランクとティナを隠すように動く事態だ。

それに誰もが注意してもドーラは耳を貸さない。

何故あそこまで行動できるのか不思議で仕方ない。

あまりの事態にドーラの退学処分を学園長としていると殿下から聞いた。

殿下からも怒りのオーラが出ている。

この事態はドーラがの一言が原因なので自業自得と言えばそれまでだけど。

私はティナの側になるべくいるようしてたからティナを逃がすための壁としてドーラとよく遭遇した。

その度に私が追い払っていたので彼女の攻撃が私にもよく来るようになった。

それは別に問題なかったのだが、私の名前を知った時に言った彼女の言葉を殿下が聞いたのが問題だった。


「アメリア・エヴェルスですって!!

 はっ。残念な悪役令嬢は金髪縦ロールと相場が決まっているのよ。

 縦ロールでもないあなたは偽物だわ。

 それに貴方の出番なんかないのよ。

 私の邪魔をしないでちょうだい」


周りに人がたくさんいる状態でこう言い切ったのである。

公爵令嬢を平民が偽物扱いしたのだから、貴族達の怒りは頂点に達したと言っていい。

しかもそれを抑える立場の殿下と兄もこの一言にはキレた。

私としては縦ロールじゃないから偽物ってそれひどくないか?と突っ込みたかったが・・・。

そんなこと言える雰囲気では当然なかった。


平民でも学園に入れるとはいえ、入学するにはそれなりの試験に合格しないといけないのだ。

それを一週間も経たずに退学処分を打診されるなんて・・・。


記憶持ち4人目は早々に表舞台から退去となる。

だといいけど、このゲームはマーケットでも影響がある。

学園にはなくてもドーラは街には居るのだから遭遇しないとは言えない。

今後も要注意人物と言えるだろう。

初っ端から大問題発生だよとため息をつかずにはいられない。



ぼんやり今迄の事を考えているとノックの音がしてメイドが部屋に入って来た。


「お嬢様。エーリク様がお見えになっております」

「ありがとう。すぐ行くわ」


メイドの言葉に私はサロンへと向かう。


「ごきげんよう、エーリク様。今回も可愛いものありまして?」

「久しぶりだな、お嬢ちゃん。今回も色々揃えてあるぞ」

「もう!!お嬢ちゃん呼びはおやめになってといつも言っているではありませんか」

「はいはい。でも俺にとってはお嬢ちゃんはお嬢ちゃんだ。

 ほら、今回はどれも珍しいものばかりだから気にいると思うぞ」


品物の前に誘導するエーリクは既に商人の顔になっている。

この挨拶のやり取りは毎回の事だけど、お嬢ちゃん呼びはほんとやめてほしいと思いながらも私は品物に目を向ける確かに今回は可愛いものや珍しいものが多い。

エーリクはアリアとしての記憶を遡っても、頼れるお兄ちゃんとして認識されている。

悪い人じゃないのは確かだけど、この人については攻略対象と言えどまったく情報ないから記憶持ちか判断するのは厳しいな。

そう思いながらある箱を開けた私は固まってしまった。


「エーリク様。これは・・・」

「あーそれな。日本人形ってやつだ」

「ええっ!?日本!!何故?」


思わず答えてしまった私にエーリクはにやっと笑う。


「やっぱり、お嬢ちゃんは記憶持ちか・・・」


し、しまった・・・。

思わず反応してしまったけどどうしよう。


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