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変化のない日常

転寝してしまって予約を忘れてました。

すみません。

あれから分かったと事と言えばゲーム内の襲撃イベントの城内侵入経路は塞がれていたと言う事でしょうか。

私とアルが出会う前にはほとんど塞がれていたことが分かりました。

アルがまだ小さい頃に侵入者があり、その事件を切欠に城内の侵入されそうな箇所を調査して塞いだそうです。

小さかったこともあり、アルは調べるまで全く知らなかったようです。

そしてマーケットも特に派手なトラブルは起きる事はなくなっています。

フランクを囮にした貴族調査も当たりは有りませんでした。

現在は動きが不穏な貴族の調査をしていますが、今回の件とは全く関係なさそうとの事です。

フランクには引き続き貴族調査をしてもらい、兄も色々な手段で情報収集してますが、一向に掴めないそうです。

というのも一時期騒がれてた私の噂は最近静まり返っているのです。

噂が出てた頃に掴んだ根城を言っても既に蛻の殻で手掛かりは全くない状態となってしまいました。


「こんだけ調べて何も出て来ないっておかしくない?」


「そうですわね。お父様達の方も何もありませんの?」


私の問いに兄は頷き、溜息をつきながら見ていた報告書を投げ出します。

調べても全く成果がないからイラつくのはわかりますが、書類を投げ出すのは良くないです。

それにしても父達でさえ情報がないと言うのはおかしい気がします。

私が兄が投げた書類を集めていると同じようにソファで書類を確認してたユリアナも溜息をつきます。


「ドーラの情報が全くないって言うのが気になるわ。

 入学時にあれだけの言動してれば目立つと思ってたのに。

 それともあれは演技だったとでもいうのかしら」


「あの時の彼女の瞳には狂気しか見当たらなかったけどね」


ユリアナの言葉にアルは不機嫌そうに告げます。

ユリアナはマーケットの件はユリウスに任せてドーラの事を探していたそうですが、全く足取りが掴めないと嘆いています。

ユリウスはこの場には居ませんが、クール腹黒じゃなくても調査は優秀でした。

いや、なんとなく現在のユリウスは挑発に乗りやすいタイプなので調査に向かないのじゃないのかなとか思ってたのですが、予想以上の仕事をしてくれています。

彼なら将来宰相としていい仕事してくれると期待できます。


ちなみに最近はアル・兄・ユリウス・ユリアナ・私の5人での報告会がメインとなっております。

主に情報収集は兄とユリウスで、アルと私は城内での調査です。

ユリアナは先程も言いましたが、ドーラについて調べています。

城内の調査と言っても抜け道とか噂話の収集しかないのですけどね。

外務の仕事で外に行く時などは意外にも色々な噂話がきけるんですが、大半がゴシップなんですよね。

死後の世界でもゴシップネタはすごいんだなと思ってしまいましたよ。

そんなゴシップネタにもってこいなのがアルとユリウスです。

2人がちょくちょくあっているとアルが実は次期王位を諦めておらず、ユリウスと簒奪を狙っていると勘ぐる輩もでてきそうなのです。

同じ学院生同士いつでも気軽にあえばいいじゃないかと思うのですが、そう簡単にはいかないようです。

王位継承権は既に手放しているのにそんなことを考える人がいると言う事に溜息しか出ないです。

なので表向きはクリスティアーン王子を支える為にも親睦を深める為とかいってアルとユリウスは会うようにしているようです。

時にはクリスティアーン王子も交えて話していますよ。

もちろんその際は当たり障りのない会話がメインですけどね。


「そういえばドーラの過去には何も手掛かり見つかりませんでしたの?」


「ドーラの過去はほぼ白かな。入学する半年前迄は普通の子だったみたい。

 彼女の両親は急に娘の態度がおかしくなって困っていたそうよ。

 学園に通って元の通りに戻ってくれればと期待してたらしいわ。

 結果は残念に終わってしまったけどね。

 思い出した後もお店のお手伝いはちゃんとしていたそうよ。

 当然と言ったら当然かもね。

 何しろ目当ての人達が来る絶好のチャンスでもあったのだから。

 だからこそ行動範囲はそれほど広くないのよね」


確かに突然自分の娘が訳の分からない事を言い出したら驚きますよね。

ちなみに私がエーリクに頼んでたドーラの調査もほとんど手掛かりなしのままでした。

エーリクは商売の関係上情報網はかなり広いのですが、それでも手掛かりなしというのが不思議です。

彼女の両親も娘の事は気になるようで、お店に娘の情報求といった張り紙をしているそうですが、未だに情報はないみたいです。


「彼女はどこかの組織に入ってた訳ではありませんのね?

 だとしたら何の目的でドーラを捕まえたのでしょう?

 私から見たら彼女を捕まえてもメリットがあるようには思えませんわ」


「同感だな。あの発言が常ならば私なら排除する」


アルは相当嫌なことでもあったのでしょうか。

ドーラの話をする時はいつも不機嫌になります。


「排除ね。その可能性もあるけどそれならば排除する理由は?

 調べれば調べる程謎が出てくるってめんどくせー」


兄の言葉が日に日に崩れていくような気がするのは気のせいでしょうか。

気持ちは分からなくもないですが・・・。


「ドーラの件はやっぱりおいておきます?

 それに時期的にそろそろ共通イベントが発生しますよ。

 肝心のヒロイン達はお店中心で攻略誰もしてませんけどね。

 それでもあのイベントはゲームなら発生するんですよ」


「稼いだ金額と攻略対象者によって変わるイベントでしたわよね。

 カローラからは”目標金額達成したよ”って連絡が来ましたわ。

 攻略者がいないのでマーケットを荒らされるだけのイベントだと思いましたけど?」


私が記憶を思い出しながら言うとユリアナも頷きます。


「こっちの共通は王子が盗賊をマーケットに放つだったよな」


兄が意地悪そうな顔でアルを見ますが、アルは気にした様子もなく紅茶を口にします。


「俺が黒幕とかいって盗賊が登場したら笑うよ」


アルの表情は笑顔ですが、目は笑っていません。

確かにギャルゲー関係のトラブルイベントは主要の盗賊がほぼ壊滅状態なので起こっていないのですよね。

この日も成果は出ずに話し合いは終わってしまいました。

それにしても黒幕は目立った動きを全くしなくなりましたが、何をしたいのでしょうか。

今の静けさが嵐の前の静けさでないことを祈るばかりです。

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