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入学式

4話目は11/25 0:00 に投稿します

ヒロイン達が乙女ゲームの舞台になる学園に入学してきた今日。

入学式が終わり、私は中庭にある東屋で本を読みながら兄達を待っていた。


私が記憶を思い出したのは入学式の1ヶ月前。

しかも残念令嬢のアメリア・エヴェルスとして・・・。


それだけならば意地悪をしなければいいか程度だったけど、そういう訳にはいかなかった。

予感的中と言うべきか、私が思い出したときには既にゲームの設定とは違う事が多々ありすぎた。


まず、王子とは婚約者候補のはずが既に婚約者に決まっていて、将来の為に主要取引のある3国の言葉は覚えておくように言われ、マスターしていた。

何気にこの体はハイスペックはらしい。

そしてゲームでは兄は妹を毛嫌いしてたのに自分で服のデザインをして私にプレゼントしてくれる程に仲がいい。

しかもゲーム以上にお兄様のセンスはいいし、明らかにこの世界とは違う生前のデザインの服もある。

明らかにこの2人は記憶持ちだとわかる。


そしてゲームでは見事な金髪の縦ロールの私の髪が見事にストレートになっている。

どうもあの縦ロールは時間かけて撒いていたらしく、髪の毛によくないとお兄様の発言でやめることになったと記憶している。


なので、記憶が戻る前に既にアメリア・エヴェルスはゲームとは全く違う令嬢に仕上がっていたのである。

1ヶ月前に記憶が戻るなんてと嘆きかけたが、よくよく考えるとこの時点で思い出して良かったのかもしれない。


ただ、問題が1つある。

この状況で”実は記憶持ちです。”と言うに言えなかった私は未だに言えずにいる。

楽しそうに服を持ってくる兄とゲームとは違い俺様じゃない王子の笑顔を見てると絶対に言えない。

言ってしまったら今の関係が絶対に壊れる!!

それだけは避けたい私は今迄と同じように振舞うことにした。

なので今の所は気づかれてはいないはず・・・。

でも、何時まで隠せるか私の悩み所だ。


記憶持ちは現時点で私含めて3人。

あと7人はいるはずだから、今後の為にも探しておいた方がいいかな。

私の行動範囲もそんなに広くはないけども隠しキャラ2人には今度会う時にでも探りを入れようと企んでいる。

それにしてもこんな状態で死神達はテストやらは問題なくできるのかしら。

思わずため息をつくと、仲よさげなカップルがこちらに歩いてくるのに気が付いた。


こちらに歩いてきてるのはフランク・バッケルとティナ・ヘリツェンの2人。

2人は私に気付き、挨拶をしてくれる。。


「「こんにちは(ごきげんよう)、アメリア様」」

「ごきげんよう。フランク様、ティナ様」


2人に私も笑顔で挨拶を返す。

ゲームでは婚約者候補だったのに今の2人は婚約者同士だ。

これはどちらかが記憶持ちとみるべきだけど、この2人は違う気がするんだよね。

女の勘と言うか記憶があれば私の姿が違う事に驚くと思うけどその様子が全くない。

2人に関係する第3者が記憶持ちと考えるべきかしら。

それにしてもいつみてもほのぼので仲のいい2人だわ。

ゲームの中でこの2人のカップリングが一番好きだった私は、フランク攻略に躊躇したものだ。

なのでどなたか知らないがこの2人を早々に婚約者にしてくれた人には感謝したい。

もしヒロインがこの2人に割り込もうとするなら私は阻止したいと思う!!


「アメリア様はここで何を?」

「アルフレット様と兄様を待ってますの」

「お2人とも生徒会ですから、お忙しいのですね」


フランクの問いに私が答えるとティナが頷き、そしてフランクをちらっと見、フランクが頷きながら私に尋ねてきた。


「お2人が来るまでご一緒しても?」


なるほど、さっきのアイコンタクトで私の相手をしようと相談したのかぁ。

絶対に私はこの2人を応援する!!

そう心に決め頷こうとした時だった。


「も「フランク様ぁ!!」・・・・」


私の答えに被るように遠くから声が聞こえた。

何事かと視線を向けると茶髪のショートボブの少女が元気よく駆け込んできた。

少女は私とティナに構うことなく持っていた紙袋をフランクの前に差し出しすが、フランクは怪訝な顔で少女を見ている。


「あ、あの。私、フランク様達がいつも利用しているパン屋の娘のドーラです。

 これフランク様がお好きな砂糖がたっぷりかかったパンです。

 よかったら受け取ってください」


パンが入っている袋をドーラはフランクに渡そうとするがフランクは更に怪訝な顔をして受け取ろうとしない。


「悪いが、パン屋に覚えがないのだが・・・。誰かと勘違いしてないか?」


「いいえ?騎士団長のご子息様ですよね?

 いつも騎士団の方が当店にパンを買いに来て話をきいていましたし、

 私はフランク様の事をよく知っています。

 貴方が実は甘党なことも。小動物が大好きだってことも知っています。

 だから私と結婚してください」


おい。

甘党や小動物が好きって言うのは公式プロフィールに書いてあった情報、どう見てもこれは記憶持ちだよね。

というか初対面でこのセリフはないわ。

フランク固まってるよー。

そりゃ、知られたくないヒミツを言われたら固まるよね。

ティナも隣で驚いた様子でドーラを見てる。


「ドーラさんでしたかしら?

 あなたフランク様には既に婚約者がいらっしゃること御存知ないのかしら?


固まってる2人に変わり、私は目つき鋭くドーラを見る。

ドーラは驚いたように私を見、視線をティナに向けると微笑んだ。


「ティナは私の事を認めたらフランク様を譲ってくれますから問題ありません」


はい?

えっと、確かにゲームではヒロインを認めたら婚約者候補の座から退いたけど、この世界では既に婚約者に決まっている。

決まった時点で解消するというのは大問題だ。

しかもパン屋の娘ってことは平民よね?

いくら学園内は身分に関係なく平等とはいえ、伯爵令嬢に対して婚約破棄してくれるとはありえない発言だ。

それに2人から徐々に怒りオーラがでてきてるんだけど!?

のほほんかっぷるで有名な2人から怒りオーラがでるなんて明日は槍が降ってもおかしくないよ!!

まずい、ここはどうにかしないと・・・。


「学園内は身分に関係なく平等とは言われてますが、

 今の発言は如何なものかと思いますわ。

 それにあなたはまずマナーを身に着けるべきですわ。

 初対面のそれも身分が上の方に対して言うべきことではありません。」


「いいえ?私とフランク様は結ばれると決まっているんです。

 今はその女に騙されているだけなんですから」


そういうとドーラは去って行った。

どう考えればこのような展開になるのでしょうか。

全く分からないわ。

私達は呆然と見送っていると、殿下と兄がやってきた。

私は2人が心配だったが、何かあれば協力すると伝えその場は別れた。


それにしても彼女は記憶持ちにしてはおかしいというか、あんな痛い登場しなくてもイベントをヒロインの代わりに利用するとか考えなかったのかしら。

どう考えてもあれはない。

まーイベントを利用しても2人の仲を裂く者は私が阻止するけどね。


それにしても初日からとんだ1日になったわ。



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