王女との交流
私が王城で生活するようになってどれくらい経ったのでしょうか。
学院はもうすぐ長期休暇に入る時期ですから1ヶ月位は経っているはずです。
あまりの忙しさの日々にあっという間に時が経っている状態ですよ。
私が何をしているかと言うと王妃様の元でクリスティアーン王子の婚約者である隣国のエリアーヌ王女と一緒に王族としてのマナーを学んだり、外交担当と共に実際に交渉の場等に顔出しなどしている日々です。
エリアーヌ王女は花嫁修業としてこの春からこの国に来ていることは知っていましたが、実際に会うのは初めてで色々緊張の日々です。
エリアーヌ王女とは隣国の言葉だけで喋るお茶会とか逆にこちらの国の言葉だけのお茶会とかお互いの言葉の勉強も兼ねたお茶会をしているので色々な意味で大変です。
いきなり生活がハードモードで毎日目が回りそうですよ。
おかげで王子の事とか考える時間もないのがありがたい事でしょうか。
ちなみに王子との関係ですがあのままです・・・。
王城で一緒に生活してるのに何故進展がないのかと思いますよね。
答えは簡単です。
王子は学院に行っていますが、私は行っていないので昼間はまず会う事はありません。
夜は殿下の執務時間だったり、お茶をするにしても2人きりと言う訳には中々いかなくなってしまいました。
なら日の曜日は?って言うと私は王妃様主催のお茶会に参加する日々です。
お茶会がなくてもエリアーヌ王女と共に行動することが増えました。
大きな理由は私が現在、外に出れない状態で、王女も街にはあまりでないようにと言われているので私達は必然的に共にいる時間が増えたわけです。
王子は例のマーケットの件を調べたりと忙しそうで何か手伝おうとしたのですが、王子から”気にしないでいいよ”と言われてしまえば手を出すわけにもいかず・・・。
なので私に情報はほとんどなく、王子にも会えずな日々を過ごしているんですよ。
未だに王子がどう考えているのかわかりません。
私はできればこの関係を続けたいです。
ゲームのような俺様だったら間違いなく記憶を思い出した時点で避けていたでしょう。
でも、今の王子は努力家です。
何事もないような顔で作業している裏で実は必死に頑張っている事を私は知っています。
一緒に街に行ってくれた時もちゃんと私の好きなものを知っていました。
若干、記憶を思い出してから味の好みは変わってますが、それでも私が好きと言ったものを覚えていてくれた事は嬉しかったのです。
じゃあ王子は私をどうおもっているのか?
今更聞くに聞けない状態で今に至る訳になってしまっています。
最近、1人になるとこんなことばかり考えてしまってダメダメです。
はぁ。今日は王妃様が王女を紹介する場としてお茶会を開くため、招待客は私達と同年代の子が多いです。
このお茶会の前に既に夜会で紹介は終わっているのですが、夜会には若い子達は出席してない方もいるってことでの今日のお茶会です。
王子達も参加しますし、陰気な顔をする訳にはいかないのです。
気分を変えてお茶会を楽しまなくてはと、私は王妃様の元へ向かいました。
お茶会は精神的に疲れます。
特に同年代はちょっとした事が大袈裟に噂になったりするので怖い場所です。
今回は王妃様主催のお茶会なので見た目は穏やかですけどね。
メインは王女のはずなのですが、チラチラと私にも視線を感じます。
笑顔武装全開で乗り切るのは疲れるんですよね。
特に今回は王子も一緒です。
色々な意味でお茶会前から疲れていますよ。
「ミリー?何だか疲れてる?」
「いえ、大丈夫ですわ」
「無理せずにね」
笑顔でにっこり答える私に王子はポンポンと頭に手を乗せながら苦笑します。
うっ。無理してるのバレバレですか。
それにしてもこういう時にも優しくしてくれて本当にどう思ってるのかしら・・・。
って今はそれどころじゃありません。
笑顔笑顔と念じているとフランクとティナのカップルがこちらに来るのが見えます。
フランクと王子は当然顔見知りです。
普段は兄と一緒にいることが多い王子ですが、フランクともちゃんと付き合いはあるのです。
一応、フランクは王子の護衛なのですよ。
それなのに学園内で常に側にいないのは学年が違うという事もありますが、王子から遠くから見ての状況を報告してほしいと依頼があったからです。
常に側にいるよりも遠くから見て、そして王子と仲良くないと思われればフランクに接触してくる貴族もいるだろうとの考えらしいです。
そしてその結果、残念なことにわたしとティナが表だって仲良くするのはよろしくないと言う結論になってしまったんですよね。
せっかく仲良くなれたのに残念ですが人目のあるところでは親しくするわけにはいきません。
色々決着がつけば問題なくなるので早く解決したいです。
フランクとティナVS私と王子の挨拶は僅か数秒の挨拶で終了です。
ティナも事情は分かってるのですが、最初は反対だとフランクに文句をいったそうです。
私が見たわけじゃなくこっそり報告に来たフランクに会った時にそう文句を言われたのです。
ティナと初めて喧嘩したとか、その原因がアメリア様なのですよとかフランクに色々言われたのですが、話聞いてくうちにこれってひょっとして惚気?って気がしてきましたが、最後まできちんとお話は聞きましたわ。
終わった直後は胃もたれになった気分でしたよ。
宰相の息子のユリウスも先程挨拶に来ましたが、こちらは1人でした。
ユリウスは時期宰相と言われているだけあって、王女やクリスティアーン王子の側にいる方が多いですね。
それにしてもゲーム中には第1王子は名前のみだったし、ストーリー上王位を継ぐのは第2王子のアルフレットで第1王子はどうなったのか全くわからないんですよね。
しかも、エリアーヌ王女に至っては名前すらでてこない存在でした。
ゲームには出て来なかった人物やゲームと似てるけどちょっと違うイベント等実際に起きてると今後は何が起きるのか想像がつきません。
ゲーム内容に捉われて動くと後で痛い目にあいそうな気もしないではないです。
それにしてもお茶会早く終わってくれないでしょうか。
笑顔で対応するのも楽じゃありません。




