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時の街の世界

3話目は11/24 0:00投稿です。


11/23:誤字・脱字を修正しました

死神には言いたいことがいっぱいあるけど、目の前にいないのだからどうしようもない。

落ちながら私はとりあえず乙女ゲームの世界を思い出すことにした。

落ちてるのに余裕とかじゃなくて何か考えてないとこの暗闇の中落ちていくのは耐えられそうにないのだ。

せめて周りがメルヘンチックだったらよかったのにとため息をつく。

それにしても死後の世界が乙女ゲームってどういう事なのか・・・。


はぁ、”時の街~あなたに愛を~”か・・・。

このゲームには悪役令嬢はいるが陰険ないじめとかはなく、逆ハーレムとかも存在しなかった記憶。


攻略対象は5人で隠しキャラが2人。

2人と言ってもこの乙女ゲームは家庭用携帯ゲーム機2種で販売され、機種によって隠しキャラが違う。

しかも5人のおまけイベントも機種によって違うというお財布に優しくないゲームだ。


この物語は平民と貴族が通う学園にヒロインが入学する所から物語は始まる。

乙女ゲームとしては何処にでもある内容だけど、ちょっと変わっていることがある。

ヒロインは商人の娘で、双子の兄が店を継ぐ為の修行として毎週日の曜日に開くマーケットで出すお店のお手伝いをする。

お店の売り上げや仕入れによって攻略対象との関係も変わってくるのだが、そのお店の仕入れをする時は兄を操作することになる。

ヒロインは兄をサポートするために攻略対象と親睦を深め、兄は父親に認められるようにマーケットに出すお店を人気店にするという2点を達成しないとハッピーエンドにはならないのだ。

しかも売上金額によって若干ハッピーエンドが変わると言う意地悪もある。


途中から恋の為に頑張ってるのかお店の売り上げ目標を達成するために頑張ってるのかわからなくなったゲームでもある。


そんなゲームの攻略対象者その1は乙女ゲーム定番のカルス国の第2王子、アルフレット・カルス。

これまた定番の俺様王子だけど、王位は兄に任せて外交の任務をしたいと勉学に励んでいる。

ヒロインとは貿易の話で意気投合し、仲を深めていく。

この2人を妨害するのが婚約者候補の公爵令嬢アメリア・エヴェルス。

悉く2人の邪魔をするが、常に空回りで終わると言う残念令嬢だ。


攻略対象その2はそんな残念令嬢の兄である公爵子息のディック・エヴェルス。

優しくてセンスがよくて、マーケットでヒロインのお店を見たのがきっかけで品物のアドバイスをしていく内に仲が深まっていく。

こちらも妨害は残念令嬢のアメリアだ。


攻略対象者その3は騎士団長の息子であり公爵子息のフランク・バッケル。

ヒロインが薬草を摘みに行くのに森へ行くのに学院内のギルドで護衛を頼まないといくなくて、その時の護衛役にフランクを選ぶと護衛の度に仲が深まっていく。

このルートのライバル令嬢は婚約者候補の伯爵令嬢ティナ・ヘリツェン。

ライバルと言ってもフランクの良きサポートで、ヒロインに勝てないとわかると自ら身を引く健気な少女だ。


攻略対象その4は宰相の息子で公爵子息のユリウス・ゼーマン。

彼も定番のクール腹黒男だ。

そしてこのルートはちょっと変わっていてマーケット開催反対派の対応を考えようと選択して、お店の常連の侯爵令嬢ユリアナ・アルテネに相談するとユリウスを紹介され、最初は渋っていたユリウスが徐々に協力的になり、3人で解決する展開になる。

ユリアナはその時の2人を見て仲をとりもつようにする存在だ。

乙女ゲームとしては珍しい役所な令嬢だ。


攻略対象その5はヒロインたちの幼馴染のクルト。

彼も定番のわんこ系な少年だ。

このルートは双子の兄の操作も影響してきて、兄操作の時に意地悪な選択肢を選ぶとイベント時に影響してきて大変なことになるのだ。


そして隠しキャラその1は調合師で伯爵家の三男パスカル・エトホーフト。

おっとり眼鏡のマイペースな22歳だ。

このルートは薬草やハーブを使った商品を考えようとするヒロインに手を差し伸べるのがなんとアメリアなのだ。

ヒロインが持っていた試作のポプリに興味を持ったアメリアが知り合いの調合師のパスカルを紹介するのだ。

そしてアメリアと友好を深めると友情エンドを迎えることになる。


最後に隠しキャラその2の隣国の商人のエーリク・ブロム。

剽軽なお調子者の26歳。

エヴェルス公爵家と取引をしていた彼がアメリアの紹介でヒロインと仲良くなるストーリーでこちらもアメリアとの友情エンドありのストーリーだ。


殺伐とした内容でもなく糖度もそれほど高くはなかったが、そこそこ人気のあるゲームだった。


魔法もないし、危険度は低いゲームだから平穏な死後生活になるのかもしれない。

けど、記憶持ちが10人もいれば絶対におかしな展開になるはずだ。

うん、波乱万丈な死後生活だけは御免こうむりたい。

せめて平穏な死後生活が送れる人物にあたることを願わずにはいられないよ。


ってあれ?

”時の街”って乙女ゲーム以外にも出てた気がする・・・。

何だっけ?


再び考えようとした時、足元から明るくなってきて私の意識はそこで途絶えた。





そう、”時の街~あなたに愛を~”は10年以上前にPCで”時の街~君に贈る愛の花束~”と言うタイトルのギャルゲーがあったことを私はすっかり忘れていたのだ。

乙女ゲームとギャルゲームが混ざることでとんでもないことになるとはこの時の私は思いもしなかった・・・。



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