第一話
第一話です
俺は今薄気味悪い森にいる。
その目的はギルドからの依頼で薬草をとってこいと言われたからである。
薬草採取なんてさっさと済ませて家に帰ろう。
薬草採取は数十分で終わった。
これが俺じゃなかったら何時間もかかっているんだろうな。
卑怯な手を使っている俺が言うのもなんだが、薬草採取というのは簡単なように見えて意外と難しい。
自然界には似たような植物がたくさんある。それを間違えずに何十本も採ってくるというのは意外と難しいのだ。
全て採り終わったと思いギルドに持って行ったりしてみると、別の植物が何本か混ざったりしていて依頼達成ができない場合が多い。
そんなことを考えているうちにギルドが目前まで迫っていた。
ギルドとはこの世界で共通の公共施設であり、すべての国のありとあらゆる場所にギルド支部が存在している。
ギルドから依頼を受けて働く人のことを冒険者と呼ぶ。
冒険者は上はSSから下はFまでにランクが分けられている。
ただ強いというだけだは上位ランクになれず、魔物と戦う際に必要となる知識が足りなければ、上位ランクに昇格することは難しい。
ギルドに入ると依頼を受けた後なのか、それともこれから依頼を受けるのかわからないが、十人ほどの冒険者が滞在していた。
特に知り合いがいたわけではなかったので真っ先に受付へとむかい、受付嬢に依頼品の薬草の入った袋と、「スレイ・アークハルト」と書かれた青色のカードを渡す。
このカードはギルドによって発行される身分証明証みたいなものだ。
これさえあれば世界中のどの国にも入国することができるという便利なものだ。
カードの右上にはクリスタルが埋め込まれており、これが発信機にもなっているので、犯罪をしようものなら速攻で捕まってしまう。
「スレイ様でございますね、無事依頼達成ということで3000ウルの報酬金をお渡し致します」
ギルドの受付嬢の軽やかな声を聞いて俺は3000ウルを受け取る。
報酬ももらったし、さっさと帰って一休みでもするか。
「おっ、スレイの小僧じゃないか。今日も薬草採取か?ご苦労なこった」
「別に大したことじゃないですよ、ちょっと森まで行って薬草をとってくるだけですしね」
俺が颯爽と帰ろうとした時にタイミングよく話しかけてきたこの男性はラダム・ストロウネという、この平和な国には珍しいAランク冒険者だ。
このギルドではみんなの兄貴分として慕われている。
ラダムさんは親がいない俺の親代わりになってくれた人でもあり、俺の師匠でもある。
「ラダムさんも依頼ですか?」
「ああ、ちょっくら魔物を倒してくる」
この世界には過去に悪魔が侵略してきた事があり、その影響で今でも魔物やら悪魔やらといった地獄の生物が存在している。
その時に活躍した勇者レイウスのおとぎ話は有名だ。
そういった魔物や悪魔の討伐もギルド所属の冒険者の仕事になっている。
「よく魔物なんかと戦えますよね、俺なんて怖くて戦えたもんじゃないですよ」
「何言ってやがる、このランク詐欺冒険者が」
「ランク詐欺なんてよしてくださいよ。俺は自分に見合った依頼を受けているだけですよ」
「そーゆーことにしといてやんよ。じゃ、俺はそろそろいくぜ。じゃあな」
「ええ、頑張ってください」
それじゃ、俺も家に帰ってひと休みするか。
本格的に物語が始まるのはまだまだです。
感想、指摘などお待ちしてます。