リカバリーショット改め
駐車場にどうにか車をおさめ、寒いのでエンジンをかけたまま待つ。
まどかが飽きてきた。
「ねえパパ、しりとりしよう」
「えええ」面倒くせえなあ。
まどかがさっさと先手をとる。「じゃあねえ、しりとりの『り』」
「リカバリーショット」
「なにそれ」
「……やめた。リンゴ」
「ゴリラ、の『ら』」
延々と、しりとりが続く。まどかは案外覚えがよくて、同じ単語が二回でると
「それさっき言ったよ」と鋭く指摘してくる。
更に延々と続くしりとり。ところがついに、後ろの小僧たちも動きのない車内に飽きたらしく、ぐずり出した。しかも二人同時。
「ねえ、おべんとまだ?」まどかも、イラついてきたらしい。「おなかすいた~」
「遅いねえ」時計を見る。すでに10分は経っている、と思う。
携帯を見るが、着信があった様子もない。
「ちょっと……見てくる」やや迷ったが「まどか、車の中で待っててくれる?」
ええっ? とまどかが激しく拒否。
「いやだぁ、パパといっしょに行きたい」
「だって赤ちゃんがいるからさあ」
「いや!」
目が届かなくなるのが一番こわい。店先にもう一度停めるか。
「お店の前に車を置けばいいか?車で待っててくれる?」
まどかは眉をよせて少し考えていた。この顔はまるで由利香だ。
それでもやがて、しぶしぶといったように
「……わかった」と言ってくれた。
車を動かすと、ぐずり出した小僧どもも急に大人しくなった。が、店の前に停めるとすぐ身をよじって怒り出した。
「待っててね、すぐ見てくるから」




