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夫の秘密

「あの……困るわ。散らかってますし…子どもも」今日に限ってまどかは園内保育に入れてしまっていた。夕方までは、実は手が空いている。

「それに会社からですとお時間が」

「実は別件ですぐ近くにおるのです」タクシーに乗っていたらしい。

「15分後に、そちらに伺いますが」ここで聞けなければ、もう機会はないかも。

 そうとっさに判断して、由利香は支部長を招いたのだそうだ。


「来たの? ここに?」初耳だった。椎名さん飛び起きる。まるで今、訪ねて来られたかのようにきょろきょろしている。

「そうよ、マサとトシをだっこして、可愛いですねえ、って」



 会社に対する不満をぶちまけている間も、彼は真剣に聞いていたのだそうだ。

 双子は、彼に抱っこしてもらってから間もなくぐっすり眠ってしまった、家の中は珍しく静かだった。


 やがて、支部長が静かにこう言った。

「私どもの仕事では、奥さまのご心配はもっともです。申し開きの余地はありません」

 そして、実際に彼らがどんな仕事をしているのか、由利香は初めて、具体的に聞かされることになった。もちろん、きわどい場面はかなり端折ってくれたらしいが。

「そんな……」言葉が出ない。「そんな仕事、うちの夫が…やっているんですか?」

「もちろんです」支部長の目は真剣だった。

「郵便局の窓口にいた人ですよ、御存知ですか?」


 知っているはずだ。その頃ダンナから直接聞いたのだから。かなり大雑把な説明だったが。立派な名刺を出してみせながら。


 この名刺の人に転職するよう勧められた。

 支部長さんなんだって。マイロックっていう公共機関。そう、コウムインには変わりないさ。郵便局? 辞めるよ。っていうか、辞めちゃった。


「しかも、椎名くんは目覚ましい活躍をしていますよ、彼がいるから助かった人も多い」

「信じられない」

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