説教と反省と告白
夜もふけて、子どもたちがすっかり寝静まった午後11時。
「まずグリルでお魚焼く時には水を下に入れる」
「はあ」
「はい、でしょ?」
「はい」
「炊飯器はタイマーセットして、炊きあがりを六時半に」
「えっ?」気づかなかった。「そんなコトできんの?」
「あたりまえです、それと洗濯用洗剤はあれでは入れ過ぎ」
「どうしてわかる」
「洗剤の香りが強すぎるから、洗濯ものの」
「はあ……はい」このように、反省会が延々と続いていた。
「あと……ずっと前から言ってるけど、ベランダの鉢植えに煙草の吸殻」
「あっ」こまけえ~「すみません」
「それとまどかから聞いたけど、公民館の水道でミルク作ったの?」
「悪い?」
「水道水そのままではミルク作らないの、だったら市販の麦茶でいいから」
「ほんとうにもうしわけありません」オレの全人格が否定されかねない。
「何かさ……ほめることないの? オレを」
「ええとねえ」すごく真剣に考えている。ふとダンナも真剣に見守っているのに気づき、急にぷっと吹き出した。
「ははははゴメン、すごくよくできました」頭を撫でてもらった。
笑いの発作が収まってまた静かになった時、彼はおずおずと訊ねてみた。
「もしかして……ついにカイシャに電話してみたとか?」
この家出には何か事情があったのでは?
由利香はきわめて嘘がヘタ。お母さんどんな様子だった? 病院では何と? 聞いているうちに何だか言葉が滞ってきた彼女。目が泳いでいた。
それでようやく、気がついたのだった。
由利香が意を決したように話し出した。
「そうよ、たしかに電話した。タカさんの会社に」




