表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/42

ジャズの流れる家

 家の前まで来てから、ふと思いついてまどかに

「マドレーヌ半分、ご近所に分けてもいい?」

 と聞いた。

 まどかは元々あまり物欲はないのか、さすがにこの数量に恐れをなしたのかすぐに

「いいよ」と答える。

 家から一回り小さめの袋をとってきて、マドレーヌを半分に分け、さらに八件ほど先になる組長宅に届けに行った。

 タマガキ組長は、「いやいや、お気になさらずに」としきりに頭をかきながらも、

「うちもいただきものですが……」と差し出すと、けっこううれしそうに

「いいんですか?」と受け取ってくれた。

「これ、紅茶に合うんですよねえ」

 家の中からジャズが流れ、奥から、やはり半白髪の上品な女性がのぞいて、にっこりと頭を下げた。奥さまらしい。

 うちもいつかはあんなふうに落ち着いてジャズでも聴くのかな? 紅茶飲んでさ。

 何となく、近所がいつもよりも暖かく感じられて、彼は子どもたちとのんびり、家に帰っていった。


 特にトラブルもなく、夜はふけていった。

 洗濯ものをたたみ、まどかにしまう場所をいちいち聞いてから(じぶんのぱんつくらい、じぶんでしまってよね、だと。由利香みたいな言い方だ)、ようやく片付き、今度は夕飯の片付けも済ませたあとでさっさと米もとぎ、炊飯器のスイッチを入れる。

 それでも子どもらを寝かしつけ、居間に落ち着いた時にはすでに10時を回っていた。

 コーヒーを淹れて、ジャズでも聴いてやろうか、しかし家にはそんなこじゃれたCDはないなあ。

 それに夜ふかししていると、また小僧どもに起こされてしまうかもしれない。

 寝られる時に寝よう、コーヒーをあきらめ、彼は布団に入った。

 ものの一分もしないうちに、深い眠りの国に。ちょっと公園で遊び過ぎだったかも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ