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親子で現場入り

「椎名さんも、今からお仕事ですよね」

「いえ、休みですが」

「お聞きになってるか……」他人のうちの中をキョロキョロしている。

 ちょっとムッとして「あの、何でしょう」硬い口調で聞いてみた。

「あった」彼が急に指をさした。ふり向いてみると、下駄箱の上に木の札がちょこんと乗っている。

「椎名さん、今朝不燃物の当番なんですよ」えっ? あのカレンダーの謎の言葉?

 聞くと、一年か二年に一度、この三丁目第二組というコミュニティーにおいて、割り当てられる当番なのだそうだ。月一回の不燃物収集時に、回収場所に立ち、廃棄物の監視をしたり、捨てるのを手伝ったりするという重大な使命が、たまたま今朝、彼ら椎名家にも割り当てられていたらしい。

「……すみません、全然知らなくて」焦りまくる。

「いつも女房に全部まかせっきりで…どうしよう」場所を聞くと、家から少し離れている。 もちろん子どもだけ置いて行くわけにはいかない。

 もうすでに、他の班の担当は現地でお仕事を始めているのだとか。

「ご都合がつかないようでしたら、来月に回しましょうか?代わりにお隣の……」

 ダメ、由利香に殺される。

「いえ、すぐ、支度して行きますから」

 組長は、ほっとしたように笑顔を浮かべ、帰っていった。


 そこからが記録への挑戦だった。双子を起こしてオムツと服を替え(まどかにずいぶん手伝ってもらう)、自分もジャージから別のジャージに着替え、弁当と水筒を用意(中身は水で我慢してもらった)、お子様せんべいと赤子用のお出かけバッグをひっつかみ、まどかに帽子をかぶせ、双子を両脇にかかえて表に走り出す。

 ダブルバギーの復元に悪戦苦闘。それでもようやく二人が乗せられるように組み上がる。

 玄関に鍵をかけ、小走りにゲンバに急行。

 回収場所にはすでに、数人の人々が忙しげに立ち働いていた。

「おはようございます、遅れて、申し訳ありません」

 みな、如才なくあいさつは返してくれた。手前のオバサンは、遅れてきたのを暗に非難しているのか、目つきがややきつかった。

 先ほどのタマガキ組長も気にしてくれていたのか、彼が行くまで代わりに作業をしていたらしく、彼の姿をみて安心したように、手を軽く上げてから停めてあった自転車に乗って帰って行った。

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