突然の訪問者
「幼稚園に行くのは何時?」聞いてみると、何とかいうテレビ番組が終わってから、というので新聞で確認。8時20分か。
「ねえまどか」椎名さんは、まどかの前にかがみこんだ。
「パパさあ、いつもいつもママにたよりっきりで、キミが幼稚園に行くのもどうしたらいいのか分からないんだよ……何時に出るとか、何を持っていくか、とか」
それに双子。もちろんその時間までには起こして支度をさせねばならない。そして連れていく。って、車で?商店街の通りはその時間は渋滞、やはり、歩いて行った方がいいだろう。だったら双子はどうやって連れていくのだ?カーポートに折りたたみのダブルバギーがあったが、どうやって使える形に復元できるかも知らない。
「たのむから、パパにいろいろ教えてくれないか?」まず、まどかの支度は?
まどかが困ったように言った。
「その前にゴハンたべたい」
朝食は、炊きたてのご飯にふりかけ。焼海苔も発見したので振りかけご飯をいくつもミニ海苔巻きに作ってやった。
まどかには意外と受けた。「ごはん、固くておいしい」食べてみて気づいた。ホント固い。
その後は、まどかは歯をみがき、顔を洗って幼稚園の支度。由利香のしつけがシッカリしているおかげで、支度は完璧だった。
「パパ、水筒にお茶入れて。あと、おべんとうつつんで」
「了解です」
その時、ぴんぽ~ん。ドアチャイムが鳴った。
帰ってきたとか? 椎名さん、期待に胸をふくらませて玄関に。
ドアを開けると、顔くらいは見たことがある、半分白髪あたまの近所のオッサンが立っていた。
「あ、おはようございます」まさか亭主が出てくるとは思わなかったのだろう、かなりびっくりしている。
「おはようございます」
何だろう? けげんそうな様子がみえたのか、相手は名乗ってくれた。
「日の出町三丁目第二組の組長、タマガキともうします」
「はあ、どうも」
「早い時間から申し訳ありません……奥さまは?」また由利香に用事か。
「実家に急用ができて……」
「ああ、それじゃあ」少し困っているようだ。




