夜中も休みなしですから
「パパ、トシくんが泣いてるよ、おきて」
ずっと泣いていたらしく、双子の隣の部屋で寝ていたまどかの方が先に気づいたらしい。
あわてて駆け寄ると、トシユキが火のついたように泣き喚いていた。
マサは、というとぐっすり眠っている。すごいもんだ。
「どうしたんだろう」抱き上げて、よしよしと揺すってみても、全然泣きやむ様子がない。むしろ、泣き方が激しくなった。
隣でみていたまどかが冷静な声で言った。
「パパ、オムツじゃないの?」
風呂上りに替えたばかりで、もうシッコかよ、疑いつつめくると……
ああ、これは立派なひと山が。グラタンのおかげかな。まどかが渡してくれたおしりふきを大量に使って、きれいに拭き清める。
「それはね、トイレにながすのよ」いつの間にか、まどかがイニシアチヴをとっている。
「でもふいた紙はながしちゃ、だめなんだよ。うんちだけトイレにながして、あとは包んですてるの」
「了解です」真夜中の2時半。こんな時間に六歳の娘に世話になっているなんて。
オムツをつけ直し、とんとんとおなかをたたいてやると、ようやくトシ、眠りについた。
ところが、マサが今度は起きてしまった。ふぇ、と泣き出す寸前、椎名さんはあわてて彼を抱き上げる。ふとまどかをみると、半分うとうとしていたので
「あとはパパがやるから、ありがとう」片腕にぐずりだしたマサを抱いたまま、娘の背中を優しく押して、部屋まで連れていく。
「だいじょうぶかな」そう言いながらも、まどかもすぐに夢の中。