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血色の瞳  作者: みつか
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管狐 1

管狐 1

作:みつか


〜これは執筆中小説です〜




古今東西問わずにさまざまな妖怪と言うものが居て、時折それらは人に悪さをする。

その悪さと言っても、驚かすのが関の山で命に関わるようなことは滅多にしない。

稀に人間を餌にする妖怪も居るが、それは真っ当な食物連鎖だ。



19XX年、人間が人口を増加させ、未開発地が開発されるにつれて妖怪は数を減らした。どうにかして妖怪の減少を止めようとした妖怪一族の長は一匹の妖狐ようこを遣い、人間の男と契らせた。

ほどなくして妖狐は一人の仔を産んだ。しかし、仔が乳離れをすると、妖狐は忽然と姿を消した。最初のうちは男もその妖狐を探したが、遂には見つからなかった。



それから、16年経った世界が、この話の舞台である。


仔は母に似て美しく成長し、とある公立高校に通っていた。

烏の濡れ羽色をした髪を肩ほどまで伸ばし、狐を思わせる切れ長ながらもはっきりとした目に納まる瞳は血の色をしていた。

もちろん、言い寄る男も数あれど、やんわりとその求愛を断る一面も持っていた。



彼女は巻き込みたくなかった。


己の瞳に映る異形の物は年を重ねるにつれてはっきりと輪郭を持つようになり、彼女を脅かした。

幾度か真紅の眼球を取り除こうと思ったが、自分を愛してくれるたった一人の父のことを考えると手が震えて未遂に終わる。


そんな彼女が、ある少女に出会う。


太陽のような、明るく温かい少女だった。

くりくりした目は真っ黒で、髪はショート。スポーツ万能、しかしながらちょっと勉強は苦手ながらも教師からも生徒からも好かれる少女だった。

名を武田雄たけだゆうと言った。



「ねえ、」

ある日の昼休み。

一人で本を読んでいた彼女に話しかけたユウはその纏う空気が他人と違う推測を抱いた。

それは推測の域を出ないし、第一それは今から彼女に話さなくては行けない内容とは全く関係がないので彼女は頭の隅にその推測を追いやった。



「アンタさ、視えないものが視えるんだって?」



校則違反だが、ユウはブレザーの下にラグラン仕様のTシャツを着ていた。

ちなみに彼女は校則どおりに支給されるYシャツを着ていた。


彼女は口端を上げて、本にしおりを挟む。

「たとえば?」



「幽霊とか、お化けとか、そのたぐい。」

「そうだね、視えるね。」

「助けて欲しいことがある。」


ユウは胸の前で手を合わせて深くこうべを垂れた。


「助けて欲しい。」


再びユウはそうはっきり言った。



「・・・いいよ。」

「ありがとう。」

「武田さん、だっけ?」

「ユウでいい。」

男らしい物言いに彼女は少し笑う。

「じゃあ、ユウね。私は藤井宏架ふじいひろか

「知ってる。」


二人で声を上げて笑う。

不思議な空気がそこには流れていた。


他人とは違うモノは排除される学校社会の中で、お互いに自分が異質である二人の出会いだった。



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