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手術

 プロジェクトDのチームが集められた三日後には、肇の手術が帝都病院内で行なわれた。まず、帝都病院のICUから肇がストレッチャーに乗せられて運び出され、廊下をへて手術室へ運び込まれた。跡を追ってきた恵子と心は手術室の入り口で看護師に遮られた。二人には緊急手術だとしか説明はなかった。正憲と鈴木秘書がゆっくりと跡をついてきた。恵子はただ祈るように手術室の入り口を見つめるばかりだった。

 手術室には、内田脳外科医や麻酔医のほかにも、数人のアメリカ人医師がひそかに待機していた。いずれの医師も軍で言えば傭兵のようなもので、多額の謝礼目当てで動く腕利きの医師たちだ。脳移植の可能性が高いと踏んでいた内田が、アメリカから呼んでいた。

 手術室に運び込まれた肇は手術台に移動させられた。もう一台の手術台もセットされ、人間が横たわっていたが、その人間にはカバーがかけられていた。内田医師が一人で二台の手術台の真ん中に立っていた。内田医師の頭には小型のカメラとライトがセットされ、手術用のルーペも装着していた。

 肇には麻酔がかけられ、名塚麻酔医が麻酔の効き具合を確認していた。島田看護師が内田医師のサポートについている。その島田看護師も小型カメラとライトを頭部にセットしていた。

 そのほか、手術室には何台ものカメラが設置され、大きなモニターも設置されていた。モニターには病院長と生命ラボの田所所長の顔が写り、手術室全体の様子、内田医師の小型カメラや島田看護師の小型カメラ、そのほか手術室に設置されているカメラの映像が、複数映し出されていた。モニターが内蔵しているスピーカーから生命ラボ田所所長の声がした。

「いよいよプロジェクトDの最終仕上げに入る」

 そう言い終わるか終わらないかのうちに、中村病院長が話に入ってきた。

「御手洗肇の脳を、御手洗肇のDに移植する。執刀は帝都病院脳神経外科の内田医師、サポートは島田看護師、麻酔医は名塚医師です。みんなわかっているとは思うが、この手術はプロジェクトDの命運を担っている。クローン技術も、成長促進技術も進んだが、そのままでは大きな赤ん坊が誕生したに過ぎない。この脳移植が成功して初めて、プロジェクトDは成功したと言えるだろう。老いや病気に苦しんでいる人々、とくに富裕層にとってこのプロジェクトDは大きな希望であり、彼らの欲望を満たす唯一の手段だ。われわれはそれに応えて帝都病院の未来を開かなければならない。このプロジェクトDによって、人間の言わばスペアーを作り出すことは、これまであった救世主ベビー技術をはるかに超えるものだ。私たちは新しいシーンに踏み出すことになる。さあ、始めよう」

「これから脳移植手術を始める。患者は脳ヘルニア状態だったため、開頭手術を受けている。田舎病院の下手くそな手術だがなんとかなるだろう。脳出血の後遺症も考えながらのむずかしい手術だが、私に任せてもらいましょう。メス」

 そういう内田医師の言葉で手術が始まった。島田看護師が内田医師にメスを渡す。続いて島田看護師は頭部を切断するための電動カッターを準備した。


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