第三話 異世界でハーレム形成。ステータス画面がバカすぎる。
気が付くと、大草原の真ん中にぽつんと位置する村の前に立っていた。
――知ってる……これ、「はじまりの村」、だ。
『ドキドキハーレム★すべての瞳は僕の物』のデモ版をプレーしたから知っている。
本当に俺、あのゲームの中に転生したらしい。
なら、ステータスウィンドウとか開けるのかな?
現実世界ではメニューボタンを押せばよかったけど、この世界にはあいにくメニューボタンらしきものはない。
なんとなく、右手をサッと横に動かしてみたら、何という事でしょう、偶然メニュー画面が出て来たではありませんか。
「アメミヤ ヨウ Lv99
属性/無属性
職業/ハーレム王 Lv99
特技/テンプテーションLv99」
何だこれ……何だこの頭の悪そうなステータスは……
テンプテーションって、こう、セクシーでボインバインで、水着みたいな服着た小悪魔美少女とかが持ってる技じゃないの?
いや、でも、俺、ハーレム王だし……この職業に必要なスキルか……
おれは思い直して、ステータスウィンドウを閉じ、「はじまりの村」への第一歩を踏み出し――
「あああああああああああああ!!ヨウじゃないっ!
どこへ行っていたのよぉぉぉ!今日は一緒に森へ薬草つみに行くって約束していたのに、
いつの間にかどっか行っちゃうんだもん、プンプン★」
村の方から、女の子がものすごい勢いで迫ってきて、早口でまくしたて、腰に手を当ててプンプンと言う。
……知ってるぞ、こいつは、主人公の幼馴染で、
のちにハーレムの女王に君臨する正妻枠のミアだ。
ミアは本当に、「プンプン★」って言った。
星のマークが聞こえた気がした。
目の前で腰に手を当てて怒るその姿は、
画面で見てた時は「かわいい」だったけど……
実物はちょっと、痛い。
でも――
その“痛さ”をまっすぐにやってのける彼女は、
なんか、まぶしかった。
それから俺は、はじまりの村で、幼馴染のミア、領主の娘クリスティーネ、エルフ戦士の旅人ガブリエラを仲間にして、シナリオ通りに魔王討伐へ出かけた。
その後は、野宿していた時に食料をくすねようとしてきたシーフのモモンを仲間にし、王都で出会った鍛冶職人のヘレナを加える。
大神殿では、筆頭聖女のアマンダを、回復職として仲間に加え、中ボスとして下した魔王配下の魔族リリアネールも仲間に加えた。(リリアネールは、選択肢が出て、間違えると仲間にできないのでちょっとドキドキした。)
……俺のパーティーは、順調に“完成”していった。
それは、俺が望んだ世界だった。
……はずだった。