表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

籠から飛び出る金稼ぎ

あれから10年

中央区で大暴れして、牢獄に幽閉されたプルシャ族第二皇女ペテル・キュグニー・プルシャは、アルバ地区に居た。


あれからと言うには些か勿体無いほどの破天荒ぶりの為、その脱獄までの経緯をお伝えしましょ。そうしましょ。


脱獄直前


牢獄にて看守から渡された伝言箱の中には皇帝からの言葉が記録されていた。


『世界を変えるなどクソガキのわがままじゃな!本気でそう思っておるなら、【10億金貨】を持って戻ってこい!持ってかれた暁には、皇帝の座をくれてやるわ!それはまさに!

世界を得るに等しいだろう。』


ペテルは、謁見の場で暴れた時、かなりのハッタリもかましてきていた様だ。

それにしても、とんでもなくやかましい皇帝の声、喋りは本気なのかふざけているのか。少し判断がつきにくい。


この伝言箱には続きがある。


『という事だ。せいぜい足掻いてみろ。兄より』


つまりは、皇帝の伝言をペテルの兄が伝言箱に吹き込んで送ったらしい。


「…世界を変える??」

余りの内容に看守は言葉を失った。そんな事ができるのか?という想いより、その言葉の意味自体が理解できない。

それほどに今の世界は、【今の形】が定着して安定をしていたからだ。


「10億金貨か……」


この伝言箱という装置は、箱の中には音を記憶する石と、石を振動させる石が入っている。この振動させる石は、空気に触れると振動をはじめ、音を記憶する石はそれの影響で記憶した音を発する。


「…とりあえず、兄上ありがとう。ありがとう。」


内容はさておき、ペテルはそう言いながら伝言箱の蓋を閉じた。


【とりあえず】というのは、兄がなぜ皇帝の声真似をして伝言箱に言葉を吹き込んだのだろう?という疑問に対して、【とりあえず】だ。


手のひらに収まるその小さな箱を見つめ、ペテルは深呼吸をした。看守は未だ、その内容に驚きを隠せずにいた。


「お前、この世界はおかしいと思わないか?なぜプルシャこんなにも偉いんだ?」


驚きと戸惑いの看守に向かって、ペテルは問いかけた。

看守からは、定型文、テンプレート、これぞ模範解答の内容が返ってきた。案の定だ。


「始まりの種族だからでしょう?あなた達がいなければ、今のこの世界はありませんから」


その模範解答に対してペテルは、明確に苛立ちを見せた。


「そんないつ始まったかもわからないもので、括られていいものなのか?なんで当たり前に虐げられているんだ?命は平等だろう?この地に生まれたなら種族は関係ないだろう」


これは、確かにクソガキの言い分だ。ただ、そう思えるほどに中央区は、排他的でプルシャが絶対的存在として扱われているという事だ。

この世界には、プルシャ族絶対となる身分制度の様なものが、何百年もの間当たり前に【ある】


ペテルは、【当たり前にある】事への疑問に誰からの答えもないことに苛立ちがあり、不思議でならないのだ。


案の定、この問いに直面した看守も答えられずにいた。


そんな矢先


爆発音が鳴り響いた。

一発ではなく複数の爆発。しかも城内。爆発した場所はそんなに遠くもなく、牢獄の壁面が埃立つほど振動も伝わってきていた。


看守が驚き慌てているとペテルはシレッと、


「忘れてた。私が仕掛けた爆弾が爆発した」

「!!!???なんですって!!!」


流石の破天荒ぶりである。

看守の脳内はこの複雑な物事の情報処理についていけず、選択したのは、牢獄の看守の仕事は放棄。

1人の中央区の衛兵としてその場を走り出した。



すぐに戻ってきて、牢獄の扉の鍵を開けた。


「こんな事して大丈夫なのか?」


ペテルの問いかけは、ハッキリ言ってブーメラン。

お前の方がやってる事大丈夫か?レベルである。

看守のやってることも、もちろんヤバい。


「わかりません。でも、なんかこうしないと、後悔する気がして…爆発の影響で扉が壊れた事にします。早く行ってください!」


そんな看守の目は何故か生き生きしていた。

よく見るとこの看守、かなり若い。青年と呼ぶにふさわしい年齢だろう。


「おい!」

「なんですか?」

「私が皇帝になったら、お前はとんでもなく出世させてやる。」


皇族からの突然の昇進予告に面を食らっていたが、すぐに笑みに変わった。


「いつになるんですか…早く行ってくださいね!」


そう言うと、看守は1人の衛兵として走っていった。


ペテルは、そんな看守の動きとは裏腹に、ゆっくりと牢獄から脱走。多分だが、この爆発はこの計画のためではない。

ただの腹いせだ。

脱獄のためなら、もっと近くに仕掛けるはずだから。


見事牢獄から出る事ができたペテルだが、ふと足を止めて看守の方を見つめた。


「名前書くの忘れた…」


プルシャ族第二皇女ペテル・キュグニー・プルシャ

中央区発!世界大陸へ。


それから10年後の今現在

ここはアルバ地区。

ペテルは、何かを誰かを探しながらこのアルバ地区にやってきた。


風貌はもろに中央区、プルシャ族そのもの。

赤いロングの髪に、少しの黄色い頭髪混じり。

気が強そう威厳ある吊り型の目。

服装は黒一色。羽織っている黒のコートには白のラインで、まさに皇族が着ている服そのままだ。

変装をする意識は全くない様子。


手には旅の途中手に入れたのか、大きめのキャリーケースと、鞄、腰には独特な形状をした刀を帯刀していた。


キョロキョロとウロウロとアルバ地区。ペテルは人を探していた。なんとかアルバ地区まで辿り着いたものの、それ以上のアテがないのだ。


突然、全力ダッシュで人が目の前でこけた。


が、ペテルは、気にせずキョロキョロウロウロ、アルバ地区。


そんなペテルの足首をガシッと掴み、盛大にこけた人物はペテルに頼み込む。


「助けて。悪い奴らに追われているんだ。」


この人物こそ、ペテルがこのアルバ地区に来た目的の人物


発明一族ハンスリー一族(いちぞく)の現在の棟梁


稀代の天才発明家アスピ・ハンスリーである。









金稼ぎのペテル

完全オリジナル2.5次元舞台からの逆輸入作品

YouTubeに上演作品は無料公開中。

検索ワード【りあくとTV】【金稼ぎのペテル】

原作:RE-act


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ