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白樺

作者: 夜霧ランプ

 白い河馬が居ます


 所謂白化個体と言うやつです


 目は赤ではなく


 若干グリーンみの灰色です


 人間の目からすると


 随分と素敵に見えました


 だけど彼は


 日焼け止めを持っていないので


 泥のパックで日焼けをとめて


 なんとかしのいでおりました


 しかしですが


 条約を守らない人間が


 白い河馬を捕まえてしまい


 白い河馬は動物園に行きました


 白い河馬の恋人は


 目が真っ赤になるまで


 エーンエーンと鳴きました


 あんまり泣いたものですから


 自分が河馬なのか牛なのかも


 忘れてしまいました



 白い河馬は日に焼けないように


 動物園の飼育場の水場から


 一切出ては来ませんでした


 だけどそこに白い河馬が居ると聞くと 


 人間達はそれだけで物珍しがりました


 白い河馬はある日


 脱走を試みました


 夜中にこっそりと


 密輸業者を騙して逃げ出しました


 密輸業者達は


 大人しくついてくると思った河馬が


 自分達をぱくんと食べてしまうなんて


 思っていませんでした



 白い河馬は夜の間に


 ずうっとずうっと走りました


 日が射して来たら


 身体がおかしくなってしまうと


 分かっていたのです


 いっぱい走って走って


 遂に倒れてしまった時に


 向こうから懐かしい恋人の声が


 聞こえてきました


 ああよかった


 かえってこれたんだ


 白い河馬はそう思って


 二度と目が覚めないくらい


 ぐっすりと眠ってしまいました



 白い河馬の恋人は


 恋人の亡骸を焼いて


 ずうっと北の方の地面に


 骨を埋めました


 其処から白くて綺麗な


 細い木が何本も生えてきました


 白い河馬は木になったのです


 白い河馬から生えたので


 白樺と言うのだと言うのは


 大変な嘘です

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