第2話~年明けの新年会幹事 第1章~現場長からつけられたクレーム
自分が次に飲み会の幹事をしたのは、翌年の新年会でした。
現場の飲み会で、会社からの半額支給があるのは忘年会だけなので、今回は完全に割り勘でした。
会社によっては、上席者が飲み代を多めに払う所もありますが、この現場では均等に割り勘をしていました。
但し、端数に関しては、上席者が支払う慣習になっていました。(忘年会の時の金額設定は結果的に間違いではありませんでした)
とにかく、面倒な後精算だけは避けたかったので、あらゆる居酒屋のコースメニューをいろいろと調べる事にしました。
新年会に8人で参加するという前提にして、何とかきっかりの割り勘になるコースは無いものかと思い、居酒屋の前に置いてあるチラシを集めまくりました。
すると、ある居酒屋で鍋付き飲み放題で、1人4000円きっかりのコースがありました。
「よし!これでお釣り無しで集金が出来るのではないか!」
そう思い、何としてもこのコースをごり押ししようと考えました。
早速、現場のホワイトボードの隅に、新年会の案内を掲示しました。
新年会のお知らせ
1、日時:1月12日、18時~2時間
2、場所:ある中堅居酒屋チェーン(現地集合)
3、内容:飲み放題付きお手軽コース(カレー鍋付き)
4、会費:1人4000円
5、※会費は前日までにお釣りの無いように幹事までお願いします(→こういう時に平気で1万円札を出してくる方っていますよね…)
6、※予約の都合により、3日前迄に出欠表の名前の横に丸印を入れて下さい
7、※尚、会計係不在の為に追加オーダーはご遠慮下さい
もし、追加オーダーが発生した場合、その分の精算につきましては、新年会終了後に現地で割り勘とさせて頂きます(→今回、この文言を自分の独断で追加しました)
すると、いつもやたらに因縁をつけてくる現場長の稲田主任が、
「おい!現場の飲み会で追加オーダー無しは通用しないだろ!」
「前の時みたいに多めに徴収して、追加オーダーを有りにしろよ!」
と、言ってきたので、
「会計係がいないんですし、精算で銀行まで行って両替すると何時間も待たされるので、一発精算に協力して頂けませんか?」
と、お願いをしたら、何をとち狂ったのか現場長は、
「追加オーダーを全面的に有りにして、追加分は全部幹事のお前が払えよな!」
と、訳の分からない事を言ってきました。
それには、さすがに副主任の寄川さんが助け船を出してくれて、
「その話しはいいよ!皆さんが追加オーダーをして料金が発生したらその金は俺が払うよ!」
と、言って下さいました。
「いや~、助かった~」
と、思ったのも束の間、現場長はムキになって、
「いや!追加分の金は幹事が払えよ!」
と、怒りのあまり声を荒らげて言いました。
すると、寄川さんが再び、
「いいよ、現場長、追加分は俺が払うよ!」
と、言いましたが、現場長はヒートアップするばかりでした。
そして、その押し問答がしばらく続いたのです。
自分も、助け舟を出してくれた寄川さんに加勢する為に、思い切って言いました。
「追加分は副主任が支払うと言って下さっているので、それでお願い出来ないですかね?」
と、割って入ったところ、現場長は憮然とした表情で、
「追加の金は幹事が払うんだ…」
と、ボソッと言いながら向こうに行ってしまいました。
さて、飲み会の前日に、ホワイトボードの隅に掲示した新年会の出欠表を見ると、現場長の欄だけ何も印が無いではないですか!
新年会をする居酒屋には、3日前に見込みで8人分予約を入れてしまったので、キャンセルは前日迄にしないとなりませんでした。
当日キャンセルだと、現場長の会費が全額負担になってしまうので、自分は恐る恐る現場長の横に行って、
「すいません、明日の新年会の出欠を今日中に決めて頂きませんか?」
と、尋ねたら、もの凄くでっかい声で、
「分からない!」
と、叫ばれてしまいました。
その時自分は、後頭部を引っぱたかれた様な気持ちになりました…。
しかし、ここで落ち込んでいてもどうにもなりませんでした。
何せ、今日の勤務中には、明日の新年会の人数を確定しなければならないからでした。
もし、このまま8人で予約して、現場長が来なかったらどうしよう…。
そうすると、また割り勘の計算が面倒臭いな…。
[1]現場長が欠席して、当日キャンセル全額の場合は以下の計算式になります。
4000円×8人=32000円(予約した時の総額)
32000円÷7人≒4571円(1人分負担した時の金額)
そうなった場合、自分も含めて6人から4500円徴収して、寄川さんに5000円払ってもらう案もありました。(→後日現場長が当日キャンセル料を払わなかった場合)
この案の場合、一発精算で済みますが、現場の皆さんは不満爆発するでしょう。
[2]現場長が、後日キャンセル料4000円を支払う場合だと、とりあえず[1]の案で精算してから、皆さんに500円ずつ返金して、寄川さんに1000円返金する事になるのでしょう。
寄川さんに返金する1000円はいいとしても、5人の先輩に返金する500円は銀行に両替に行く事になるでしょう。
しかし、それだと自分が面倒な精算をする事に変わりはなく、当初の目的からは外れてしまいます。
[3]もう一つの案は、寄川さんに現場長の会費を丸々被ってもらう事でした。
寄川さんには、4000円+4000円=8000円支払ってもらい、寄川さん以外は1人4000円のままにする案でした。
4000円×6人=24000円(寄川さん以外の6人の総額)
4000円×2人=8000円(寄川さんが現場長の会費を全額支払った場合)
24000円+8000円=32000円(予約した時の総額)
この場合、寄川が後日現場長から会費を徴収すればいいので、他の同僚には迷惑は掛かりません。
ですが、個人的にはこんな事を許してしまうと、収拾がつかなくなるので、どの案も採用したくはありませんでした。




