5話 〜かなたの能力と碧〜
「余計な真似しないで!!!」
という声と同時に、碧さんは地面に叩きつけられた。
「碧さん!!!!」
どうしよう。私が断らなかったせいだ。
私のせいで碧さんが...。
いや、違う!悪いのはこいつらだ!
「碧さんから離れて」
「へえ。そういうこと言うんだ」
「早く。離れて!」
その時、私は無意識に能力を使っていた。
なに..これ...。私、能力持ちだったの?
「あの子が星を見せたせいで...!!」
星を見ないと使えない力だったのかな?
だから、今まで...。許せない。
「かなた、もうやめて」
碧さんが何か言ってる。どうしよう。
自分じゃ止められない...!
でも、今までの恨みは今晴らすしかないっ!
「かなた!!」
やっぱりダメだ。碧さんに言われてるのに...。
止められない。
「かなた...もう、やめて...」
そう言われた瞬間、何か眩しいものが見えた。
それは、碧さんが操って出てきた日差しだった。
碧さんのおかげで私の暴走は収まった。
冷静になってみると、辺りには血が飛び散っていた。初めて自分が怖いと思った。
騒ぎを聞いた近所の人が警察を呼んでくれたみたいで、家の人は、連れていかれた。
あれ、体が何だか...。能力を使いすぎたみたい。この前まで、あんな生活してたんだからそりゃそうか。私に体力なんてない。
「良かった...!かなた。止められたんだね。」
「碧さん!!大丈夫!!?」
碧さんは病院に搬送された。
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その後、碧さんは病院で意識不明のまま今も戻っていない。
私は、どうやら能力をもう使えないみたい。
でも、もうあんな力使いたくない。
あの時の自分が怖かった。碧さんがいなかったらと思うとぞっとする。
碧さんの意識が戻ることを信じて...。
あの日以来、私は普通に生きている。
こうして今も桜を見ることが出来る。
本当にありがとう碧さん...。
あなたのおかげで星を見れたよ。
一生、忘れない...。