第0章 0-03
(任意の角度の)「角の3等分」は、定規とコンパスだけでは、できないそうです。60°とか120°ならわけないのにね。ん、待てよ、そうでもないのかな。
「えーと、では、私から質問です。サイボーグじゃなくて、人造人間(ロボット)なのですか?」
「コンセプトはアンドロイドね」
「既に我々は、人工生体脳も自在に作り出せる技術を持っていますから、”高速思考できる者”を作るだけでしたら、バイオロイドかサイボーグとして数日で完成する訳ですが、その者に提案させるという方法ではだめなのでしょうか?」
「いい線いってるわね。でも今回はそれでは足りないのです。1年間考え続けた挙句、”あらゆる情報を検討しましたが不可能です”、なんて間抜けな回答をするようなヤツ、作るだけ時間の無駄ということです」
「むっ、ですがそれは、コンピューター(アンドロイド)でも同じことでは? ”ソレハ、フカノウデス”なんてプリントアウトする結果になりませんか?」
「まさに、そこです! 今回は”無制限に進化可能なアンドロイド”を作るのよ。進化、というのは、高速化、並列化、最適化、記憶容量などについてね。”フカノウ”なんてぬるいことを言ったら、次はどんどん能力を上げて行くのよ」
「・・・わかりました。ですがそうすると、基本設計から、になりますから、数年はかかるのでは」
「(ふっ)皆さん。実は、こんなこともあろうかと、新造人間の99%は完成しているのです!ジャジャーン!」
ジャジャーン・・・古い。そこは華麗にスルーだが、いま、さらっと新造と言わなかっただろうか。ツッコミを入れる前に、目の前に女性型アンドロイドが登場した。ストレッチャーに乗せられている。但し、頭部の上半分がない。まさか本当に新造なのか?
「はいっこちらっ! 当課の新しい課員に着任予定の「アリス」さんです! みなさん拍手~」
まばらな拍手の後、説明が再開される。
「ご覧のとおり、ボディーを駆動させる基本制御系、人間で例えると、呼吸やら心拍なんかを自動でやる脊髄~小脳くらいまでは組み込み済みってことね。ですから、あと残っている作業としては、OSとサブプログラム群のデバイスとインストール、人間で言えば大脳、もっと言えば”心”をインストールする、という訳です。あ、あと顔ね。そこで・・・」
嫌な予感がする。
「心のインストールは、鈴木君の責任で行ってもらいます!」
ほら来た~(泣)