お互いの宿命を乗り越え夢を掴む物語
「まずは足に意識して剣と同様に細かく纏うように」
高原から一週間、コウトはセリシアから教わったマナ武装の練習を近くの広場でしていた。
‥‥‥‥‥‥
「少しは落ち着きましたかご主人様」
「うん。ごめんねみっともないところみせちゃって」
「気にしないでください。それで私、ご主人様にとっておきの魔法があるんですが」
「とっておき?なんだかすごそう!」
「フフッ、急にきらきらとした笑顔になりましたね」
セリシアとっておきという言葉にまだ充血した目を輝かせるコウトに微笑むと続けた。
「その名もマナ武装です!」
「おーマナ武装ってなに?」
「その名の通りマナを武装することで鉄壁の鎧となり最強の攻撃にもなる難易度トップクラスな魔法です」
「そんな難しいものいくら何でも無理だよ」
「普通はそうですが、ご主人様の場合は何の問題もありません」
難易度トップクラスと聞いてさすがにできないと首をふるコウトにセリシアは大きく胸を叩きながら大げさに言った。
「この魔法の最大の難関はマナを完璧にコントロールしながら自分のイメージを具現化することにあるんですが、先ほどその二つともクリアしていました」
「二つとも!滅茶苦茶すごいじゃん」
「そうなんです、めちゃくちゃすごいんです。でしたので先ほどすごく驚いておりました」
「これってセリシアもできるの?」
「残念ながら私は中途半端にしかできません」
セリシアは興奮しながら徐々に元気になっていくコウトに押され気味になっていきながら続けた。
「武装魔法はマナそのものですので自身の属性やイメージそして思い一つで大きく変わっていきます」
「例えば?」
「例えばご主人様の雷ですと速く動くことが出来たりと素早い攻撃することを得意とします。
私の氷だと鋼鉄よりも優れた防御力になるでしょうね」
「それが出来たらいっきに強くなれるんだね」
「はい、通常十数年以上かかりますがご主人様なら数年でできると思います」
セリシアの言葉に細かくうなずきながコウトは小さくガッツポーズをした。
「それなら今から特訓したい!」
「わかりました、ではまずは足先からやっていきましょう」
「足先ってどうして?」
「先ほどもいいましたがご主人様の雷はスピードが優れています。足をマスターできれば素早く動きながら戦いを有利に進めることができるでしょう」
「なるほど確かに。よし!じゃあやってみるよ」
「はい頑張ってください!」
コウトが勢いよく立ち上がっていうとそれに合わせてセリシアも胸の前で小さいガッツポーズでこたえた。
‥‥‥‥‥‥
足先の訓練にひと段落したコウトは実際に動いてみることにした。
「これは‥‥いつの間にここまで進んだんだ‥‥」
コウトは武装した足で少し走った後ろを見ると、数メートル以上進んでいた。今まで体験したことがない現実にコウトは足元を見ながら唖然とした。
(こんなに早く動きるなんて予想以上だな。でも結構疲れるなーこれ。
もうそろそろ限界かも)
コウトは様々な動きをしながら試していくと今までに感じたことなのない疲れを感じながらギルドハウスに帰ることにした。
コウトは今日のことをセリシアに報告することで頭がいっぱいになりながらギルドの前に着くと一枚のチラシに目が入った。
「ギルドコロシアム開催‥‥ルーキー限定で賞金一万ルピ!!」
コウトは驚きとセリシアに報告したい思いで足早に階段を駆け上がった。